衆議院選挙は大方の予想どおり自民党の圧勝に終わりました。

先月10月には、株価が21年ぶりの22,000円台を回復。選挙戦で自民党は、着実な景気回復や失業率の低下など、アベノミクスによる政策の成果だと各方面で訴えていました。確かに、現在は長期的な株価上昇のトレンドの中に私たちはいるでしょう。

しかし、本当にいまの株価上昇はアベノミクスによる効果なのでしょうか?

違います。実は、現在の株価上昇や好況感は、日本の人口動態における積極消費を行う層(積極消費者層)が最大になっているからなのです。

株価上昇はアベノミクスのおかげではない

アベノミクスによる金融緩和などは、そもそも消費が拡大するトレンドの中にあって、その流れをほんの少し刺激しているに過ぎません。

なぜ、このような大胆なことが言えるのか?

いまから25年前に、アメリカのFortune Top100選出のコンサルタント、ハーバード大MBAのハリー・S・デント氏は、「根本的に景気動向は人の消費行動に左右される。人生のうちで一番お金を使う年代は46歳前後であり、全人口のうちで46歳人口が最も多くなる時期に景気は最も良くなる」ということを著書『The Great Boom Ahead』(1992年)の中で発表しました。

つまり、ハリー・S・デント氏によると、その国の株価指数は46歳人口動態とピタリと一致するというのです。現に、現在の株価好調は、46歳人口が多くなる時期と一致しています。

現在の46歳人口は、「団塊二世」と呼ばれ、全人口で2番目に多い世代ですが、「団塊二世」の親の世代である「団塊の世代」と呼ばれる昭和20年代生まれの世代が46歳前後であった時、まさしくこの世代は全人口で最も多い世代となり、日本は平成バブルの超好景気に沸いたわけです。

なぜ46歳人口と株価が連動するのか?

では、なぜ、46歳人口と株価が連動するのでしょうか? それは、この年代前後の世代は、収入も多くなると同時に、否が応にもお金を使わなければならなくなるからです。

たとえば、親が46歳前後の家庭は、子供は中・高校生であることが多く、学費もかかり、塾にかかる出費がかさみます。さらに、この年代の持ち家率は高く、住宅ローンの負担もかさみます。つまり、この年代は、お金を借りてでもお金を使わなければならない、そんな世代なのです。

現に、私はいま48歳ですが、44歳頃から子供2人を私立の学校に通わせており、学費だけでなく、食費、衣類、旅行、車(交通費)にかかる費用など、家計のあらゆる出費は毎年、過去最高を記録し続けています。

「団塊の世代」である私の父親が46歳前後の時も、まさしく平成バブル前後。同じように住宅ローンや子供3人の学費で家計は火の車だったと記憶しています。

先進国の株価は人口動態が影響している

ハリー・S・デント氏の人口動態理論は、アメリカの景気もピタリと当てており、2000年のITバブル崩壊、2008年の住宅バブル崩壊からのリーマンショックも、すべて彼の予測どおりになっています。

現在、NYダウ株価が過去最高値を記録し続けているアメリカ経済は、10年に一度、大きなリセッションが起こるといわれていますが、2008年のリーマンショックからもうすぐ10年。

ハリー・S・デント氏はあるインタビューの中で、アメリカの人口動態を読み解くと、今後4年以内に「歴史で最も大きい世界的なバブル崩壊」を目撃することになり、NYダウも日経平均も3分の1になる可能性があると指摘しています。

その引き金は、世界中で行われてきた金融緩和による大規模な財政バブルの崩壊かもしれません。実は皆さんご存じの『金持ち父さん、貧乏父さん』で有名なロバート・キヨサキ氏も、「私たちが経験した2008年の金融危機よりはるかにひどいクラッシュとなるだろう」と予測しています。

日本で考えうる最悪のシナリオに備える方法とは?