感謝祭を前にドルが売られた結果、ドル/円が下落しユーロ/ドルは上昇した先週。感謝祭を境に相場状況が変化する年が多い中、今年はどのようになるのでしょうか?

先週の為替市場振り返り

23日が米国の感謝祭の祝日だった先週、休み前のひと仕事とばかりに22日のニューヨーク時間に大きな値動きが生じました。

週明けの20日から下落を開始していたドル/円は22日に大きな下落を見せ、節目価格の112円を割り、111円割れ目前にまで迫る勢いでしたが、111円台はギリギリ維持して感謝祭の休みに入りました。ただし、9月以降節目価格として機能していた112円台割れが確定しました。

また、先々週より上昇の兆しが出ていたユーロ/ドルは、先週一気に上昇トレンド入り。ドル/円の下落とタイミングを合わせて上昇を開始し、3営業日続けての上昇となっています。これで年内の高値水準として意識される1.200ドル台まで約70pipsと、高値更新が射程圏内に入ることになりました。

2017年のユーロ/ドルの推移

ドルインデックスが大幅下落

ドル/円の下落とユーロ/ドルの上昇を導いたのは、ドルインデックスの大きな下落です。感謝祭前の22日にドルインデックスは一気に下落しました。

感謝祭を前にして徐々に投資家が市場から離れ、売買が薄くなっていたところに売り崩すような値動きが発生したため一気に下落が進んだものと考えられます。祝日前後特有の値動きと言えるでしょう。

原油価格(WTI)が58ドル台に突入

サウジの政変前からバレル当たり50ドルを割ることなく徐々に上昇を開始していた原油価格(WTI)が、先週も引き続き上昇を継続し、58ドル台に突入しました。58ドル台に乗るのは2015年以来であり、原油価格は新しいステージに入る可能性があります。

ただし、原油市場はアメリカのシェール企業の勃興で2015年当時とは市場環境が大きく異なっており、そのまま上昇が継続すると単純に判断はできません。しかし、シェール企業の原油生産の損益分岐点が50ドル程度と言われている中、原油価格が上昇を継続している点は注目に値します。

今週の為替市場見通し

今週は28日に次期FRB議長に就任予定のパウエル氏の指名承認公聴会、29日に現FRB議長のイエレン氏の議会証言を控えています。

感謝祭明けの今週から、為替市場は年末モード入りになることが予想されます。例年、感謝祭でポジションを閉じ、クリスマス明けまではポジションを持たない投資家も多くいるため売買が薄くなる傾向にあります。この時期、市場ではV字のような極端な値動きが見られたり、一方向に相場が進むケースがあるため、年末モードで市場を捉える必要があります。

個別通貨ペアでは、114円台半ばで反転したドル/円は、2017年のレンジ相場形成の108円台半ばに向かう値動きとなるかに注目。11月も114円台の上方ブレイクに失敗しており、2017年のドル/円はレンジ相場に終始することになりそうです。

一方、2017年は上昇トレンドが続いたユーロ/ドルは節目価格の1.200ドルに向けた値動きが継続し、さらに上方ブレイクするような値動きとなるのかに注目。

また、58ドル台にまで上昇した原油価格がさらに上昇を続けるのかにも注目です。29日に原油在庫の発表があるため、原油価格に大きな値動きが生じる可能性があります。

まとめ

感謝祭を前にドルが売られドルストレート通貨ペアが大きく動きましたが、これは年末の値動きに向けた号砲となるのか、それとも最後の値動きになるのでしょうか。

感謝祭後の今週から約1カ月、V字等の変な形状のチャートや、一方向に進むようなチャートを形成する相場が続く可能性があります。年末相場特有の値動きに翻弄されないよう注意が必要です。

石井 僚一