“社会人になったら一人暮らしをした方が良い”という話、一度は聞いたことがありませんか?

親元を離れ一人暮らしを始めるきっかけは進学や就職など様々ですが、一方で親元を離れない人もいます。親と同居を続ける理由は何でしょうか。また、一人暮らしをすることに対しどのように考えているのでしょうか。今回マンションサプリでは、現在親または祖父母と同居中の未婚男女を対象にアンケート調査を行いました。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000016.000014183.html

▼調査概要
調査実施時期:2016年9月6日~2016年9月13日
調査対象者 :20代~50代の未婚男女
有効回答数 :326名
調査方法  :インターネット調査

なぜ親または祖父母と同居しているのですか?

男女の違い

男女共に同居理由のトップ3は同じで、割合に若干の差はあるものの大きく違いはないようです。第1位は「生活費を節約したいから」で男性28.3%、女性32.0%と、男女ともに全体の約3割を占めています。続く第2位は「特に理由はない」(男性22.2%、女性21.9%)、そして第3位は「家事や炊事をしてもらえるから」(男性16.7%、女性14.1%)がランクインしています。

世代別の違い

20代

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▼20代男性ランキング
1位 生活費を節約したいから(33.8%)
2位 特にない(25.4%)
3位 家事や炊事をしてもらえるから(16.9%)
4位 職場が近いから(11.3%)
5位 親にいてほしいと言われるから(7.0%)
6位 一人暮らしは寂しいから(2.8%)
7位 介護のため・その他(1.4%)

▼20代女性ランキング
1位 生活費を節約したいから(38.0%)
2位 特にない(26.0%)
3位 家事や炊事をしてもらえるから(14.0%)
4位 職場が近いから・親にいてほしいと言われるから(8.0%)
6位 一人暮らしは寂しいから(4.0%)
7位 その他(2.0%)
8位 介護のため(0%)
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20代では第1位「生活費を節約したいから」(男性33.8、女性38.0%)、第2位「特にない」(男性25.4%、女性26.0%)、第3位「家事・炊事をしてもらえるから」(男性14.0%、女性16.9%)で、割合に若干違いがあるものの、男女ともにトップ3が同じ順位になっています。全ての年代の中で「生活費を節約したいから」を選択した割合が最も多かったのも20代です。本調査には学生も含まれていますが、社会人であってもほかの世代に比べると、給料が低いことや貯蓄額が少ないことが背景にあると考えられます。

30代

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▼30代男性ランキング
1位 生活費を節約したいから(28.4%)
2位 家事や炊事をしてもらえるから(22.4%)
3位 特にない(16.4%)
4位 職場が近いから(11.9%)
5位 介護のため(9.0%)
6位 その他(6.0%)
7位 親にいてほしいと言われるから・一人暮らしは寂しいから(3.0%)

▼30代女性ランキング
1位 生活費を節約したいから(30.0%)
2位 家事や炊事をしてもらえるから(20.0%)
3位 一人暮らしは寂しいから(15.0%)
4位 親にいてほしいと言われるから・特にない(10.0%)
6位 その他(7.5%)
7位 職場が近いから(5.0%)
8位 介護のため(2.5%)
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30代は男女ともに第1位「生活費を節約したいから」(男性28.4%、女性30.0%)、第2位「家事や炊事をしてもらえるから」(男性22.4%、女性20.0%)がランクイン。ランキングだけみると20代と大きくは変わらないようです。しかし「生活費を節約したいから」の30代回答者の割合をみてみると、20代に比べ減少しているのに対し、「家事や炊事をしてもらえるから」の回答者の割合は増えています。

30代は、仕事の責任も大きくなり男女ともに仕事が忙しくなる人も多いのではないでしょうか。家事や炊事をしてくれる家族がいることは確かに大きなメリットとなりそうです。結果を見ても、全世代の中で「家事や炊事をしてもらえるから」と回答した割合が最も高いのは30代となっています。

さらに30代の回答で特徴的なものが他にもあります。「一人暮らしが寂しいから」と回答した30代女性の割合が15%を占め、30代女性の同居理由の第3位にランクインしています。この結果は、男性や女性の他の世代に比べると圧倒的に高い割合です。単純に利害ではなく、心理的な理由から実家暮らしを選択する女性は少なくないことが分かります。

40代

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▼40代男性ランキング
1位 特にない(30.3%)
2位 生活費を節約したいから(27.3%)
3位 家事や炊事をしてもらえるから(15.2%)
4位 職場が近いから・その他(9.1%)
6位 介護のため(6.1%)
7位 親にいてほしいと言われるから(3.0%)
8位 一人暮らしは寂しいから(0%)

▼40代女性ランキング
1位 生活費を節約したいから(25.0%)
2位 特にない(20.8%)
3位 職場が近いから・家事や炊事をしてもらえるから・親にいてほしいと言われるから・介護のため(12.5%%)
7位 その他(4.2%)
8位 一人暮らしは寂しいから(0%)
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40代では、「生活費を節約したいから」の回答理由はランキングにすると上位になるものの、回答率は他の世代に比べると低く、節約以外の目的が高まっているのでしょうか。

女性においては「介護のため」が12.5%と大きく増加している一方で、男性においては「特になし」の回答が30.3%を占めています。ある程度収入も安定し、必ずしも親や祖父母との同居が必要ではないが、とりわけ別居する理由もないという人が多いようです。

50代

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▼50代男性ランキング
1位 介護のため(44.4%)
2位 生活費を節約したいから・特にない(22.2%)
4位 家事や炊事をしてもらえるから・親にいてほしいと言われるから(5.6%)
6位 職場が近いから・一人暮らしは寂しいから・その他(0%)

▼50代女性ランキング
1位 特にない(41.7%)
2位 生活費を節約したいから(33.3%)
3位 職場が近いから・親にいてほしいと言われるから・その他(8.3%)
6位 家事や炊事をしてもらえるから・一人暮らしは寂しいから・介護のため(0%)
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50代女性は「生活費を節約したいから」(33.3%)と「特にない」(41.7%)の2つの回答がほとんどを占める一方、男性では「介護のため」の回答者が44.4%と急激に増加し、50代男性の同居理由第1位にランクインしています。回答者の世代の上昇に伴い、親の年齢も上がります。30代までの自分本位な理由というより、“親のための同居”を選択している人が他の世代に比べ圧倒的に多いことが読み取れます。

一人暮らしをする予定がある、もしくはしたいと思いますか?

現在は親・祖父母と同居中の方々ですが、今後一人暮らしをすることに対し、どのように考えているのでしょうか?

将来的な一人暮らしについては、男女ともに年齢が上がるにつれ意欲が下がる傾向にあるようです。背景としては、先ほどの同居理由にもあったように、回答者の年齢が上がるほど、自分が同居をしたいかどうかではなく、しなくてはならない状況にある人が増える傾向があることが考えられます。

自立心の有無は「同居の理由」で一目瞭然!?

次に、現在同居をしている理由によって、将来的な自立への意欲に違いがあるのか確認してみましょう。

「節約」や「職場との距離」が理由の人は、『本当は一人暮らしがしたい!』

男女ともに同居の理由が「生活費を節約したいから」や「職場が近いから」と回答した人は、今後の住まいの意識について「一人暮らしする予定がある」「一人暮らしをする予定はないが、したいと思っている」と回答した人が、男女ともに全体の6割を超えており、一人暮らしに前向きな意識が高いと言えます。現在「生活費を節約したいから」「職場が近いから」といった理由で親や祖父母と同居している人が、いずれ一人暮らしをしたいと思う理由を見てみましょう。

▼「一人暮らしをするつもり」「一人暮らしをする予定はないが、したいと思っている」の回答理由

・「自立のため。(25歳男性)」
・「自立したいから。(30歳女性)」
・「一人暮らしを経験したい。(24歳女性)」
・「金銭的な部分で一人暮らしをしていないだけなので、給料が上がればしたい。(34歳女性)」
・「一人暮らしをしたいが諸々の状況から同居せざるを得ない。(28歳女性)」
・「結婚を機に親元を離れようと思っている。(44歳男性)」

一人暮らしをしたいと思う理由として多く挙げられていたのが「自立のため」という回答。自分の意思というより、必要に迫られて同居している人は、「一人暮らし=自立」とし、現在の同居せざるを得ない状況を脱却できれば、すぐにでも一人暮らしを始めたいという思いが強くあることが伝わります。

『一人暮らしはしない』のホンネは?

一方、「一人暮らしをする予定もなく、したいとも思わない」と考えている人の割合が高かったのは「家事や炊事をしてもらえるから」や「特にない」の回答者。一人暮らしをしたいと考えている人は、男性で約半数、女性においては4割にも満たない数にとどまっています。なぜ一人暮らしをしたいと思わないのか、理由を見てみましょう。

「一人暮らしをする予定もなく、したいとも思わない」の回答理由

・「親と一緒の方が家事をやってもらえるので、楽だから。(42歳男性)」
・「そのほうが楽だから。(32歳男性)」
・「両親は一人暮らしをしてほしい様子。一人っ子なのでまあ家にいるのもいいかなあと思っている。(34歳女性)」
・「ニートだし寂しがり屋なので、絶対に一人暮らしはしたくない。(30歳女性)」
・「めんどくさいから。(31歳男性)」
・「実家のほうが楽なので。(32歳男性)」
・「特に必要とも思わず、結婚したら出れば良いかな、と思っている。(33歳女性)」

経済的に一人暮らしが可能でも、親や祖父母と同居している人は、将来的にも自ら一人暮らしを選択する意思は低い傾向がありそうです。今後、一人暮らしをしたいと思わない理由も、「親と同居していた方が楽」という回答が多く見られ、社会人になってからも身の回りのお世話も親にしてもらっている人が少なくなさそうです。また、「一人暮らしをするつもり」の回答者であっても、その理由は「親から自立しろとの要望もある。(35歳男性)」や「両親に家を出て独立しないと自立したと言えないと言われているから。(26歳女性)」といった、自発的に家を出ようとするものではないと感じる回答も少なくありません。決定的な理由がなく、なんとなく同居を続けている人も同様、今後結婚や転勤といった別居の必要に迫られるきっかけがない限り、あえての“一人暮らし”は難しい選択なのではないかと考えられます。

まとめ

社会人になってからも親元を離れずに暮らし続ける人に対し、怠惰な理由から同居をしていると判断されることも少なくないと思いますが、“自立したい”という意識が高い人も多くいるようです。

しかし、家事や炊事などをしてもらうために同居している人は、“一人暮らしはできてもしない”という選択に近く、今後自らの意思で別居を決断することはなかなか難しいかもしれません。年齢が上がるごとに、あえて別居に踏み出す必要を感じにくくなることから、同居を続ける人も多いのではないでしょうか。たとえどんな理由があろうとも、親との同居は永遠には続かないもの。いずれくる自立の日のためにも、ある程度の準備は必要かもしれません。

 

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