新年度も早ひと月が過ぎました。新入社員が配属になり、職場の雰囲気が変わったという方もいるかもしれません。今回は、会社勤めなら誰にもいるであろう上司、中でも時折見かける意思決定を避ける上司について考えてみたいと思います。

上司はなぜ意思決定を避けるのか

そもそも、意思決定を避ける上司がいるのはなぜでしょうか。それは、やや前向きに考えれば、「上司がサラリーマンとしての競争を生き残る目的で常に検討している選択肢の一つ」だと言えます。

「何もしないと決める」ということは、ある意味で立派な意思決定ですが、意思決定を他人に回す、あるいは意思決定までの時間稼ぎをするというのは、最終的にリスクをとらないように立ち回る一つの戦略です。

意思決定には常にリスクが付きまといます。自らの判断がいつでも正しいということはありません。そう考えれば自分が意思決定することを回避するというのは、判断が間違った際に自分に降りかかるであろうマイナスの印象や実績を極力避けるようにしているとも言えます。

ただ、意思決定を避ける上司が必ずしも上述のように戦略的に立ち回っていないこともあります。単に目の前の判断材料が乏しかったり、そもそも自分の判断能力に疑問を感じていたり、これといった理由もなくただ不安であったりということもよくあります。

意思決定をしないための上司の戦術の種類

その1:横パス

意思決定するために提出した案件に関して、上司が「担当部署が違うのではないか」と言って別の部署に話を持っていこうとすることはありませんか? 部署をまたぐと話がややこしくなるので担当者からすれば勘弁してほしいのですが、そこが上司の狙いどころです。話が複雑になり過ぎると担当者が手を出さなくなることを見越して、事前に”横パスするぞ”という雰囲気を醸し出します。これはかなり高度な戦術です。

その2:バックパス

上司にあげたはずの案件が担当者に戻ってくるというのは、よくあるパターンではないでしょうか。バックパスをし続けられると担当者はやる気をなくします。それも上司の戦術です。これを繰り返すことで部下からの提案などが自分に回ってこなくなり、自分が意思決定しなければならない場面は減り、結果としてリスクを回避することができます。

その3:スルー

これはビジネスパーソンとしてはいかがなものかと思いますが、「聞いてない」を決め込むというものです。これをやられると部下はたまったものではありません。上司もこれを多用すると、さすがに職場のコミュニケーション問題にまで発展してしまいますが。

意思決定を避けて良いことがあるのか

会社でのポジションが上がっていくと、「何かを決める」ことが仕事になるのはどこの職場でも同じでしょう。もちろん完ぺきな上司やリーダーなど滅多にいないのは誰もが分かってはいますが、何かを決めてくれないことには仕事は先に進みません。

一度や二度、意思決定を先送りにすることは、本人にとっては都合が良いかもしれません。ただ、そうしたシーンが続けば、部下は「何を提案しても決めてくれない」という見方をし、組織の活力が鈍ってしまいかねません。上司という個人にとっては最適な戦略に見えても、チーム全体にとっては決して良いこととは言えないでしょう。

決めない上司への対応策