アナリストが気づいた3つのポイント

トレードショーでは、業界の熱量を体感できるため、投資家にとっては有益な情報です。

注目分野はライフサイエンス(バイオ、創薬、未病)、環境(空気、水)、食の安全です。

「浜松ホトニクス」のブース見学では成長性を実感しました。

トレードショーは投資アイデア発掘の起点になることも

「JASIS」は“Japan Analytical & Scientific Instruments Show”の頭文字であり、2012年から研究開発・生産技術を支援する機器の総合展として開催されています。今年2015年は9月2日から4日まで幕張メッセで開催され、474社・機関が展示を行っています。

主な出展企業は以下の通りです。一個人として生活していると、日頃は中々お目にかかることがない企業が多いと思いますが、株式投資の「銘柄」としては魅力ある企業が含まれています。

島津製作所(7701)、堀場製作所(6856)、日本電子(6951)、日立ハイテクノロジーズ(8036)、浜松ホトニクス(6965)、ダルトン(7432)、ジーエルサイエンス(7705)、アジレント(NYSE:A)、サーモフィッシャー(NYSE:TMO)、パーキンエルマー(NYSE:PKI)。

個人投資家の方がこうしたトレードショー(展示会)をつぶさに回るのは中々難易度が高いと思いますが、私のような証券アナリストはこの手の展示会が大好きです。時間さえ許せば、つい散歩がてら参加してしまいます。

というのも、展示会でブース訪問を行うと業界地図(競合関係、サプライチェーン、技術動向など)の基礎知識を効率よく得ることができますし、出展企業数、来場者数、見学者の集中度合い、などから業界の熱量という投資を考える上で大変重要な定性情報まで入手できるからです。株価が下がっているのに業界は活気に満ちていれば、「買いのチャンスか?」という投資アイデアの起点になったりもします。

東京ビッグサイト(東京都)、パシフィコ横浜(神奈川県)、幕張メッセ(千葉県)などでは様々な業界の展示会が開催されており、業界関係者以外も無料で入場できるケースが多くあります。思わぬ投資アイデアに遭遇する可能性もありますから、個人投資家の中でも、探求心旺盛な方、ありきたりな情報では満足できない方は是非とも機会を見つけて見学することをおすすめします。

目立ったのはライフサイエンス、環境分野

JASISでは様々なタイプの分析機が出展されていますが、特に目立ったのが、創薬などのバイオ・ライフサイエンス関連向けの出展でした。また、水・空気・食といった安全や環境を対象とした展示も多く見られました。こうした分野では、まだまだイノベーションの余地が十分にあり、各社がビジネスチャンスを狙って果敢に攻めていることを実感しました。

とても興味深かった「浜松ホトニクス」のブース

浜松ホトニクスは、電子管や光半導体といった「光デバイス」を主力としており、同社のデバイスは島津製作所や日立ハイテクノロジーなどの分析機に組み込まれています。

同社のブースでは、ガス分析用赤外デバイス(量子カスケードレーザ、760 nm DFB LD、中赤外LED【新製品】、InAsSb光起電力素子【新製品】)、分析用受光/発光デバイス(パルスレーザダイオード(紫外PLD)【参考出品】など)、分析装置・光源(ポータブルラマン分光モジュール・SERSディテクションモジュール【新製品】など)といった多くの製品が展示されており、光デバイスの高性能化や小型化には、まだまだ用途拡大による成長余地が大きいことが実感できました。

【2015年9月2日 和泉 美治】

■参考記事■

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和泉 美治