米中の貿易協議の進展に一喜一憂するような動き

2019年10月11日の日経平均株価の終値は、前日より246円89銭高の21,798円87銭となりました。続伸です。前週末に発表された米雇用統計を受け、4日のダウ工業株30種平均は前日比372ドル68セント高の26,573ドル72セントと上昇しました。

これを受けて週初から日経平均も連れ高になるのではないかと期待されました。しかし、7日朝に米通信社が、中国当局者が合意に消極的であると伝えたことから、米中の通商交渉が進展するとの見方が後退し、売りが広がりました。その後はもみ合う展開となりましたが、米中の貿易協議についてはいい情報と悪い情報が錯綜し、一喜一憂するような動きでした。

週末にかけての日経平均の上昇は、為替相場で円安傾向になったことが理由の一つです。11日には一時、円相場が1ドル=108円台まで円安・ドル高が進み、自動車など輸出関連企業の銘柄が買われました。

今週の動きはどうなるでしょうか。米トランプ大統領の言動には引き続き注意が必要です。

トランプ氏は7日、中国が新疆ウイグル自治区で少数民族を弾圧していると批判し、監視カメラ世界首位の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)など中国の28団体・企業に禁輸措置を課すと発表しました。一方で、通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と取引するためのライセンスを一部の米企業に与える見通しであることなども報じられています。

さらに進展もあります。11日まで開かれていた米中貿易協議では、農産品、為替など一部で合意し、その代わりに米国は10月15日に予定していた、中国製品2500億ドル(約27兆円)に対して現在の25%から30%に引き上げる制裁関税を先送りするとしています。

これを受けて11日のダウ平均は前日比319ドル高となりました。日本株への好影響も期待されます。なかなか予断は許されないところですが、上値を試すような展開になれば、積極的に付いていきたいところです。

調整含みだが、75日線付近では下値がサポートされる

先週の日経平均の値動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。前々週、前週と5日移動平均線に上値を押さえられるような展開が続いていました。しかし、下値は75日移動平均線にサポートされていました。75日線はこれまで何度も上値抵抗線や下値支持線になっています。ここを割り込むと目線を下に持たざるを得ないところですが、足元では堅調さを感じさせました。

実際に、下ヒゲの長いローソク足が続くと、8日にはローソク足の実体が5日線を上抜けました。その後は5日線にローソク足の実体がかかるような小刻みな動きが続いていましたが、11日には窓をあけて上昇すると、25日線も回復。そのまま陽線で引けました。

今後の展開はどうなるでしょうか。チャートの形を見ると、25日線が75日線を下から上に抜けるゴールデンクロスが形成されています。さらに直近の上値メドである7月25日の高値(21,823円)に迫っています。

今週初に、10月10日と11日との間の窓埋めとなる21,551円を割り込むことがなく、そこから反発するようであれば、目線を上に持っていいでしょう。その場合の上値メドとしては、9月19日の高値(22,255円)あたりになります。

目先意識されやすい22,000円あたりと21,500円あたりの間では売買も積み上がっていることからしばらくもみ合うこともあるかもしれません。ただし、その場合でも75日線を割り込むようなことがなければ、「買い」の姿勢でチャンスをうかがいたいところです。

特に、9月19日の高値(22,255円)を超え、下値をサポートされるようであれば、一段上のステージが期待できます。

下原 一晃