口から出る言葉の8割は「早く〜しなさい」「そんなことしちゃダメ」「〜して」などの指示出し言葉。常に眉間にはシワがより、笑顔になることはほとんどなく、子どもの行動に目を光らせている。そんな「しつけモード」で一日を過ごしていませんか。

責任感が強く、子どもが可愛いからこそ、しつけにも熱心になることでしょう。でも一日中しつけモードでいると、子どもの持つ可愛さに気付けなくなったり、育児を楽しめなくなってしまいます。一日中しつけモードでいることが、本当に子どものためになっているのでしょうか。一度じっくり考えてみましょう。

しつけのゴールを定めよう

子どもを育てる上で大切なしつけですが、何でも「しつけ」としてしまうと親子共に息苦しくなってしまいます。前もって「しつけのゴール」をある程度定めておくと、一日中しつけモードでいることから抜け出すことができます。

一般的にしつけのゴールは、「子どもが独り立ちしたときに、周囲の人と円滑な関係を築いたり、自分の身を守れるためのもの」でしょう。しつけの仕方によって子どもの人間関係や生き方も変わってくるので、それぞれの家庭なりのしつけのゴールを考えてみましょう。

「しつけ」と「子どもらしさ」のバランスをとろう

ゴールを定めたら、どんなときにどこまでのしつけをするか、具体的に考えましょう。しつけを考えるときに、同時に検討したいのが「子どもらしさ」とのバランスの取り方です。しつけは大切なことですが、子どもは子ども時代に思う存分「子どもらしさ」を満喫することも必要です。

子どもはいつでも様々なものに興味を抱き、「面白そう」「自分の手で触って確かめたい」「どうなるのか見てみたい」と考えています。実際に子ども自身の手足を使って試し、頭を使って試行錯誤することが学びにもなっています。子どもは子ども時代に十分子どもらしさを満喫することで、学びを得て、一人前の大人として活動できるようになります。

とはいえ、子どものやりたいように何でもやらせるわけにはいきませんよね。他人の迷惑になったり、ケガの危険があったり、大人にしてみればもったいないと思うこともあります。「しつけ」と「子どもらしさ」のバランスをどうとるのか、考えてみましょう。

「もったいない」のはどっち?

具体的な例を一つご紹介しましょう。たとえば子どもが大好きな「水遊び」。お風呂や台所の蛇口から出てくる水が子どもは好きですよね。大人としてはもったいないですし、服も濡れるので、できればやめてほしい遊びでもあります。

子ども目線で考えると、水からは多くのことが学べます。蛇口をひねって水が出るという働きを経験するだけでも、一つの学びでしょう。水の感触や水温も、感覚に訴えるものです。

また水には形がありませんから、水が飛んだり、様々な容器に水を入れたり、物を洗うなど、水の形の変化を見るのも楽しいもの。水の中に入れた草花が浮いたり石が沈んだりする様子を見たり、砂を入れると水の色が変わるのも学びの一つです。

水だけでこれだけのことが学べるのですから、自由に遊ばせてあげたいですよね。とはいえやっぱり、もったいない。筆者は水遊びは時間と場所を決めています。たとえば、お風呂に入る前の屋外での水遊びや、お風呂の中では時間を決めて遊んでいます。もったいないを理解し始める3歳頃から、「水を出し過ぎるともったいないよ」という声かけをしています。

水をたくさん使うことは「物理的にもったいない」けれど、全く遊ばせないのも「子ども時代に必要な経験ができずもったいない」。本当にもったいないのはどちらか天秤にかけながら、調整をしています。このようにしっかりと線引きができないものもありますが、ルールを決めてしまうと親側も楽でしょう。

ママが育児を楽しめるのが一番!

「一日中しつけモード」から「しつけと子どもらしさの使い分け」に変えると、単純に育児が楽しくなることでしょう。ママも気を張らないだけで緊張が解け、疲れが和らぎます。

子育てには毎日子どものちょっとした可愛さや、思わず笑っちゃう言動が溢れていますが、そういったものにも気付けるようになります。「育児が楽しい」「子どもが可愛い」と思える時間が増え、笑顔も増えるでしょう。ママの笑顔が増えれば、子どもの笑顔も増えるものです。

時にはママも一緒に、子どもらしさを満喫するのも一つです。筆者も自分も混ざって水遊びをすることがあります。子どもはママと一緒に楽しむことが一番好きですから、喜んでいつも以上に遊びもはかどるでしょう。何よりママも大笑いして、良い意味で気が緩むでしょう。しつけと子どもらしさの使い分けを意識してみてくださいね。

宮野 茉莉子