満室経営が当たり前と思うな!

「想定利回り」という不動産投資用語は知っていますよね? 投資した金額に対して家賃収入がどのぐらい出るかを推測する指標の一つです。

賃貸物件が満室で稼動している状態が想定利回り。不動産業者に行くと、この想定利回りを使って物件の収支を見せられます。

ただ、購入した物件はできれば満室が理想的ですが必ずしもそうとはいきません。満室経営のためには、オーナー側も対策をとることが必要になっていきます。

今回はオーナー側でできる空室対策についてお話します。

効果的な空室対策って何?

融資と物件が「仕入れ」だとすれば、仲介会社のリーシング(入居者付け)は「販売」にあたります。

入居者が決まるかどうかは仲介会社の営業マンの腕にもよりますが、部屋自体になにかしら大きな弱点があれば入居希望者はなかなか出ません。

一般的に、オーナーができる空室対策は次のようなことがあげられます。

① 入居条件の緩和
② リフォーム/リノベーション
③ 家賃値下げ

すなわち、部屋自体の「商品力」をアップするというアプローチです。

設備や内装がピカピカの最新だったり、ペット可だったり、ピアノ・楽器OKだったりと、アピールする特徴が揃っている方が売りやすいのは確かです。

また、入居者募集をしている仲介会社に相談をすると、まず家賃の値下げを進められます。オーナー側も家賃の値下げ自体には特に出費がないので、ついやってしまう気持ちも分かります。

しかし、家賃の値下げは最終手段になります。では、家賃を下げずに空室を埋めるにはどうしたらいいのか。

上にあげた中では、①「入居条件の緩和」がまずはおすすめです。

ペットを可にする場合は敷金などをあらかじめ多めにすればいいですし、最近は生活保護の方や外国人の方専門の保証会社もあります。それでも不安であれば、入居前に電話や面談を行うなどして人柄を見ればよいのです。

これだけで内見数は増えやすくなります。

リフォームは投資効率を考えろ!

②「物件のリフォーム」などは入退去の際には必須ですが、スペックは必要最低限のレベルであれば十分です。いくら商品を磨いても、上げられる家賃や稼働率には限度があります。

たとえば水回りをいじったりすると、ワンルームでも100万円以上の費用がかかります。生活に支障があれば別ですが、大抵の場合はそこまでしなくても入居する方はいます。

壁紙の張替えや、フローリングの変更などできれいな印象を保つことの方がぱっと見の効果があります。

そもそも、一般的な収益用不動産のターゲットは高所得層ではありません。

間取りや設備や入居条件をどれだけよくしても、物件の立地と広さは変えられません。とれる家賃にも限度があります。
基本的には原状回復だけで済ませるのが鉄則です。

家賃の値下げは最終手段!?

空室対策の中で、一番おすすめできないのが③「家賃の値下げ」です。

物件規模とエリアの家賃相場は決まっていますので、家賃にはある程度の上限があります。それでも家賃が唯一の収入源ですから、ここで妥協してはいけないのです。

空室状態が続くと管理会社は「空室を10カ月作るより家賃を1万下げたほうがプラスですよ」などと勧めてきます。

しかし、単純に家賃の値下げによりキャッシュフローはもちろん減りますし、将来売却を考えた場合に、家賃の値下げは売値が大幅に下がるというデメリットがあります。

建物の経年劣化によって物件の価値も減りますが、家賃の値下げによって表面利回りが下がると、経年劣化による価値の減少以上に売値が下がっていってしまいます。

1円でも多く目先のキャッシュフローを得ようとして安易に家賃を下げて空室を埋めようとすると、売却時の数百万の喪失にもなりえるのです。

さらに、家賃は一度下げてしまうと退去するまで値上げができません。周辺相場がつられて下がると、他の部屋も値下げの対象となり利益は減る一方です。

周辺相場と著しく差がある場合や何かの要因でどうしても空室が埋まらない場合を除き、基本的に家賃の値下げはおすすめしません。

オーナー側でできる空室対策はいくつかありますが、部屋自体は最低限のきれいさを残し、周辺相場に合わせる程度にすることが賢明です。

あとは前回お伝えしたように、オーナー自らが賃貸仲介会社にアプローチをかけ、自分の物件をPRしてもらえるようお願いをすることが収益アップへの近道になります。

以上、村上俊介でした。