2016年も残り2週間、26日からお正月を迎えるモードに

様々な出来事があった2016年も、気が付くと残り2週間強となりました。ここから12月25日まではクリスマス一色となり、翌26日からは一転して新年を迎えるモードに切り替わります。

きらびやかに飾られていたクリスマスツリーは、26日の朝になると一夜にして門松(飾り松)や凧など、日本のお正月を表す飾り物に変わります。25日は業者の方々が、徹夜で入れ替え作業をしていることは容易に想像がつきます。これもある種の年末の恒例行事と言えましょう。

大きく変化した日本人の年末年始の行動様式

明確にいつからとは言い難いのですが、前世紀末からの約20年間、日本を取り巻く国内外の社会構造の変化に伴い、年末年始における行動様式が大きく変わってきました。

行動様式が変化した具体例は数多くあります。百貨店の売上動向などから、お歳暮が大幅減少の一途を辿っていることは明らかです。また、年始の挨拶にお年賀を持参するケースも減っていると推察されます。さらに、年賀状を書くことが少なくなっていることも、日本郵便が発表する年賀はがきの発行枚数を見れば一目瞭然です。

大晦日の定番パターンは既に崩壊

こうした行動様式の変化は、テレビ番組でも見て取ることができます。一昔前まで、年越し蕎麦を食べながら「日本レコード大賞」を見た後で「NHK紅白歌合戦」を見て、そのまま「ゆく年くる年」で除夜の鐘を聞くというのが、大晦日の1つの典型的パターンだったと考えられます。

しかし今日、これら大晦日の代名詞的存在だった各番組の視聴率は大きく落ち込んでいます。既に10年前から12月30日の放送へ変更している「日本レコード大賞」は、ピーク時の50.8%(1977年)が13.0%(2015年)へ低下し、「NHK紅白歌合戦」も都はるみ(敬称略)引退時の78.1%(1984年)から39.2%(2015年、後半)へとほぼ半減しています。

ちなみに、紅白の過去最高視聴率は81.4%(1963年)でした。もちろん、視聴率だけで全てを判断するわけではありませんが、大晦日の定例パターンが崩れているのは間違いありません。

海外で年末年始を過ごすことは極端な贅沢ではなくなった

また、年末年始を海外で過ごす人の増加も行動様式の変化と言えます。かつては、海外でお正月を迎えることは相当な贅沢であり、お正月をハワイなどで過ごす芸能人並みのステータスと考えられていたと思われます。

しかし、現在は、年末年始のプレミアム(価格高騰)はあるものの、ホテルや航空券の予約さえ取れれば、海外で年末年始を過ごすことが一般化しつつある時代になりました。

初詣への参拝は、今も変化することなく残る数少ない伝統行事

そのような状況において、今も変わることなく行われている“日本らしい“伝統的な年末年始の習慣の1つが、初詣ではないでしょうか。いや、実は、“変わることなく”どころか、初詣参拝者は今も増えている可能性があるのです。

警察庁が公表していた統計値「初詣参拝者数」を振り返ると、2008年には過去最高の9,818万人を記録し、翌2009年も最高となる9,939万人を記録しました。ところが、警察庁は2010年から初詣参拝者数の公表を取り止めたため、その後の正確な推移はわかりません。しかし、2010年から減っていると考えられるでしょうか?

初詣の参拝者数は今も増えている可能性あり

確かに、2008~2009年はリーマンショック発生による不景気を脱したいと願う人が、例年以上に多く参拝した可能性はあります。一般的に、人は困難な状況にある時、何かにすがりつきたいと思うのでしょう。

しかし、主要な神社や寺の参拝者数に落ち込みが見られないこと(たとえば、東京の明治神宮の初詣参拝者数は2015年の310万人から2016年には317万人へと増加)、統計公表がなくなった2010年以降も復興を願わざるを得ない自然災害(東日本大震災等)が多かったことなどから、参拝者数が減っているとは考え難い状況にあります。

少なくとも、2009年の記録から大幅減少にはなっていないと見ていいでしょう。

新年に清々しい気持ちで手を合わせて願い事をする

実際、皆さんの周辺でも、参拝する神社の規模などを考慮しなければ、何らかの形で初詣に行く人がほとんどではないでしょうか。

新しい年を迎えて、清々しい気持ちで手を合わせて願い事をするという日本伝統の行動様式は、今もしっかりと保たれているようです。社会構造が益々変化していくと思われる今後も、この“初詣参拝”という日本の伝統が守られることを、2017年の初詣でお願いしようかと考えています。

 

LIMO編集部