社員が生き生きと働いている会社もあれば、反対に人を採っても採っても辞めていくような会社もある。働く人の心が折れるような職場には、雰囲気の上で何か共通点はあるのだろうか?

「うるさすぎる職場はもちろんダメですが、私語が一切ないような、静かすぎる職場も問題です」と話すのは、「職場のメンタルヘルス・コミュニケーション対策」の第一人者であり、『人が集まる職場 人が逃げる職場』の著者・渡部卓氏。

 職場の雰囲気として、どんな状態が理想的なのかを解説してもらった。

メンタル不調者が多い職場の特徴

 私は職場のコミュニケーションやメンタルヘルスのコンサルタントとして、国内外の中小企業から大企業まで、さまざまな企業から依頼を受けてきました。依頼内容として多いのが、「メンタル不調になる人が多い」「休職者・退職者が多い」などの問題を抱えて困っているので、その解決策を教えてほしい、というものです。

 状況を確認するために、依頼のあった企業を実際に訪問し、オフィスや工場などを人事スタッフと一緒に巡回することもよくあります。そうしてたくさんの企業を回ってきた中で、問題を抱えた職場には、いくつかの「共通点」があるとわかりました。

・チリひとつ落ちていないような綺麗で整然としたオフィス
・人はたくさんいるのにシーンと静まり返っている
・ロボットのように無表情で作業する社員が多い

 こういった職場は、メンタル不調に陥る人や休職・離職が多い傾向にありました。つまり、「あまりにも管理・統制された空気」の中では、人は生き生きと働けないということなのです。

どんな職場が理想的なの?

 とはいえ、私語を慎まず全員が好き勝手に話していて、まったく統制が取れていなかったり、相手が踏み込まれたくないような話までズケズケと踏み込んでしまったりするような職場だと、それはそれで問題があります。

 では、職場の雰囲気は、いったいどんな状態であればいいのでしょうか?