2年連続でリーグ優勝を果たした広島東洋カープ。その躍進とともに “カープ女子”が注目を集めています。しかし、カープ女子の存在は今に始まったものではありません。今回は低迷期から声援を送り続けたカープ女子について見ていきましょう。

「親子三代カープファン」が多く存在する広島

プロ野球チームが所在する地域では、親子代々同じチームを応援しているという場合が少なくないでしょう。特に関西の阪神熱は有名ですが、とはいえ大都市圏の関西では他地域出身以外の住民も多いので、“阪神一色”という世間一般のイメージは、やや盛られている面がないとも言えません。

一方、阪神同様、熱いファンが多いことで知られるのが広島東洋カープ(以下、カープ)。広島は関西と異なり、”わしは広島人じゃけー”という生粋の広島人が多数派です。そんな広島では、親子三代続けてカープファンという家庭は珍しくないようです。

市民にとって身近な存在の広島カープ

広島市民球場(初代は2010年に閉鎖)という名前が象徴するように、広島ではカープと市民の距離が非常に近いという特徴があります。

初代の広島市民球場は平和記念公園に近い街の中心地に位置し、チケットが比較的入手しやすいこともあり、会社帰りはもちろん親子連れでの野球観戦も敷居が低かったと見られます。

家族での野球観戦には男の子だけでなく女の子も連れ出され、三代揃ってカープ戦の観戦という光景も珍しいものではありませんでした。また、球団側も以前から女性向けグッズを販売する等、女性向けのマーケティング活動を地道に行っていたことも見逃すことはできません。

こうした背景や地域性もあり、カープ女子の存在はカープ低迷の時代から脈々と受け継がれていたと言えるでしょう。カープの躍進とともに話題となったカープ女子に倣い、他球団でもオリ姫(オリックス・バファローズ)やジャイ子(読売ジャイアンツ)のように女性ファンの名称を広めようという動きがありますが、カープ女子は他と比べると年季が違います。

余談ですが、選手と市民の近さという意味では、関西や関東の球団と異なり、広島の街ではカープの選手と遭遇する機会が少なくありません。逆にカープの選手は、広島市内では充分に羽を伸ばせないそうですが。

“第2期黄金期”を迎えつつある今、さらにカープ女子は増加中

現在のカープの本拠地は、Mazda Zoom-Zoom スタジアム広島(マツダスタジアム)。マツダスタジアムはさすがに街の真ん中にあった広島市民球場とまではいきませんが、広島駅から徒歩約10分という好立地にあります。

新しい球場を広島駅に隣接する地域に確保できた幸運もあり(元はJR貨物の東広島貨物駅)、球団と市民の距離の近さは今も健在です。そしてボールパーク化したマツダスタジアムは、カープの活躍とあいまって今や連日満員御礼状態。

そんな中、カープ女子の数はさらに増加中のようです。今は“カープ女子ブーム”といった状態ではありますが、元々のカープ女子に加え、ブームで増加した中からも継続的なカープ女子が出てきそうです。

まとめ

カープに限りませんが、チームの低迷期に応援してくれるのが最もコアなファンと言えます。長く苦しい時期の続いたカープですが、その低迷期から親子三代で支えるファンと、その中から出るカープ女子は、“市民球団”として地元に根付いているカープならではという面もあるでしょう。

2年続けてのリーグ優勝で盛り上がる広島ですが、これからもカープ女子は、ブームに関係なくカープを支えていくのではないでしょうか。

石井 僚一