共働き世帯の増加にともないニーズが高まる

政府が働き方改革を進めています。今後は多様な働き方が広がるとともに、共働き世帯も増加することになるでしょう。掃除、洗濯、調理などの家事にかけられる時間が取れないと悩む人も増えそうです。

これらのニーズに応えるものとして、時短商品が開発・販売されるようになっています。「時短商品マーケット」が今後、拡大しそうです。いくつか関連企業を紹介しましょう。

「時短商品」にはさまざまなものがありますが、その機能に応じて大きく3つに分けることができると思います。まずは、作業そのものの時間を短縮する商品です。炊飯器の早炊きモードや、洗濯機のスピードコースなどです。

時短商品のもう1つの分類は、「お任せ」です。たとえばロボット掃除機です。作業時間は短縮されません(むしろ長くなることもあります)。ただし、勝手にやらせている間に別の作業ができるので、トータルでは時短になります。

時短商品の3つ目の分類は、使いたいと思ったときにさっと出して使えるもの。最近では、コードレスのスティック掃除機なども人気です。

掃除や調理で「お任せ」型の商品がヒット

「任せてやらせておけば、掃除が楽しく簡単になる」と評判なのがロボット掃除機です。米アイロボット社のルンバが有名ですが、国内勢も参入し競争が激しくなっています。

パナソニック(6752)の「ルーロ」は三角形が特長。日立アプライアンスの「ミニマル」はその名のとおりコンパクトさが売りです。東芝ライフスタイルの「トルネオロボ」は充電ステーションにダストボックスが搭載されており、約1カ月ゴミ捨てが不要だとか。

最近では、ロボット掃除機に加え、自動水拭きロボも登場しています。掃き掃除のロボットと拭き掃除のロボットは別のものですが、今月には、それを両方できるロボットも発売されました。

調理の「お任せ」ができると注目されているのが、最新のオーブンレンジです。お任せ調理に早くから取り組んできたのが、シャープ(6753)です。

同社は過熱水蒸気を用いた調理ができる家庭用オーブンレンジ「ヘルシオ」を、2004年に業界で初めて発売しました。冷蔵、冷凍、常温の材料を同時に、しかも、レシピと違う材料でも、適当な分量でも、皿に載せてスタートボタンを押すだけで調理ができます。

シャープのヘルシオシリーズには、無水調理ができる電気鍋「ヘルシオホットクック」もあります。野菜など食材に含まれる水分を活用して調理するため、食材の栄養素が残るとされます。材料を切って調味料と一緒に入れるだけで、かきまぜや火加減も任せておけばいいので便利です。

時短商品はエネルギー削減の効果も

洗濯機には従来から「スピードコース(お急ぎコース)」などの設定があります。標準コースに比べて約10分~30分程度洗濯時間の短縮ができるものもあります。

ただし、ここでのポイントは、スピードコースに適した洗剤を使うこと。ライオン(4912)の「トッププラチナクリア」、花王(4452)の「ウルトラアタックNeo(ネオ)」、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)の「アリエール スピードプラス」などは、「スピードコースで標準コースと同等の洗浄力」を訴求しています。

調理では、食品の素材や調味料などの時短商品も登場しています。野菜の通信販売を行うオイシックス (3182)は、食材とレシピが一緒になっているキット「Kit Oisix」を発売しています。主菜と副菜がセットになり、20分以内に完成できるとか。

時短商品の提供をCSRに掲げている企業もあります。日清製粉グループ本社(2002)です。グループの一員である日清フーズは、パスタに独自の切り込みを入れることでゆで時間を約半分にした早ゆでスパゲティを提供しています。同社はほかにも、レンジでから揚げができるから揚げ粉なども発売しています。

時短商品は、ユーザーの利便性の向上だけでなく、エネルギー消費の削減などの効果もあります。また、個人投資家にとっては、今後の銘柄選定の1つのポイントにもなりそうです。

下原 一晃