トランプ大統領の言動に一喜一憂する動きが続く

2017年2月3日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より3円62銭高高の18,918円20銭となりました。1月25日に終値が19,000円を上回り、ずっと割れることはなかったのですが、7営業日ぶりに19,000円を下回りました。

要因の一つには昨今の円高傾向があります。トランプ米大統領が「日本と中国が自国通貨安・ドル高を誘導している」と発言すると、円が買われ、ドルが売られる流れとなりました。

1日の連邦公開市場委員会(FOMC)後の声明を受けて、目先の利上げ観測が後退したことも、ドル売りにつながりました。

ドル高けん制発言のみならず、金融市場はトランプ大統領の言動に翻弄されています。1月27日に難民やテロ懸念国の市民の入国を制限する大統領令に署名すると、ダウ平均は2万ドルを割り込みました。

一方で、トランプ大統領は3日、米金融規制改革法(ドッド・フランク法)の見直しを支持する大統領令に署名。金融機関の規制緩和の進展が期待されることから金融株を中心に買いが入りました。

3日には米労働省が1月の雇用統計を発表しましたが、非農業部門の雇用者数が市場予測を大きく上回ったこともあって、ダウ工業株30種平均は反発し、5営業日ぶりに2万ドル台を回復しました。

今後の展開はどうなるでしょうか。相場はトランプ大統領の動きに一喜一憂といったところで、なかなか方向感が見えにくいところです。

1日に利上げを見送ったFOMCも、雇用数の増加など好調な景気の動きを受けて、次回のFOMCでは再度利上げを議論するのではないかと見られています。

10日には米ワシントンで日米首脳会談が行われます。トランプ大統領は、米国での雇用創出や日本のさらなる市場開放を求めてくることが考えられます。米国の環太平洋経済連携協定(TPP)離脱や日本の駐留米軍経費の負担などの問題もあります。来週は様子見となる投資家が多いのではないかと予想されます。

25日移動平均線を割り込み、上値が重い展開へ

今週の動きをテクニカル面から見てみましょう。先週末には25日移動平均線を超えましたが、目先の抵抗線である1月5日の高値(19,615円)直前で跳ね返されてしまい、再度25日移動平均を割り込みました。

1日には長い陽線で反発しましたが、これも25日移動平均線で上値を抑えられています。翌2日には、上昇した分、ほぼ全値で下がってしまいました。5日移動平均線が25日移動平均線を割り込むデッドクロスが形成されています。

三角保ち合いで方向感が出しづらいが中長期的には強気で

来週の動きはどうなるでしょうか。チャートの形としては上昇トレンドがいったん崩れた状況です。ただし、それゆえに下降トレンドというわけではありません。

ポイントとなるのは、1月18日の安値(18,650円)です。ここを下回るようであれば、下降トレンドが確認されるところでしたが、先週はそこまで達しませんでした。

現状は、高値が切り下がっているが、安値も切り上がるという「三角保ち合い」の形になっています。方向感が出しづらいところです。

判断の基準としては、まずこの三角保ち合いをどちらに抜けるかです。今週の安値である18,800円前後を下抜けてくるようであれば目線は下になり、25日移動平均線を上回るようであれば、目線は上となります。

逆に言えば、2月3日の安値(18,830円)と、1月27日の高値(19,486円)の間ではレンジ的な動きになりやすく、判断が難しいでしょう。積極的な出動は、どちらかに抜けてからでもいいと思います。

週足で見ると、中長期的には上昇トレンドで、ちょうど13日移動平均線の押し目買いを狙える位置です。トランプ大統領の言動次第ではありますが、基本的には強気の姿勢でいいと思います。

 

下原 一晃