トランプ大統領の議会演説は無難に通過し、安心感が広がる

2017年3月3日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より95円63銭安の19,469円17銭となりました。

前日まで3日続伸していましたが、週末を前に利益確定目的の売りが広がりました。2日の米株式市場でダウ工業株30種平均が前日比で112ドル以上反落したことや円安の一服感の影響も受けました。ただし、ダウ平均は3日には小反発し、底堅さを感じます。

米株式相場の勢いが強くなっています。2月27日まで、ダウ平均は12日連続で最高値を更新しました。12連騰は約30年ぶりです。

28日には、トランプ米大統領が就任後初めて上下院合同会議で演説しました。減税規模などなど具体的な内容に踏み込まず、目新しい内容ではなかったものの、過激な発言もなく無難に通過しました。市場にとっては、具体的な数値が出てこないのは織り込み済みだったようです。

今後の展開はどうなるでしょうか。トランプ大統領は議会演説では詳しい政策に言及しなかったものの、3月中旬には予算教書が提出されるとする見方もあります。ここでも具体性に欠けるようであれば、失望感につながる可能性があります。

日本の株式に大きな影響がある為替についてはどうでしょうか。米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は3日、シカゴ市での講演で、3月14日~15日に行われる次回の会合で追加の利上げを検討する方針を示しました。

これを受けて、3日のニューヨーク外国為替市場では一時、1ドル=114円75銭前後まで円安・ドル高が進みました。引けにかけては利益確定のドル売りが進み、114円00銭前後で終えています。

世界で株高が進む一方で、日経平均だけ足踏み状態が続いています。一方で、2日には、ザラ場ベースで年初来高値を更新しました。昨年末から続く持ち合いを抜け、一段上の上昇トレンドに乗ってくるのではないかと期待も高まっています。

長らく上値抵抗線となっていた1月5日の19,615円を超える

今週の動きをテクニカル面から見てみましょう。大きなポイントは、ザラ場ベースではありますが、一時、1月5日の高値(19,615円)を超えたことです。

2日の高値は19,668円まで上昇しました。1月5日の高値は、これまで1月27日、2月13日と2回にわたりトライしてきましたが、上値を押さえられて反落していました。「3度目の正直」で更新できたわけです。

新たな上昇トレンドが形成され、2万円超まで視界が広がる

今後の動きはどうなるでしょうか。1月18日に安値(18,650円)を付けてから、三角保ち合いの形が続いていました。と言っても、チャートの形としては上値が一定で下値が切り上がるアセンディングトライアングル(上昇三角形)の形でした。強気のチャートの形です。

その上値抵抗線を抜けたことから、1月18日の安値、2月7日の安値、2月27日の安値を結ぶ新しい上昇トレンドラインができました。目線は上に持っていいと思います。

上値のめどとしては、まずは3月2日の高値(19,668円)となります。一度抜けてしまっていることから、1月5日の高値(19,615円)の抵抗力は弱くなっていると考えられます。

19,668円を抜けると、実は、目立った節は、2015年12月1日の高値(20,012円)ぐらいしかなく、視界は広がっています。

来週初に下落から始まるようであれば注意が必要ですが、それでも25日移動平均線のある19,300円あたりまでは押し目買いの好機と見ていいでしょう。

下原 一晃