破竹の勢い! 中小食品企業支援のヨシムラ・フードHDの成長戦略

外資系金融出身社長の手腕とは?

写真はイメージです

2016年3月のIPO公開価格から株価は約7倍上昇

ヨシムラ・フード・ホールディングス(2884)は食品業界に特化した中小企業の支援・活性化を行う会社です。2016年3月に東証マザーズに新規上場(IPO)、1年後の2017年3月には東証1部に市場変更を行っています。

2018年2月期の会社予想は、売上高が197億円(前年比+21%増)、営業利益が6.5億円(同+32%増)と増収増益が見込まれており、足元の業績は好調なようです。

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また、IPO時の公開価格は880円、上場初値は1320円でしたが、直近の株価は6,000円を超えており、公開価格対比で約7倍に上昇するなど、この間の株価パフォーマンスには目を見張るものがあります。

社長は外資金融出身

同社について、まず興味が持たれるのは、創業者であり現在の代表取締役CEOである吉村元久氏(53歳)の経歴です。

吉村氏が同社を創業したのは2008年ですが、それ以前には大和証券やモルガン・スタンレーにおいて事業法人部に在籍し、上場企業の資金調達や資産の証券化で実績を積んでいます。また、米国でのMBAも取得しており、こうした経歴から見る限り中小の食品会社の経営とは縁遠い金融エリートの印象が持たれます。

ただし、以下に述べるように、同社の事業内容は短期的な利益だけを追求するイメージが強い投資ファンドとは大きく異なります。

M&Aで成長

同社は2008年に創業後、後継者難などの悩みを抱える中小の食品会社のM&Aを繰り返しています。

現時点で楽陽食品(チルドシュウマイの生産量で国内トップ)、白石興産(創業130年の老舗乾麺メーカー)、エスケーフーズ(彩の国優良ブランドに認証された「むさし野とんかつ」が主力商品)、栄川酒造(業歴150年を誇る会津の酒蔵)など12社をグループ会社として保有しています。

これらの事業会社のM&Aは、一般的な買収ファンドのようにバリューアップ後の売却を目的とするのではなく、買収先の中小企業と同じ船に乗り、途中で逃げないということをコミットして行われてきています。

成長を支える独自のビジネスモデル

こうしたM&A戦略による成長を可能としているのが、同社独自の「中小企業支援プラットフォーム」です。

この仕組みは、一言でいえば、グループ会社を機能別に統括することで、相互補完・相互成長を図る仕組みということになります。

経営資源が乏しい中小企業には、「営業力はあるが仕入れ力が弱くコストが高い」、「新製品の開発力はあるが経営管理やファイナンスが下手」など、弱み、強みにばらつきがあるものです。

それを「三人寄れば文殊の知恵」の発想により有機的に補完する役割を担うのが「ホールディング会社」で、そうしたノウハウがこのプラットフォームに集約されています。

今後の注目点

日本の食品業界は市場規模が30兆円と巨大です。また、その大半が中小企業であり、国内の産業の中で事業所数や雇用者数などが一番多いと言われています。さらに、全国的には有名ではないにせよ、長い歴史のなかで培われてきた高い技術力を持った企業も多く存在しています。

一方で、巨大な資金を持つグローバルな投資ファンドや大手食品メーカーにとっては、企業サイズが小さすぎるという難点があるため、資金や人材などで経営支援を求めるニーズには十分に対応しきれない市場でもあります。

このため同社は、既存事業だけからではなく、新たなM&Aによっても今後の成長が見込めると考えられます。また、「中小企業支援プラットフォーム」の活用により、中小企業がお互いの良い点を補完し合って統合することができれば、国内市場だけではなく、単独では難しい海外進出も可能になると期待されます。

いずれにせよ、「食」という人間の生活にとって最も重要な産業の活性化や、日本経済を支える中小企業の成長のためにも、同社の今後の活躍に期待したいと思います。

和泉 美治

参考記事

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和泉 美治

同志社大学文学部卒業後、エルコインターナショナル (現:京セラエルコ) に入社。英国バーミンガム大学にてMBA取得。その後UBSフィリップスアンドドリュー証券 (現:UBS証券) に入社し、調査部にてエレクトロニクスセクターを担当。2002年より2013年までJ.P.モルガンにて産業用エレクトロニクス及び民生エレクトロニクスセクターを担当。日本証券アナリスト協会検定会員。