いよいよ「保育園・幼児教育無償化」がスタート。でも、あれよあれよとその時がきてしまって、まだきちんと理解ができていないという人も多いのではないでしょうか。

ちょうど対象年齢のお子さんを持つママからはこんな声も上がっています。「無料って何の料金が無料になるの?」「無料ってことで、人気の幼稚園や保育園の申し込みがさらに激化するのではないかしら?」

そこで今回は、小さなお子さんがいるご家庭なら知っておきたい「保育園無償化」について、将来的な展望も含めて、ちょっとおさらいしてみましょう。

過去のデータから見える消費税引き上げの影響

まずは、同時期に行われる消費税率引き上げの影響についてみてみましょう。

消費税が初めて導入されたのは、1989年4月のこと。そして1997年4月には5%に、2014年4月には8%にアップしました。その影響を、「平成23年基準(2008SNA)」基準の実質GDPの伸び率(前期比)からみてみると…。

過去2回の引き上げ直後の四半期は、1997年4~6月期は-0.6%(同1~3月期+0.3%)、2014年4~6月期は-1.8%(同1~3月期+0.9%)と景気の落ち込みが見受けられます。

また、GDPの構成要素である家計最終消費の伸び(前期比)では、1997年4~6月期は-2.4%(同1~3月期+1.6%)、2014年4~6月期は-4.8%(同1~3月期+2.1%) と示されています。増税前の駆け込みがあったとはいえ、引き上げ後の実質GDP、とくに家計最終消費はおおきく下がっている様子がうかがえます。

ただし、今回の消費税引き上げは、政府が「保育園・幼児教育無償化」をはじめとした緩和策を用意しているということもあり、以前より落ち込みが緩和されるのではとも考えられます。とはいえ、やはり消費者の捉え方が結果を左右させるのも事実。先行きはまだまだ不透明であるといえるでしょう。

「保育園無償化=すべてのママが働ける」とは限らない

「保育園無償化」と聞くと、経済的に非常に助かる制度のように思えますが、消費税率引き上げによる消費の底冷えもあり、「無償化をきっかけに、子どもを預けて働きたい」と考える人が多くなるとも考えられます。それにより、「待機児童の増加」が起こる可能性もゼロではありません。

とくに専業主婦の場合、正社員を希望したが採用されなかった、パートや派遣の仕事しか見つからないケースも多いのが現状です。さらに激戦区にお住いの方は、入所すらできないケースも視野に入れなければなりません。このような点を踏まえると、無償化の恩恵を受けられないママも多くなりそうです。

また、幼稚園は1カ月25,700円が補助の上限となり、差額は支払わなければなりません。延長保育を利用する場合は月に37,000円まで補助されますが、3歳以上は全額無償となる保育園と比べると、メリットは少ないといえるかもしれません。

「保育園無償化」のその先は?「給食無償化」を実施している自治体も