急騰の反動から3日続落するが、下落幅は限定的

2018年1月12日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より56円61銭安の23,653円82銭となりました。3日続落です。前週は大発会の4日と翌5日の2日間で950円も上昇しましたが、先週はその反動もあって調整含みとなりました。

足元で円高傾向になっていることも、上昇一服の要因になっています。9日に日銀が国債の購入を減額したことや、10日に中国が米国国債投資の減額・停止を検討しているという報道をきっかけに、円が買われドルが売られる動きが加速しました。

10日のニューヨーク外国為替市場で、円相場は大幅に続伸し、前日比1円20銭円高・ドル安の1ドル=111円40~50銭で取引を終えています。11日、12日とさらに続伸し、週末は1ドル=111円00~10銭で引けました。一時110円92銭と、2017年11月27日以来の円高・ドル安水準となる局面もありました。

今週以降の展開はどうなるでしょうか。懸念されるのは4か月ぶりに高値圏となっている直近の円相場の動きがどこまで続くのかという点です。長引くようであれば、輸出企業を中心に日本企業の業績や決算にも影響が及びます。ただし、現状は年始で取引量が少ない中、トピックに飛びついて相場が動いたという声もあります。今週以降の値動きを見極めたいところです。

米株式市場は好調で、ドルが積極的に売られる状況ではありません。12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は、前日比228ドル46セント高い25,803ドル19セントと大幅に続伸しました。S&P500種株価指数、ナスダック総合株価指数とともに、主要3指数が最高値を更新しています。米国以外でも先進国、新興国ともに各国の株式市場が大幅高になっています。

12日の東証1部の売買代金は、特別清算指数(SQ)算出に伴う取引もあったものの、概算で3兆2196億円と活況でした。先高感は薄れていないと考えられます。積極的にチャンスを取りにいきたいところです。

5日移動平均線付近で下げ止まり、底堅さを感じさせる

先週の動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。大発会の4日および翌5日に大きく陽線となって上昇し、先週9日にも窓をあけて上昇して寄りつきました。9日は陰線となりましたが、終値は5日よりも上でした。

10日~12日は、為替相場の動向などファンダメンタルズ面からの売りに押されましたが、それでも下落は小幅でした。ローソク足の実体が5日移動平均線付近で下げ止まった点にも底堅さを感じさせます。

一時、26年ぶりに高値を突破。2万5000円台への期待も

今週の動きはどうなるでしょうか。先週は3日続落となりましたが、5日移動平均線付近でサポートされていることや、2万3600円台を維持していることなどから目線は上に持っていいと思います。

25日移動平均線までの距離もだいぶあります。また、25日移動平均線、75日移動平均線ともに上向きで、上昇トレンドの形になっています。

大発会から急騰したことから調整の動きが出るかもしれませんが、その場合でも、2017年11月9日のザラバ高値(23,382円)や、目先の節目として意識されやすい2万3000円以下になるまでは押し目買いの好機と見ていいでしょう。

ただし、これまで2万3000円に何度もトライしていることから商いが積み上がっています。2万3000円を超えたことで、このラインはかなり強い下値支持線となっており、直近でするすると割り込むとは考えにくいところです。

逆に、上値めどとしては、現状より上の価格は、1992年1月6日の23,801円でしたが、9日はザラバ高値で23,952円、10日は同23,864円と、いずれもそれを超えています。そこを抜けると次の上値めどは、1991年11月1日の25,044円(終値ベース)になります。2万4000円台、さらに2万5000円台定着への期待が高まるところです。

下原 一晃