この記事の読みどころ

  • 「お金もアイディアもありません!」という人が起業をして成功するのは難しいと私は思います。
  • 起業には一定のお金が必要です。計画的に資産を形成できる人は、起業をして成功する確率も高いでしょう。
  • そこで、起業家のための資産形成の心構えを5箇条にまとめてみます。

私は基本的に、「お金もアイディアもありませんが、熱意だけはあります!」という人には起業を勧めません。お金も計画的に貯められない人が、起業して成功するとは思えないからです。それでは、サラリーマンが起業家を目指す時、どうやって資産形成をしていけば良いのか、心構えをまとめてみましょう。

1.起業家は財布の紐を握るべき

セミナーなどでこれをしゃべると、会場全体が「うわぁ〜っ」という雰囲気になり、声にならないため息が聞こえてくるような気がします。それだけ、「小遣い制」のお父さんが多いのでしょう。でも、月の小遣いが3万円とかいうことになってしまうと、もう自分の判断で前向きな投資はできないですよね。

小遣い制からの脱却が難しいとしたら、せめて事業用の予算を確保しましょう。事業準備にかかるお金は浪費ではなくて投資なのですから、そこのところはきちんと説明した上で奥様から「投資枠」をもらうということです。セミナーに出たり、教材を買ったりするたびに誰かの承認が必要だとしたら、事業のスピードは大きく落ちます。

起業を志すのならご自身が財布の紐を握ること、財務大臣であることは非常に大切です。ちなみに我が家は、しっかりと私が財務大臣です。あいにく、妻が総理大臣ですが(笑)。たとえその他の権限は全て譲っても、予算権だけは確保するようにしてください。

2.起業家はマイホームを買うな

ローンを組んでマイホームを買ってしまうと、事業を展開する上でのローン付けに影響がある場合があります。また、生活のレベルをコントロールしづらくなることから、できれば起業家はマイホームを買うべきではありません。買うにしても余裕を見て、手が届くぎりぎりの値段の高額物件を買うことは控えるべきです。

マイホームも投資であるという考え方もありますが、世のサラリーマンは投資物件を買うだけのシビアさを持ってマイホームを選択できているだろうかと考えると、多いに疑問です。純粋な投資としてその物件を評価した時、その値段では買わないのではないだろうか、と思うことが多いです。マイホームを買えるだけの借入余力があるのなら、まだしも投資用不動産に向けるべきです。

投資用不動産はキャッシュを生むので、むしろ起業後の安心材料になります。起業後しばらくは自分に高い給料を払うのは難しいので、安い賃貸物件に住めるように、選択の余地を残しておくべきです。マイホームを買ってしまうと、そこに住むしかなくなりますから、住宅費を下げることができなくなります。

3.起業家は銀行預金をするな

これは、銀行に口座を開かずタンスの中に現金で持っておけ、という意味ではありません。起業を考える人であれば金融資産や実物資産にも投資をするべきだ、という意味です。漫然と給料をもらい、必要なものを買い、残ったお金を何となく銀行に預けるというその一連の思考の流れに問題があるということです。

まず、銀行預金の金利がいくらかご存知ですか。マイナス金利の今、銀行によっても異なりますがほぼゼロですよ。今の時代、「金利がない」んです。それで「良し」としている段階で、私はその人の経営者としての資質に疑いを持ちます。余剰のお金にも働いてもらう、少しはマシな投資先を探す、というのは経営者の基本姿勢でしょう。

株に投資すれば他社のことや他業態のことがわかりますし、不動産に投資すれば税制の勉強にもなる。REITは、ETFは、外貨建の商品は、とアンテナ高く調べることで、多様な知識が身に付くのですから、何も投資をしないという選択肢は、少なくとも起業家にはないはずです。