目指せ、満室経営!

「想定利回り」という言葉はご存知でしょうか。

投資指標の一つで、不動産投資で投資した金額に対して儲けがどのぐらい出るかを推測するものです。 一般には賃貸物件が満室で稼動している状態を想定してこの数字を作っています。

不動産業者に行くと、この想定利回りを使った物件の収支を見せられます。ただ、想定利回りは物件が全て満室経営されていることが前提であり、さらに言うならば想定賃料が間違っている場合もあるのです。

購入した物件はできれば満室で運営するのが理想的ですが、必ずしもそうとはいきません。

では、満室経営を目指すにはどうしたらいいのか。

そのためには、賃貸物件の管理運営が一つの鍵となります。

賃貸物件の管理運営が上手くいっていると、空室が出てもすぐ新しい入居者が決まる、また長期入居者が増え安定して賃料が得られるようになるのです。

そのため、まず管理会社との最適なお付き合いを目指す必要があります。

管理会社って何してるの?

一口に不動産の管理会社といっても、業務内容は様々で種類がありますが、具体的に何をしているかご存じでしょうか。

賃貸管理業務は、入居者を集める客付けや、入居者の入退去、家賃回収やクレーム対応、建物の修繕やリフォームなど多岐にわたります。

そのため、オーナーである投資家は、家賃回収、修繕、客付けなどをそれぞれ専門としている管理会社、もしくはそれらを統括して手配してくれる管理会社に任せます。

管理会社の業務を大別すると、以下の3種類です。

①ビルメンテナンス(BM):日常清掃、修繕工事、火災・地震保険業務など物件の維持管理
②プロパティマネジメント(PM):入退去、審査、家賃回収など入居者に対する管理
③リーシング(Leasing):入居者募集、広告、内見案内など入居希望者の客付け業務、仲介会社

基本的に、①BMと②PMは同じ会社内で行うことが多いです。③リーシングは委託する場合や、同じ会社内で行っているなど様々です。

管理会社と言ってもBM、PM、リーシングとそれぞれに得意不得意があるのです。

BM/PMの管理会社は、基本的に実際に募集を行うリーシング(仲介会社)と複数付き合い、多くの入居希望者を探します。

ただ、どこの駅にも出店しているような大手仲介管理会社の場合、その系列の仲介会社以外は入居者募集ができないなど、制約がつく場合もあります。

リーシングの仲介会社との結びつきが弱いBM/PMの管理会社だとなかなか入居に結び付きませんし、逆にリーシングをメインでBM/PMを行っている管理会社だとBM/PMの対応が得意でなく長期入居につながらない場合もあります。

それぞれの管理会社の向き不向きをまずは見極め、適切に業務をお願いすることを意識してください。

空室を埋めたいのはオーナーだけ? 業者のホンネとは…

賃貸物件の管理運営は、オーナーである投資家と、BM/PMを行う管理会社、リーシングを行う賃貸仲介が連携して作業します。

ただ、それぞれの思惑は全く異なります。

投資家はとにかく常時満室経営、お金のかかる修繕はしたくありません。

BM/PMを行う管理会社は入居率を上げなければと思うものの、家賃の数パーセントの管理費では儲けにならないので、修繕工事をメインに収入として考えています。「満室と自社の利益が直結する」という気持ちはありません。むしろ大規模修繕をしたいというところが多いでしょう。

リーシングを行う仲介会社は入居者が成約しないと仲介手数料が手に入りません。「どこの物件でもいいからとにかく入居者を決めたい!」と思っています。

広告費を多く出してくれるオーナーの物件や、細かいことを言わない管理会社の物件など、売り上げに直結しやすい物件から動きます。つまり、あなたの物件のほかにも案件はあるため、より成約しやすい物件を優先します。

管理会社のかじ取りをしよう!

今現在、ご自分がお使いの管理会社の動きを見てみてください。

管理の動きや、入退去、クレーム対応、修繕の動きは迅速ですか? 入居付けはどのように行っているか確認をしていますか? 必要以上の修繕はしていませんか?

そもそも管理会社とコミュニケーションはとっていますか?

ご自身の物件の現状をよく知らず、埋まらないと言う前に現状をしっかりと確認してみてください。

ひとつひとつの要素をまとめると、賃貸管理はチームの仕事となります。作業の確認、進捗管理をするのはオーナーであるあなたです。

現状の賃貸管理の改善点を自ら考え動いていけば、コスパ重視で満室経営を行うことも不可能ではありません。

満室経営はチーム作りから!

賃貸経営は管理会社に委託してそれで終わりではなく、オーナーも当事者意識を持ち管理会社と協力することが大切です。管理を単純に他人任せにしていると、常に満室にならず、想定利回りはいつまでも「想定」のままとなってしまうのです。

次回は具体的な空室対策について、賃貸管理チームの中で行うべき作業についてお話します。

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以上、村上俊介でした。