個人投資家、久々の買い越しに

日本証券取引所グループのデータによりますと、2017年1月13日で終わった週に、個人の日本株現物株の売買が久々に現物・信用取引合計で買い越しに転じました。

個人は、米大統領選以降のいわゆるトランプラリーで一貫して売り手でした。2016年11月第2週以降、9週連続で売り越しが続いていたのです。

個人投資家はマクロ的に見ると、信託銀行と並んで代表的な逆張り投資家です。売られ過ぎをうまく拾い、株価反発局面でしっかり利益を確定できています。

したがって、この個人の買い越しが継続し相場上昇の起点になるのか、大変興味深いところです。

投信の売り越しが続く

個人の買い越しが注目されると述べましたが、この基調が続くかどうか見る上で合わせて考えたいポイントが3つほどあります。筆者はそのポイントを見る限り、基調が変わったと判断するのは難しいと思います。

第1に、投信の売り越しが継続していることです。トランプラリーでは投信も一貫して売り手に回ってきました。週次で見ると買い越しの週もありましたが、足元では2016年12月第2週から5週連続で売り越しています。投信の保有者には個人も多いと思わるため、個人投資家の資産全体を考えるとまだ売り越し基調が終わったとは言い切れません。

海外投資家売り=個人買いの構図ではない

第2に、足元の個人の買いには「逆張り」感が乏しいことです。個人の買いが本当に本格化するのは、海外投資家が売り浴びせて株価が下げた時です。しかし、これまでのところ海外投資家はそのペースが鈍ったとはいえ、日本株の買い越し基調を続けています(先物も合わせると買い越しから売りへと変化の兆候も出ていますが)。

株価の水準を見ても、2016年に個人が買い越しをしていたのはTOPIXが1,400ポイント以下、特に1,300ポイント以下の場合だったと思います。現在の水準は1,500ポイントを超えていますので、逆張りするほど株価が下げたとは言いにくいのではないでしょうか。

信託いまだ動かず、潮目はまだ変わらない?

もう1つは、個人と同時に買い越しをする傾向が強い信託銀行の動きです。信託銀行は12月第1週に約2,997億円の買い越しをしましたが、その後売り越しが続き、2017年に入っても売り越し基調に変化はありません。

以上3つの点から考えると、個人が基調として買い越しに転じたと見るには材料不足ではないでしょうか。個人投資家の方は、今後本格化する決算を見ながらじっくり次の投資先を選べばよいと思われます。

1月26日に発表予定の2017年1月16日-20日の投資家別売買動向で、直近の結果が更新されます。注目して待ちましょう。

 

LIMO編集部