日経平均株価が1年半ぶりに2万円を突破してから早1カ月半

日経平均株価がちょうど1年半ぶりに2万円の大台を突破してから、早1カ月半が過ぎようとしています。この間、株価は利益確定売りなどから一時19,755円まで下落しましたが、その後は逆に一時20,318円まで上昇する場面が見られました。

現在(7月12日)は、20,000円をわずかに上回る水準が続いていますが、取引時間中は2万円を割り込む場面も散見されます。日々の出来高や売買代金などを見ても、株価は膠着状態に入ったと言えます。もう少し具体的に言うならば、概ね19,800円~20,200円のボックス圏相場ということになります。

日経平均株価の過去3カ月間の推移

今後の相場見通しについて、現在も強気論と慎重論が交錯

現在、株式市場関係者の間では、強気論と慎重論が交錯しているようです。確かに、海外では米国経済の力強さは続いていますが、上昇が続いてきた米国株式相場は上値が重くなっています。

一方、国内に目を向けると、安倍政権への支持率が急落し、加計学園等の様々な問題で政府対応への不信感が強まっています。ただ、企業のファンダメンタルズは堅調で、昨今の円安進行等から、輸出企業を中心として好業績への期待が膨らんでいるとも言えましょう。

こうした好材料・懸念材料が入り混じった結果として、現在の膠着相場が形成されていると考えられます。多くの個人投資家にとって気になるのは、このボックス圏相場が今後、上に抜けていくのか、それとも下に抜けていくのかということでしょう。その答えは誰にもわかりません。相場が動き出してから“結果論”として出てくるに過ぎないのです。

膠着相場になった今こそ吟味したい相場格言

さて、こうした時に役に立つかもしれないのが、「相場格言」です。相場格言はあくまでも格言であり、常に正しいとは限りません。

しかし、昔から株式相場に伝わる格言には、先人たちの経験と知恵が凝縮されています。2万円を付けて膠着相場になった今、改めて吟味しておきたい3つの格言を選んでみました。

急くゆえに安きを売りて、あたまから高きを買うて、唐臼を踏む

証券会社の営業マン・セールスレディや、テレビや新聞に出てくる市場関係者(ストラテジストやアナリスト)が、株高をはやし立てて強気に論じるのは、相場が上がりはじめた時ではなく相場が過熱した時が多いから注意しなさいという意味です。また、相場に弱気になって売りを奨めてくるのも、相場が下がり始めた時ではなく相場が底を打った時でもあります。

一方、現在のような膠着相場になると、売りにも買いにも動かない(動けない)投資家が多くなるため、証券会社は手数料収入が減って困ります。そこで、何とか投資家の重い腰を上げさせようとして、「今が絶好の買い場」「今が絶好の売り場」というように巧みなセールストークを持ちかけることもあるかもしれません。

重要なことは、個人投資家は自らの冷静な判断を失うことなく、こうしたセールストークを参考程度に聞く余裕を持つことでしょう。また、テレビ、新聞、雑誌に出てくる解説記事や推奨記事も同様です。自分自身の軸を見失うことなく、冷静になることが求められます。

買いにくい相場は高く、買いやすい相場は安い

これは、“買いにくいと思って投資を見送った時に限ってその後は上昇し、買いやすいと思って買うとその後は下落する”ということを指しています。このような経験、一度はあるのではないでしょうか?

この投資格言が意味するのは、買いにくいと思った時が投資チャンスかもしれない、買いやすいと思った時が利益確定チャンスかもしれない、常に逆のことを考えて行動しようということです。

現在の膠着相場がいつまでも続くということはなく、たとえば、上に抜けて上昇し始めた時、“買いにくい”と思って投資を見送ると、流れに乗り損ねる可能性があります。ただ、何も考えずに付いて行くのも危険です。上に抜けた時、下に抜けた時を常にイメージして、心の準備をしておくことが大切でしょう。

休むも相場

個人投資家の中には、常に何かに投資をする、つまり、何らかの投資ポジションを持っていないと気が済まないというタイプが少なくありません。これはある意味で危険です。

株式投資で重要なことの1つは、相場のトレンドを読むことです。この先は上昇するのか、それとも下落するのか、そうした大局的な見方が必要不可欠です。ただ、それを読み取る、予想するのは簡単なことではありません。投資のプロと言われている機関投資家でも見誤ることが多々あるのです。

それが分からない時は、無理をして売り買いすることは危険です。そういう時は、休むことも必要なのです。「休む」一方で、次の投資戦略を立てることも立派な投資行動と言えましょう。

膠着相場が崩れる時の準備をしておこう

いかがでしたでしょうか。今後の相場の動きが気になるところですが、まずは冷静な見極めが必要です。

野村證券のウェブサイトにある「ボックス圏相場」の用語解説には、「箱の中に閉じ込められたかのように、一定の価格帯で上下している相場状況を指す。相場の先行きを決定づける材料が乏しいときなどはボックス圏に入りやすい」とあります。

これは、逆に考えると、何らかの材料が出てきたときは閉じ込められていた箱を破るということです。その箱を破るときに備えておきましょう。

LIMO編集部