3月19日から、月額750円で本を「聴き放題」とするサービスが導入されたことで話題となっているオーディオブック。日本ではまだまだ馴染みのないものですが、今後、どのように普及していくのでしょうか。

オーディオブックってどんなもの?

オーディオブックとは、主に書籍を音声化したコンテンツのことです。媒体によってはカセットブック、CDブックと呼ばれることもあり、現在ではインターネット上で音声データのダウンロード販売を行うサービスもあります。

アメリカでは、車社会でCDやカセットなどを持ち運びやすかったため、オーディオブックは早い時期から定着していました。現在においてもその市場は拡大し続けており、その市場規模は約1600億円以上あると言われています。

一方、日本では、電車通勤が一般的で、ウォークマン+カセットテープの値段と文庫本の値段を比べると、文庫本のほうが安かったことなどもあってか、あまり普及していませんでした。

戦国時代の月額聴き放題サービス

しかし、iPodを始めとした携帯音楽プレーヤーやスマートフォンの普及により、ダウンロード販売が急速に拡大しています。

こうした音声データのダウンロード販売サービスのひとつとして、冒頭の株式会社オトバンクが提供を始めた定額聴き放題サービスが挙げられます。同社ではこれまで、FeBeというサービス名で、利用者が気になるオーディオブックを1冊ずつ購入できるサービスを提供していました。しかし、今回「audiobook.jp」とサービス名を改め、それまでの個別購入サービスに加えて、月額750円で全2万3000点のうち対象の1万点が聴き放題となるプランを導入しました。

月額聴き放題を行っているオーディオブックサービスは、audiobook.jpの他に、AppleのiTunes StoreやAmazonのaudibleなどがありますが、日本国内における配信作品数はaudiobook.jpが最も多くなっています。

FeBeの登録者数は2018年に入って30万人を超え、2017年における新規登録者数は2016年の3倍となりました。男女比も以前までは男性が多かったのに対し、ほぼ同率になってきていることから、オーディオブックの利用者層の広がりが見受けられます。

オーディオブックの魅力

現在オーディオブックを聴く人たちは、移動時のみならず、家事の最中に聴くことも多いようです。このような「ながら聞き」ができる手軽さや、再生速度を調節し、短時間で本の内容を頭に入れることができる効率の良さは、書籍や電子書籍にはない強みでしょう。また、価格に関しても、単行本1冊を買うより安く多くの本に触れられることも魅力です。

音楽や漫画、映画などが定額で聴き放題・見放題といったサブスクリプションサービスでは、CDショップや書店において存在した音楽や書籍との「偶然の出会い」にも似たようなものが存在しています。こうしたサービスはインターネットのキーワード検索における、特定の目的がなければ何も見つけられない、という弱みを覆しているとも言えるでしょう。

オーディオブックもそうした流れに乗り、これからますます広がりを見せるのかもしれません。

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