17年ぶりの4横綱時代は看板倒れ、終焉は意外に近いのか

4横綱時代の終わりは景気後退サイクル入りのシグナル?

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17年ぶりの4横綱時代は早くも崩壊の危機?

今年の1月場所後、大関・稀勢の里が第72代横綱に昇進したことで約17年ぶりに実現した“4横綱時代”が、早くも崩壊の危機に直面しています。早ければ、来年1月場所には4横綱でない可能性もあります。

4横綱が揃って千秋楽を迎えたことが一度もない

大相撲ファンには説明不要ですが、現在の横綱は、白鵬、日馬富士、鶴竜、稀勢の里の4力士です。今年の3月場所から約17年ぶりの4横綱となりましたが、初日から4横綱が揃ったのはその3月場所だけです。しかも、その3月場所は白鵬が途中休場となったため、4横綱が揃って千秋楽を迎えたことはただの一度もないという有り様です。

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現在行われている11月場所を含めると、鶴竜は4場所連続休場(直近2場所は全休)、稀勢の里も4場所連続休場(うち1場所が全休)という惨状であり、4横綱の中でただ一人皆勤を続けてきた日馬富士も暴行問題により11月場所は3日目から休場を余儀なくされました。

また、現在一人横綱として孤軍奮闘している白鵬も、今年は2場所休場(うち1場所は全休)となっています。これでは、華々しくスタートした4横綱時代は、完全な“看板倒れ”と言わざるを得ません。

実は4横綱時代は短命

しかし、過去の4横綱時代を振り返ると、その多くが短期間で終焉を迎えていたことがわかります。“4横綱時代=短期間”というのは、相撲界ではよく知られていることだと言えましょう。

過去、大相撲の長い歴史の中で、4横綱時代は15回ありました(注:今回は含めず)。そのうち、10場所以上続いたのはたった2回のみで、最長でも14場所に止まっています。

もちろん、現在の年間6場所制度になった1958年以前の記録を単純比較することはできません。しかし、その1958年以降の6回で見ても、最長で11場所となっており、つまり、2年間も続かなかったのです。また、たった1場所で終わったことが2回もあるのです(注:番付上は2場所)。

なぜ、4横綱時代は短命なのでしょうか。大きな理由として、4横綱時代は1つの“ピーク”と考えられるためです。以下、年間6場所制になった1958年以降の4横綱時代を振り返ってみましょう。

過去の4横綱時代を振り返る(年間6場所制になった1958年以降)

  • 1961年11月場所~1962年1月場所  1場所(番付上は2場所) 大鵬、柏戸、朝潮、若乃花(初代)
  • 1965年3月場所~1966年11月場所  11場所  佐田の山、栃ノ海、大鵬、柏戸
  • 1979年9月場所~1980年11月場所  8場所  三重ノ海、若乃花(2代目)、北の湖、輪島
  • 1987年11月場所~1988年1月場所  1場所(番付上は2場所)  大乃国、北勝海、双羽黒、千代の富士
  • 1990年9月場所~1991年5月場所  5場所  旭富士、大乃国、北勝海、千代の富士
  • 1999年11月場所~2000年3月場所  5場所  武蔵丸、若乃花(3代目)、貴乃花、曙

注:初代と2代目の若乃花は「若乃花幹士」、3代目は「若乃花勝」であり、正式には別の四股名である。

4横綱に少なくとも1人はいる“旬を過ぎた”力士

知らない四股名ばかりだという読者が多いかもしれません。しかし、こうして見ると、多くの4横綱時代には少なくとも1人、いわゆる“旬”を過ぎて力士人生の晩年を迎えている横綱がいることがわかります。また、年齢的には若くても大怪我などで全盛期を過ぎた横綱もいます。

つまり、4横綱とも若くて勢いがあるというケースは稀なのです。唯一の例外が、1987年11月場所から始まった4横綱時代でしょうか。この時は4横綱とも“これからが旬”、あるいは“円熟期”だったと思われます。

ただ、双羽黒の破門同然の廃業によって、たった1場所(番付上は2場所)で終わりました。ちなみに、双羽黒は大相撲廃業後、プロレスや総合格闘技に参戦しましたが、大きな成果は挙げられずに引退しています。

4横綱時代は「山」、その後には「谷」が訪れている

確かに、大相撲の最高位である横綱が4人もいるということは、まさしくピークであると同時に、“世代交代”や“1つの時代の終わり”を意味している可能性が高いと言えましょう。

その証拠と言っていいのかわかりませんが、前掲した6回のうち半分において、4横綱時代が終わってから3年半以内に“一人横綱”時代が訪れています。しかも、そのうち1回は60年ぶりの横綱不在となったのです(1992年7月場所~1993年1月場所)。

「山」もあれば「谷」もある、いずれも長くは続かないというのは、景気の動きと非常によく似ています。

白鵬も全盛期を過ぎた。横綱不在時代の再来もあり得る?

さて、決して年齢だけで判断するつもりはありませんが、4横綱全員が31歳超である今回、その終焉は意外に早い時期かもしれません。

既にご承知の通り、横綱が何場所も続けて休場することは許されるはずがなく、日馬富士の問題の行方も気掛かりです。さらに、白鵬も今年は自身初の年間2場所休場など、全盛期を過ぎているのは明らかです。

今すぐとは言いませんが、現在の大関陣の不甲斐なさを見ると、横綱不在時代の再来も考えないといけないかもしれません。

4横綱時代の終わりは景気後退サイクル入りと概ね合致

ちなみに、偶然かもしれませんが、過去の4横綱時代の終わりは、前述した双羽黒の廃業事件を除くと、内閣府が発表する景気後退期入りと概ね一致しています。

ITバブル崩壊(2000年12月~2002年1月)、内需バブルの崩壊(1991年3月~1993年10月)、第2次オイルショック(1980年~1983年)などが該当します。そう考えると、今回の4横綱時代の行方がなおさら気になります。

葛西 裕一

参考記事

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国立大学卒業後、国内・外資系の金融機関にて23年勤務後に独立。証券アナリストなどの職務を経験し、ファイナンシャルプランナー関連等の金融系資格を多数保有。専門は株式投資、貴金属投資、年金、相続、不動産。