しかしながら、今ではネット取引ありきです。小資本のIFAが、独自で数多くの金融商品をネット販売するにはシステム投資がネックになります。結局、所属金融機関のシステムや商品ラインナップに頼らざるを得ない状況なのです。

加えて、最近のネット決済システムのハッキング問題のように、顧客口座から何らの犯罪やシステムエラーで資金が流出したり消滅したりする可能性もゼロではありません。自前のリスク管理には莫大な費用がかかります。

もちろん、IFAも系列金融機関のシステムを利用していますから、その点でのリスクはさほど大きくないかもしれません。ですが、システム維持コストは年々高くなりますし、ますます高度化するシステムをIFAが系列証券会社からタダで借りられる時代は長くは続かないと思います。

仲介型金融商品販売で利益が出ていた一昔前ならいざしらず、各種手数料の逓減化が進み、コロナ後の対面回避な状況だと、所属金融機関が傘下IFAに今以上の経費やノルマを要求するのは間違いありません。言い換えれば、IFAは収益を出すために、より手数料が高い金融商品を売らざるを得ないのです。結局、これは金融情報に疎い顧客との利益相反になるのですけれども。

ということで、IFAだけでなく、既存の金融機関にとって難しい時代が到来しました。資産運用は損得がはっきりするものです。ですから、本物のアドバイザーなら、どこに所属しようと顧客に損をさせることなく長いお付き合いをしていくことが可能です。

米国のように個人のアドバイザーがランキングされるのは時期尚早だと思いますが、いつの時代でも、結局顧客を儲けさせることができるのが本物のアドバイザーということになります。新業態として広がりつつあるIFAの今後に注目です。

太田 創(一般社団法人日本つみたて投資協会 代表理事)