2019年10月8日に行われた、株式会社パルコ2020年2月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:株式会社パルコ 代表執行役社長 牧山浩三 氏

牧山浩三氏:このスライド資料でご説明します。この表紙は、渋谷パルコオープンと50周年ということで、M/M(Paris)というデザイナーにビジュアルを作ってもらいました。非常におもしろい展開です。

世界で活躍する一流の人を使っており、写真はヴィヴィアン・サッセンが撮っています。女性で唯一、スーパーモデルにどんなポージングでもさせてしまうという写真家でございまして、パルコ50周年、力が入っています。

① 連結業績(損益計算書)

それでは、中間決算が出ましたので、概要をお知らせさせていただきます。

まず、4ページは連結の業績でございます。株式会社パルコの開業店舗やエンタテインメント事業の貢献がありましたが、専門店事業において株式会社ヌーヴ・エイの不振影響などがございまして、トータルでは減収となりました。また、IFRS16号の適用影響などによりまして、事業利益と営業利益は増益を達成したものの、四半期利益では減益となりました。

営業収益は、3月にオープンした錦糸町パルコをはじめとする開業店舗や、パルコのエンタテインメント、とくに劇場事業が貢献して、株式会社パルコでは増収だったものの、ヌーヴ・エイの不採算店舗の閉鎖等によるマイナスもあり、436億9,400万円となって、4億8,900万円の減収となりました。

事業利益は、開業店舗の貢献や、株式会社パルコスペースシステムズの利益率の高い工事部門が好調だったほか、IFRS16号の適用影響で使用権資産の償却が増加した一方で、借地借家料がその額を上回って減少したことなどにより、53億8,100万円となって、3億3,800万円の増益でございました。

営業利益は、パルコやヌーヴ・エイの減損損失がございましたが、事業利益のプラスがカバーして、58億6,500万円となり、1億5,800万円の増益となりました。親会社の所有者に帰属する四半期利益は、IFRS16号の適用影響による支払利息の増加などがございまして、28億4,300万円となり、9億4,300万円の減少となりました。EBITDAは134億9,900万円となっています。

② 連結業績(財政状態計算書)

次に資産の合計でございますが、前年度末の連結会計と比べて846億2,400万円増加し、3,599億9,300万円となりました。IFRSの16号適用影響額を除きますと、4億8,100万円の減少となります。資本合計は1,229億1,600万円で、親会社所有者帰属持分比率は34.1パーセントとなっています。有利子負債は40億9,000万円減少し、576億5,000万円となりました。

③ 単体業績(損益計算書)

次に、単体の業績でございます。パルコの業績は、先ほど言いました新規開業の貢献があり増収しました。連結業績と同様に、IFRS16号の適用影響などによりまして、事業利益・営業利益は増益となり、計画も上回りました。

営業収益の詳細といたしましては、三宮ゼロゲートに加え錦糸町パルコ、川崎ゼロゲートといった今期の開業の増加、エンタテインメント事業の演劇の部門の貢献などによりまして、281億9,900万円となり、6億100万円の増収となりました。

事業利益は前年同期比で110.6パーセント、5億500万円の増加となりました。営業利益は、広島ゼロゲートの減損がありましたものの、事業利益の増加などによりまして、前年同期比で108.7パーセント、4億8,200万円の増益となりました。四半期の利益は35億2,600万円で、若干ですが、3億7,300万円の減益にとどまりました。

④ 連結 セグメント別実績、設備投資

7ページは連結のセグメントでございます。ここまでに述べたとおり、株式会社パルコを中心とするショッピングセンター事業は増収増益です。専門店事業のヌーヴ・エイは減収減益、総合空間事業のパルコスペースシステムズは減収となりましたが、セグメント利益は利益率の高い工事部門の好調により増益となりました。

その他の事業では、パルコデジタルマーケティングが事業強化のためのコスト増加により減益となりました。もう1つ、パルコのエンタテインメント事業は先ほどのとおり増収で、その他の事業合計では増収し、利益の赤字幅が減少したということでございます。

連結通期業績予想および配当

2019年度の通期業績予想につきましては上期のマイナスぶんは織り込みますが、新生渋谷パルコのオープンもありまして、連結通期営業収益の予想を1,141億円、営業利益は125億円、当期利益を66億円に修正をいたします。事業利益は、期首の予想どおりの105億円に据え置くということでございます。

配当につきましては、予定どおりパルコ50周年記念配当として年額2円の増配を計画をしていまして、この中間配当は1円増配の13円を決定しており、年間では26円を予定しています。

① 計画マップ

次に、開発の事業について説明いたします。10ページにマップを用意をしていますが、2019年度は業態の異なる4つの物件を計画をしており、うち3物件を上期に開業いたしました。11月22日に新生渋谷パルコの開業となる予定でございます。

② 2019年度上期進捗 1

この上期の事業の開発についてです。11ページをご参照ください。まず、2019年3月に錦糸町駅前の複合ビル、商業施設部分をリノベーションしまして、錦糸町パルコということで開業いたしました。

フードホールをはじめとする飲食ショップの盛況に加え、大型雑貨店が高稼働し、ビル全体の集客の効果を発揮しました。また、TOHOシネマズからも集客がございまして、デイリーが順調に推移をしたということでございます。オープンは3月の途中でしたが、8月の末までの約半年間で入館客数が400万人を超えたということでございます。

③ 2019年度上期進捗 2

次に、沖縄の地元企業とジョイントベンチャーを組んだサンエーパルコが運営事業を行うサンエー浦添西海岸パルコシティが、6月27日に圧倒的なスケールでオープンいたしました。もちろん沖縄ナンバーワンのデイリー売上を日々記録しています。

マーケット随一の集積を誇るコスメ、3つのゾーンからなる飲食、沖縄初出店の94ショップなど、デイリーにしっかり集客が効いて、いいスタートを切りました。

県内人口の増加に加え、年間旅行者数も980万人ということで拡大が続いていますので、が国内外観光客に向けても、さまざまな提案をしながらこの施設の認知度を上げていくことが非常に大切だと考えています。また、本物件は、持分法による投資利益として利益を取り込むスキームでございます。さらに、8月には低層2層で、複数ショップ構成の川崎ゼロゲートが開業しています。

④ 2019年度下期計画 渋谷パルコ開業 1

そして13ページですが、新生渋谷パルコがいよいよ11月22日にオープンとなります。この物件は2015年12月に都市再生特別地区の決定を受けまして、市街地再開発事業として計画を進めてきたもので、池袋開業からちょうど50周年を迎える節目に生まれ変わるということです。

これまでの商業施設の枠を超え、新進気鋭のデザイナーやクリエイターなどが新しい取り組みを行うことで、楽しさや刺激のある体験価値をグローバルに発信するビルということで、さまざまな編集を行っています。オープン時にそうとうなインパクトを持って登場することは間違いないと自負しています。

また、本物件は国土交通省によるサステナブル建築物等先導事業ということで採択されるなど、環境にも配慮しています。いろいろな情報を発信し、演劇やファッションを育てるということで、パルコらしく地域に貢献するなど、ESG視点でのビルづくりにも取り組んでいます。

⑤ 2019年度下期計画 渋谷パルコ開業 2

14ページに図を示させていただきましたが、もちろん建築そのものや建築のコンセプトなど、デザインそのものも新生ですが、パルコらしくということでございます。現在、オープンに向けては193店舗がラインナップしていただき、5つの要素で集積しています。

大きな柱の1つ目は「FASHION」で、次世代のファッションデザイナーやブランドのインキュベーションを目的とした、当社が自ら運営する編集売場も付加しています。

また「ART&CULTURE」ということで、世界へ向けたカルチャー発信を行う「PARCO MUSEUM TOKYO」の他に、ギャラリー機能を備えた9つのスペースがオープンいたします。

「ENTERTAINMENT」では、まずパルコの文化発信の核となる「PARCO劇場」が旧「PARCO劇場」の1.5倍の座席数でパワーアップし、復活します。その他にも、エンターテインメント装置を付け加えていきます。

「FOOD」では、地下1階に「CHAOS KITCHEN」として、個人店舗のような、立ち飲みやジビエ・昆虫料理みたいなものまで含む多種多様なジャンルの飲食店に加えまして、音楽とカルチャーをコンセプトにしたレコードショップ、フェスティバルグッズショップ、その他雑貨ショップ等もミックスしたフロアが登場します。

もう1つ、「TECHNOLOGY」では、店頭販売に加えまして、eコマースを併設したオムニチャネル型売場をパルコがプロデュースして、11ショップを構える売り場も登場します。

① 上期実績

この新生渋谷パルコにつながるという意味においても、上期からパルコの店舗事業とエンタメ事業についても強化し、ティーザー広告的な施策も行ってきています。

店舗事業につきましては、上期は周年企画を実施しました。調布パルコの30周年など、基幹店舗を中心に周年企画を実施し、まずは改装を通じて動員強化を図ろうということで、365日モノがしっかり動く状況を作り、結果として上期では全店計で入館客数が109.2パーセント、既存店では104.3パーセントとなりました。

それに伴い、買上客数増を達成したことがポイントでございます。この下期は、先ほど申しました新生渋谷パルコのオープンに加え、パルコ開店50周年の企画ということで、パルコ全店で11月・12月開催を山場として行います。

② 下期計画

大変理想は高いですが、次の50年は、渋谷パルコとパルコ50周年を起点に、期待される以上のものをマーケットにお届けすべく、先鋭的な取り組みを各店舗でも実施することで、パルコそのもののストアブランドを大々的に再訴求していくフェーズであると考えています。

それに伴い、改装としても、この下期は名古屋・池袋・札幌など基幹店を中心に、さらに新しい要素と動員の高まる大型改装を行いまして、トータルの大きさで言いますと2万4,000平米の改装を計画しています。

③ CRM施策

もう1つ、渋谷パルコとリンクする要素が大きいですが、店舗事業のCRM施策として、大きく3つの施策を実行してまいります。

まず1つ目、パルコカードはこれまで優待サービスとして割引を付与していましたが、新しく「PARCOポイント」として、ポイントを楽しく貯めることによってパルコの中でいろいろと楽しいことに使えるポイントを貯めていってもらおうということを考えています。その上で、利用額に応じたランクアップの制度も作り、さらに高いメリットがある設計になっています。

2つ目に、新規に公式アプリ「ポケットパルコ」からパルコカードを申し込んだユーザーが即時利用可能なQRコード決済も同時にスタートします。

加えまして3つ目に、パルコにおけるショッピングの利便性を高める施策として、さまざまなアプリを使ったQR・バーコード決済が利用できるサービスを、今期に基幹店を中心に6店舗に確実に導入し、来期には全店に導入を考えています。マーケットの顧客にもショップで販売するスタッフにもストレスフリーな決済手段を整えていこうということで、この3つの施策を付け加えます。

エンタテインメント事業

19ページです。パルコのエンタテインメント事業では、渋谷パルコができる前のステージがない状況でも劇場や映画が好調で、事業そのものも増収でございましたが、11月に渋谷パルコにできる「PARCO劇場」につきましては、オープニングシリーズ14作品の予定をすでにリリースし、SNS上などではすでにかなり好反応が返ってきています。

もう1つ、ミニシアター「WHITE CINE QUINTO」ということで、良質な作品を上映していくというステージを用意しました。通常の映画以外に、カルチャーやファッションブランドのコレクション映像など、カルチャー好きが満足する企画も実施していきます。一番最初の作品は草間彌生さんのドキュメンタリーです。

その他に、ライブハウス「CLUB QUATTRO」のミュージックカフェ&バー「QUATTRO LABO」というテーマや、ギャラリー・コラボレーションカフェなど複数の拠点が渋谷パルコに誕生します。インバウンドも含めて、都市で最先端のいろいろな体験ができる状態を、パルコに率先して誘導することを進めています。

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