日経平均は一時、23,000円台を回復

2019年11月1日の日経平均株価の終値は、前日より76円27銭安の22,850円77銭となりました。

先週は米国連邦公開市場委員会(FOMC)や日銀の金融政策決定会合のほか、10月の米雇用統計の発表も控えていたことから、全般的に様子見といったところでした。

日経平均は高値圏でもみ合う動きとなりましたが、円安・ドル高傾向になっていることから日本株が買われ、29日には一時、23,000円台を回復しました。取引時間中の高値としては2018年10月以来、1年ぶりです。

連邦準備制度理事会(FRB)は30日、3会合連続の利下げを決定。ここまでは市場も織り込み済みでした。今後の利下げの有無が注目されましたが、パウエル議長は利下げ打ち止めを示唆したものの今後の利下げの可能性も否定しなかったことが好感され、米株などが買われる展開となりました。

今週の動きはどうなるでしょうか。1日には10月の米雇用統計が発表され、非農業部門の雇用者数が前月比12万8000人増と、市場予想(9万人増)を上回りました。これを好感し、ダウ工業株30種平均は前日比301ドル13セント高の27,347ドル36セントと、7月下旬以来、約3か月ぶりの高値となっています。日本株も週初から買われる展開になることが期待されます。

そろそろ年末に向けての動きも気になるところです。米中貿易協議については「部分合意」が進展しているという報道が伝わったかと思えば、逆の報道が出るなど、一喜一憂するような動きとなっています。

米政府は4日にも、温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」からの離脱手続きを始めるという報道もあります。大統領選を1年後に控え、今後もトランプ大統領から、自らの支持率向上を意識した過激な言動が出る可能性があります。そのたびに相場が大きく振られることになりそうですが柔軟に対応できるように備えておきたいところです。

高値圏でのもみ合いが続くが、上昇トレンドは維持

先週の日経平均の値動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。ローソク足の実体が短く、陽線と陰線が繰り返すようなチャートで、高値圏でのもみ合いが続いています。

ただし、10月中旬からは5日移動平均線に下値をサポートされて上昇を続けてきており、先週も堅調な動きでした。週末には窓をあけて下落し、5日線を割り込むような形になりましたが、これは心理的な節目である23,000円にタッチしたことから、利益確定売りが出たことによると考えられます。実際に、窓をあけて寄り付いた後は、長い陽線となり窓を埋める動きとなりました。

今後の展開はどうなるでしょうか。チャートは上目線を示しています。5日線が25日線を、25日線が75日線を、それぞれ下から上に抜けるゴールデンクロスになっていることに加え、3本が扇型のように開いています。

5日線を割り込んだ後、足元の戻り高値である9月19日の高値(22,255円)あたりまで押すことも想定されましたが、そこまで至らずすぐに反発したことから、投資家の間で「買い」側が勝っていることが現れています。

今週はまず23,000円を再び回復できるかどうかがポイントになります。抜けてしまえば強い下値サポートラインになります。その後の上値メドは、は2018年10月2日の24,270円あたりが目標になるでしょう。

逆に、今月に入ってから急上昇を続けていることから、利益確定の売りなどの調整が入ることも考えられます。ただし、その場合でも、足元の戻り高値である9月19日の22,255円や25日線の22,300円あたりまでは押し目買いの好機になると考えられます。

下原 一晃