2017年7月28日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より119円80銭安の19,959円84銭となりました。終値が2万円台を割り込むのは25日以来です。

政局の不透明感などから、日経平均は2万円台を割り込む

27日の米市場でハイテク株の割合が高いナスダック総合株価指数が下落したことから、28日の東京市場では半導体関連銘柄などに売りが出ました。半導体製造装置大手の東エレクトロン(8035)が一時、7%超下げるなどしました。

ただし、米国のダウ工業株30種平均、ナスダック総合株価指数、S&P500種株価指数の、いわゆる主要3指数は好調が続いています。28日にはナスダック、S&P500は小幅安となりましたが、27日には一時、3指標はそろって最高値を更新しました。ダウ平均は28日も続伸し、3日連続で過去最高値を更新しています。

海外では米国のみならず、インド、ブラジルなどの株式市場も伸びています。日経平均だけが出遅れ感があります。

要因の一つは為替です。28日は、米実質国内総生産(GDP)が市場予想を下回ったことを受け、米連邦準備理事会(FRB)が追加利上げを急がないとの見方が広がりました。ニューヨーク外国為替市場で円相場は反発し、1ドル=110円60~70銭で取引を終えました。6月中旬以来の円高・ドル安水準となっています。

加えて懸念されるのが、日本の政局の不透明感です。28日に稲田朋美防衛相が辞任を表明すると、日経平均株価は一時、150円以上下落しました。内閣改造を行ったとしても、安倍政権の支持率が回復するかどうかは疑問です。

28日夜には北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)級の弾道ミサイルを発射するなど地政学リスクも高まっています。

一方で、国内企業の2017年4~6月期の決算は好調です。投資家も当面は、好業績銘柄を個別に物色する動きになりそうですが、チャンスは積極的に取りに行きたいところです。

狭いレンジでもみ合い、方向感がつかみにくい

今週の動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。2万をはさんで膠着状態が続いています。今週の安値は24日の19,901円、高値は27日の20,176円でした。値幅も狭く、ほぼ横ばいといったところです。

現状は、25日移動平均線に上値を抑えられる形になっています。5日移動平均線と25日移動平均線でデッドクロスが形成されました。ただし、値動きが小さいことからこれがただちに下方向への動きになるわけではないでしょう。

三角持ち合いからどちらの方向に抜けるかがポイント

今後の動きはどうなるでしょうか。チャートは、6月20日からの下降トレンドライン、6月15日と7月7日の安値を結ぶ上昇トレンドラインに挟まれた三角持ち合いの形になっています。先週、今週と値幅が狭くなり、ローソク足はその三角形の先端に近づいています。

セオリーとしては、ここから上方向か下方向に抜けることによって、新たなトレンドが形成されるところです。方向感の判断は難しいところですが、75日移動平均線が上向きであることや、企業の好業績など環境は悪くないことから、上放れに期待したいところです。

ただし、商いが薄い傾向が続いていることから、判断は値動きを確認してからのほうがいいでしょう。足元の上値めどとしては6月20日の20,318円、下値めどとしては7月7日の19,856円となります。いずれかを抜けた場合は積極的に動きたいところですが、その間ではレンジ相場になることも考えられます。19,700円付近までの調整であれば押し目を狙っていく戦略もあります。

下原 一晃