シャープは「8」、ソニーは「1」〜 数字にこだわる両社の未来は明るいか

シャープ東証1部復帰に向けホンハイは持ち株の一部を売却

2017年11月13日、シャープ(6753)は「2016年8月に第三者割当により割り当てた当社株式の割当先から、当該株式について、譲渡した旨の報告がありましたのでお知らせいたします」という内容のニュースリリースを発表しています。

「割当先」とは、ホンハイのテリー・ゴー会長が実質支配するケイマン島のSIO International Holdings社(SIO)のことで、SIOは保有するシャープ株の一部(540万株、発行済株式の1.08%)を約190億円で大和PIパートナーズに売却しています。また、大和PIパートナーズは、一定期間後に株価に大きな影響を与えない方法で速やかに株式市場にて売却を行うとされています。

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ここで注意が必要なのは、今回の売却の主目的がシャープ株の売却益を得ることではなく、シャープ株の流動性の向上を図ること(売買が行われやすくすること)や、ホンハイグループの持分比率を引き下げ、東証1部の上場基準の一つである「流通株式比率が上場株券等の35%以上」という条件を満たすためであることです。

なお、今回の売却により、ホンハイグループの持分は65.86%から64.78%に低下する一方、流通株式比率は34.14%から35.22%に上昇します。

すでにシャープは今年6月に東証に対して東証1部への復帰申請を行っています。業績も改善傾向にあり、残る課題であった流通株式比率の回復も今回の売却によって実現されたため、シャープの東証1部への復帰は時間の問題になってきたと言えます。

なぜ、1.08%の売却なのか?

さて、細かなことですが、ここで気になるのは今回の持分売却が切りの良い1%ではなく、なぜ1.08%なのかということです。その疑問を解くカギは、これまでのホンハイのシャープ株への出資の経緯を振り返ることで明らかになります。

まず、2016年8月に行われたホンハイグループによるシャープへの普通株式による第3者割当増資の発行価格は1株88円、発行新株式数は32.8億株数、調達総額約は2,888億円。

また、同時に種類株も発行しており、発行価格は8,800円、発行新株式数は1,136万株、総額発行は約1,000億円でした。

これを合計すると、ホンハイによる出資額は約3,888億円となります。

ここまででお気づきのように、たくさんの「8」という数字が見られます。

このため、今回の売却が1%ではなく1.08%であったのも、ホンハイグループの「8」という数字への強い思い入れが背景にあった、というのも必ずしも考えすぎではないという気がしてきます。

4Kではなく8Kにこだわるのも「8」への思い入れなのか?

数字の「8」へのこだわりは、現在のシャープの経営にも垣間見ることができます。具体的にはテレビ事業における「8K」への注力です。

その表れとして、家庭用の8Kテレビを2017年12月から日本で発売することがあげられます(画面サイズは70型、価格は100万円前後)。

巷では、ようやく4Kが普及したばかりであり、2018年12月から始まる8Kの商用化放送を行うのも当初はNHKだけにもかかわらず、あえて8Kテレビを投入するのも「8」へのこだわりがあるからなのかもしれません。

また、最近、シャープは8K放送を推進するために必要とされるカメラについても今年12月から発売すると発表しています。

もちろん、この狙いは「8Kエコシステム」を他社よりも早く構築し、将来、先行者利益を享受するためにあると考えられますが、価格も880万円とされているため、ここでも「8」への強い思いれが感じ取れます。

数字にこだわるのはシャープだけではない

ホンハイや現在のシャープが「8」にこだわる理由は、一言でいえば、縁起が良い、つまり験担ぎ(げんかつぎ)であると推察されます。その理由は、中国語の8には「発展」などの意味があり、非常に縁起が良い数字だとされているためです。

ただし、験担ぎかどうかはともかく、数字にこだわるのはシャープに限ったことではありません。最近の例では、ソニーの犬型ロボットのプロモーションがあります。

ソニーは、2017年111日、2018年111日に犬型の家庭用ロボット「aibo(アイボ)」を発売すると発表しています。また、初回の先行予約受付は、111日午後111分よりソニーストアオンラインにて開始され、約30分で完売されたと報じられています。

また、2回目は1111日午前111分から行われ、これも15分で完売したと報じられています。

第3回の予定は現時点では明らかにされていませんが、これまでの経緯から次回は2018年11日ではないかという憶測が飛び交っています。

なぜ、ソニーは1にこだわるのか。それは「1」は、英語では犬の鳴き声と同じ「ワン」だと考えるのが自然でしょう。1月1日であれば「ワン・ワン」、11月1日であれば「ワン・ワン・ワン」、11月11日は「ワン・ワン・ワン・ワン」という、わかりやすい予約日になっています。

数字にこだわる両社ですが、どちらがマーケットを掴みビジネスとして成功していくのか。その行方を今後も注視していきたいと思います。

和泉 美治

参考記事

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和泉 美治

同志社大学文学部卒業後、エルコインターナショナル (現:京セラエルコ) に入社。英国バーミンガム大学にてMBA取得。その後UBSフィリップスアンドドリュー証券 (現:UBS証券) に入社し、調査部にてエレクトロニクスセクターを担当。2002年より2013年までJ.P.モルガンにて産業用エレクトロニクス及び民生エレクトロニクスセクターを担当。日本証券アナリスト協会検定会員。