10月12日、台風19号によって関東甲信越から東北地方を中心に日本全体を襲った記録的な大雨。鉄道や空路などの交通網のマヒだけでなく、21河川24か所もの決壊、溢水・越水氾濫、土砂崩れ、家屋の浸水など各地に甚大な被害をもたらしました。大雨から1週間以上が経った今なお、大勢の人が懸命な復旧作業に追われている状況です。

こうした深刻な状況を踏まえ、日本財団は大々的な支援策を緊急発表。10月17日には、緊急記者会見が行われました。

教育機関や学生ボランティアへ25億円を支援

日本財団は、公営競技である競艇の収益金を財源として社会福祉や教育など、さまざまな子ども支援、障害者支援、災害復興支援を行っている公益財団法人。これまで2011年の東日本大震災をはじめとして、1995年の阪神・淡路大震災以降、全国各地で発生した災害に対し延べ60回以上にわたり活動を行ってきました。

記者会見に臨んだ笹川陽平日本財団会長は、「今回は、特に保育園や幼稚園、小中学校、高校等の被災が目立った台風だった」と振り返り、教育環境の整備に20億円を充てることを説明しました。

具体的には、被災した保育園や幼稚園等2000の施設に対して、1園(校)あたり上限200万円分の教材を支援します。園児たちのお昼寝で必要な毛布や布団、学校で必要な教材、楽器、図書や体育用具などを購入し、一刻も早い教育機関の開園(校)を目指すのが目的。これは、子どもたちの遊び場や教育環境に対してはもちろんのこと、幼稚園や保育園が閉鎖されているために親が仕事に行けない状況になっていることを憂慮した上での判断のようです。

また現在、数多くのメディアで報道されているのが被災自治体で汗を流す地元の中学生や高校生、大学生のボランティア活動。彼らは被災した家庭を回って泥かきをしたり、物資の運搬作業をしたりして町の復興を目指しています。

日本財団ではそんな地元の学生や生徒のボランティア参加支援も発表しました。1校あたり上限50万円として1000校に、トータル5億円を拠出。長靴やマスクなど、復興作業で必要な備品の購入に充ててもらうことを目的とします。これには、「郷土を愛する気持ちから自発的に活動する若者のボランティアに、感動と勇気をもらった」と笹川会長は理由を説明しました。

被災者や災害関連死に対するさまざまな支援策も

また、被災者に対する支援として1億円を用意。今回の被災によって亡くなった方のご遺族に対する弔慰金として亡くなった方1人あたり10万円を支援します。これは長期間の避難所生活等によって心身状態が悪化することなどが原因の災害関連死も含むそう。

災害関連死の原因の一つでもある避難所の生活については、プライベート空間や衛生状況など様々な問題が指摘されています。日本財団ではこの災害関連死の防止施策として今回、避難所や福祉施設等で必要とされる1台約20万円の非常用トイレを500台配備することを発表しました。

すでに宮城県丸森町にはNPO法人災害医療ACT研究所を通じて10月15日に配備済。また、記者会見が行われた10月17日にも福島県と長野県に配備し、今後は各自治体や避難所等から要望があれば配備していくとのことです。

度重なる住宅被害に対する新制度を創設