2019年8月8日に行われた、コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス株式会社2019年12月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお届けします。IR資料

スピーカー:コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス株式会社 代表取締役社長 カリン・ドラガン 氏
コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス株式会社 代表取締役副社長CFO ビヨン・ウルゲネス 氏
コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス株式会社 IR&コーポレートコミュニケーション本部長 レイモンド・シェルトン 氏
日本コカ・コーラ チーフマーケティングオフィサー 和佐高志 氏

レイモンド・シェルトン氏:コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス株式会社IR&コーポレートコミュニケーション本部長のレイモンド・シェルトンです。

「コカ・コーラ エナジー」を手に取ってくださいましたドリンカーさんは、たくさんいらっしゃいました。うれしく思います。ありがとうございます。

本日は、2019年度第2四半期決算説明会にご出席くださり、ありがとうございます。会場前には弊社経営陣が同席しております。社長のカリン・ドラガン、CFOのビヨン・ウルゲネスが用意している上期業績と通期業績予想、中期計画の概要発表の後に、みなさまからのご質問をお受けいたします。

なお、この説明会はアナリストや投資家のみなさま向けであり、メディア関係者のみなさまからのご質問は、本日別途お時間を設けておりますので、そのセッションの時間までお待ちいただきますようあらかじめお願い申し上げます。

本日の発表内容は質疑応答も含め、同時通訳により日本語または英語でお聞きいただけます。

開始にあたり、本日の発表内容は通期または長期的な利益目標などの将来の見通しや、業績予想が含まれることを、あらかじめみなさまに申し上げます。つきましては、説明会の参考資料に含まれる留意事項も合わせてご参照いただくようお願いいたします。

両資料ともに弊社Webサイト「ccbj-holdings.com」のIR・投資家セクションに掲載されています。情報は日本語・英語の両言語にて用意しておりますので、Webサイトをご覧ください。

それではカリン・ドラガンの発表に移らせていただきます。カリン、どうぞ。

カリン・ドラガン氏(以下、カリン):ありがとうございます。みなさん、こんにちは。カリン・ドラガンです。

本日はご参加いただきありがとうございます。CFOのビヨン・ウルゲネスと私からは、これまでの業績および最新の5ヶ年事業戦略計画をご説明します。

また本日は、日本コカ・コーラ株式会社チーフマーケティングオフィサーの和佐高志氏も参加しております。

イノベーションを重視し、コアブランドのポートフォリオをよりよく活用して価値創造を行うために、コカ・コーラとコカ・コーラ ボトラーズジャパンが、いかに協力して共同投資を行うことにコミットしているかについて、後ほどお話いたします。

本日の発表概要

本日の説明会の主なポイントについて簡単に説明します。

まずは当社の上期業績です。上期の飲料事業販売数量は4パーセント減少しました。これは2019年4月の大型PETの値上げ実施による、第2四半期の7パーセントの落ち込みを反映しています。27年ぶりとなる値上げをいち早く実施したため、当社の店頭価格が他飲料メーカーより高い時期が数ヶ月見られました。

上期の事業利益は5月に発表した通期修正計画に対し、おおむね計画どおりで推移しています。これは昨年の供給制限の影響を反映しています。

第2四半期には619億円の、のれん代の減損損失を計上します。2017年のコカ・コーラウエストとコカ・コーライーストジャパンの、統合時からの事業見通しと期間の変更にともない、減損を決定しました。

この一時的なノンキャッシュの費用は2019年の業績に影響します。事業利益予想あるいは予定の中間配当と期末配当への影響はありませんが、通期の営業利益予測は修正しています。これは当社にとって警告であり、これまでのやり方を続けることは、もはや選択肢にありません。この考え方は新たな5ヶ年中期計画にも反映されています。

中期計画では企業の統合だけでなく、プロセス・システム・企業文化を根本から変革するコスト削減、数量と金額シェアの成長、利益率改善など、ROE向上に向けて日本のコカ・コーラシステムとして連携の取れた、懸命な成長投資を行うことに注力します。言い換えれば、今後5年間で成長軌道に回帰する計画です。

中期計画の詳細に入る前に、CFOのビヨンから第2四半期の業績概況と今後の見通しについて、簡単にアップデートを説明します。では、ビヨン、お願いします。

2019年 上期業績

ビヨン・ウルゲネス氏(以下、ビヨン):カリン、ありがとうございます。みなさまこんにちは。コカ・コーラ ボトラーズジャパンでCFOを務めますビヨン・ウルゲネスです。上期の業績と事業の状況について、少し私からお話しさせてください。

スライドで、飲料事業とヘルスケア・スキンケア事業のセグメント別内訳を含む損益の概要がご覧いただけます。

2018年下期の供給制約による影響が顕在化し、第2四半期の数量は大型PET製品の価格改定の初期的影響を受け、販売数量減少が4パーセントとなり、売上は3パーセント低下しています。

上期の事業利益は、5月に発表した修正後の通期計画に対し、おおむね計画どおりで推移しています。営業損失は655億円となりましたが、これには、先ほどカリンからお話があったように、のれんの減損である619億円が含まれます。

当社の収益性は大きく低下しました。これからお話しする新しい中期計画においては、計画期間にわたり低めの収益見通しと、成長回復に向けた投資が必要となります。

これにより、2017年の統合で発生した、のれんに対するキャッシュ・フローの創出が不足することになりました。

2019年上期 事業利益の増減要因 (IFRS)

このスライドには、第2四半期における事業利益の主な増減要因が示されています。

第1四半期の説明会でお伝えしたとおり、2018年の災害によるマイナス影響が上期に徐々に現れ、正常の供給インフラに戻るまで、復旧と生産能力拡大にともなうサプライチェーンコストが増加し続けることを予想していました。実際に、第1四半期・第2四半期には、これが顕在化しています。

スライドの左側にある「数量、価格/ミックス影響等」からご説明いたします。「数量、価格/ミックス影響等」は総額で73億円減少しています。

飲料の数量は全体で4パーセントの減少でしたが、価格改定の初期影響として、第2四半期には7パーセント減少しました。

上期のベンディング・チャネルでの3パーセントの数量減少、コンビニエンスストアでの5パーセントの減少によって、チャネル・ミックス全体ではマイナスとなっており、納価改定によってその一部が相殺されています。

前年のマーケティング支出の反動と新製品の大幅な増加、2019年7月に導入した「コカ・コーラ エナジー」など、今年予定していた投資の実行時期などにより、固定のマーケティング費用、いわゆるDMEが上期は20億円減少しました。

原材料費および物価高騰は緩和して、ほぼ横ばいとなりました。外注先である委託パッカーへの委託増と製造効率低下により製造原価は上昇しており、製造の結果は前期比でマイナス12億円となりました。

これまでシナジーの恩恵が反映されてきた分野でしたが、2019年の製造でのシナジー達成能力は、2020年第2四半期に供給能力が正常化するまで、引き続き制約を受けることになります。

「その他」では、希望退職制度や退職金プランの統合による人件費低減効果がありましたが、2020年まで続くと予想される物流費や販売費用の拡大によって、相殺されました。

ヘルスケア・スキンケア事業の事業利益は、売上減少を反映して12億円の減少となりました。

設備投資と減価償却費の推移は、右上に掲示したとおりで、今期に1,000億円近くを投資し、おおむね通期計画のとおりに推移しています。

上期営業活動の状況:チャネル・カテゴリー別販売数量

このスライドには、チャネル・カテゴリー別の上期販売数量実績と、コメントを記載しております。

飲料全体の数量は上期に4パーセント減少し、第2四半期には4月の納価値上げの初期的影響を反映して、7パーセント減少しました。

ベンディングの軟調な推移が続きますが、戦略的な価格・パッケージサイズの提供によって消費者をベンディング・チャネルに取り戻し、ジョージア ジャパンの「クラフトマン」コーヒーの拡大により、過去2四半期でマイナス幅は減少しています。

スーパーマーケットとドラッグストア・量販店チャネルでのケース当たりの納価はスライドに掲載されているとおりです。納価値上げにより改善したことにもご注目ください。

大型PET製品等の価格改定のアップデート

このスライドでは、納価改定およびOTC市場の試案の小売価格の推移についてご説明いたします。

アルコールを除くReady To Drinkでは27年ぶりとなる価格改定の実施に成功しており、4月より大型PET製品の納価を計画どおりに改定いたしました。

5月の説明会でご説明したとおり、当初は販売数量が減少しましたが、徐々におおむね予想どおりに推移しており、大型PET製品では価格ミックスと粗利率が改善しています。

ご覧のとおり大型PET製品の売上は、第2四半期の納価改定後にスーパーマーケットとドラッグストア・量販店で大幅に減少し、両チャネルでケース当たり納価が大幅に改善していることがわかります。

第2四半期の市場シェアは、値上げの影響を確実に受けていますが、数量シェアへの圧力がかかるなかで、金額シェアの影響を最小限に留めることに労力を集中してきました。

小売価格もおおむね同様となっており、とくに大型PET製品では、弊社が市場で最初に納価値上げを開始したことから、市場平均に対して大幅な改善が見られています。

大型PETの小売価格は5月以降会社間でのバラツキはあるものの、業界としては上昇しています。

下期の見通し

このスライドでは下期の見通しとともに、基幹のコカ・コーラブランドを中心に第3四半期に行う2つのマーケティング施策の例を提示しています。

見通しに関してですが、ご存知のように2019年は例年より大幅に梅雨が長く、天候不良が7月の飲料業界全体に影響を及ぼしております。一方で、2018年下期には被災による影響が薄れるプラスの反動もあり、もっとも重要で夏の販売シーズンとなる第3四半期には、やや追い風となる見込みです。

これまでに言及しましたとおり、のれんの減損は通期の営業利益と純利益予想に影響します。

今期の配当予想への変更はありません。

2019年通期業績予想の修正(8月7日発表)

このスライドには、のれんの減損損失を反映した2019年通期業績予想の修正を記載しております。減損は営業利益と純利益に影響しますが、事業自体には影響がないため、売上と事業利益の予想には変更ありません。

修正後の予想が新たに策定され、開始されている中期計画のベースにもなっています。カリンの説明のとおり、この減損はこれまでの方法を続けることへの警告であり、この計画を踏まえて新たな中期計画の策定に至っております。

今こそ動き出さねばならない

ここからは中期計画の詳細説明のために、カリンに変わります。カリン、お願いします。

カリン:では、中期計画の詳細をご説明します。2019年5月に私が、「今こそ動き出さねばならない。古いやり方から新しいやり方に変え、成長に基づく変革を通じて業界で大きな存在感を示す必要がある」と語ったことを覚えていらっしゃるかもしれません。また今後は、日々の活動を正しく行いつつ、中長期的に事業に健全性をもたらすことに注力する必要があると述べました。

これが新たな中期計画の設定に向けた基本姿勢となっています。弊社の事業は成長、コスト構造、ケイパビリティの各領域で課題に直面しています。こうした課題があることを真摯に認識し、立ち向かう必要があります。

コスト効率化、売上増の施策はダウントレンドを一部相殺するも、それだけでは足りない

スライドでわかるとおり、コスト効率化と売上増の施策の分野では実際に進展がありましたが、それだけでは足りません。

目標を大幅未達の状況

私にとってこのスライドは、弊社の現在の状況を表したもっとも重要な指標の1つです。

2017年6月に発表した中期計画については、ご存知だと思います。当時に想定していた状況が、現在の結果と異なるのは明らかです。

2020年に向けた当時の予定と、現状の差を克服することは不可能であり、現実的ではありません。こうした状況を予想しスケジュールの変化を踏まえ、今期第2四半期に一時的・ノンキャッシュの減損損失である619億円を計上しています。

成長軌道への回帰には抜本的な変革が必要

弊社は明らかに事業の変革を必要としています。事業は重要な転換期に差し掛かっており、今後3年から5年の間は自社をリセットして、変革する機会であると確信しています。

ここが出発点となります。リセットするだけではなく、将来に向けてイノベーションと業界最高水準のオペレーションの面でリーダーとなるような道筋を立てています。

これを「THE ROUTE to 2024」と呼びます。この取り組みの最初のフェーズとなるのが、実は2017年の経営統合以来構築してきた基盤です。

企業・システム・プロセスが揃った今、実際にリセットと変革を行い、次の5年間をかけて大幅なコスト改善と、将来の成長に向けたケイパビリティ構築に、本格的に取り組む機会が到来しました。

言い換えますと、コスト面では機動性と効率性を高め、同時に本格的な営業活動の変革を通じて、売上成長の起爆剤となる顧客視点での投資を行います。

これは大きな変化となります。前にも申しましたとおり、これまでのやり方は選択肢にありません。弊社には確固たる計画があり、日本コカ・コーラという強力なパートナーもいるため、本計画を現実にできると確信しています。

5年の中期計画で目指す方向性:なぜ変革が必要なのか

スライドをご覧ください。この中期計画は「抜本的な変革が必要」との考え方に全面的に基づいています。現職に着任後、コカ・コーラシステムにおいて、コカ・コーラボトラーズジャパン、日本のコカ・コーラカンパニー双方の経営陣全体と強力してきました。

4ヶ月間に渡る策定期間を通じて、成長へのコミットメントや根本的なプロセス、システム、構造的な改革に向けた計画などとともに、明確な役割分担と成果を出すことへの責任を重視することで、合意を重ねてきました。私の経験では、日本のコカ・コーラシステム全体を巻き込んだここまでの関与と連携は過去に類を見ないと思われます。日本での成功を継続させるには、これが不可欠です。

弊社の新たな挑戦は、単一の統合されたシステムとして経営を行うために、私がソフトウェアと呼べるものをインストールし、自らをリセットして変革し、新たな次元のコスト効率化を達成し、ケイパビリティ、生産能力、成長に必要な投資を行い、究極的にはイノベーションとオペレーションで世界のコカ・コーラ支出の全体でも傑出したボトラーになることです。

こうしたコスト削減によって弊社の最大の機会に、優先的に取り組むことができます。何よりもまず成長に向けたべンディング事業のバリューチェーン全体の再構築が必要です。

第2に、自社の市場販売ルートと営業現場のケイパビリティを踏まえつつ、売場を拡大していくことが必要となります。

重点分野:成長実現に向けビジネスを抜本的に変革

計画の重点分野について説明していきます。主に3つの戦略重点分野があります。

1つ目は製品と成長戦略、2つ目はコスト削減とインフラ整備、3つ目は戦略実行の基盤となる「イネーブラー」です。これらはスライドの左側のコークボトルのイラスト上に示されています。

当社の変革戦略では、これらの重点分野で成功するために、すべてのお客さま・お得意さまからあらゆる飲料機会で必ず選ばれるために、強固かつ持続的なオペレーティングモデルを、最適なオペレーションコストで確立することを目指します。

協力を示すいい例として、日本コカ・コーラのチーフマーケティングオフィサーの和佐高志氏に、重点領域の製品と成長戦略の主要施策の1つである、製品とポートフォリオ戦略について説明していただきたいと思います。

成長戦略:ポートフォリオの競争力向上

和佐高志氏:本日はこのような機会をいただきありがとうございます。カリンさんが話したとおり、我々は強固なパートナーシップのもと、中長期戦略を策定しています。

日本コカ・コーラは消費者インサイトに基づいて、強いブランドポートフォリオとイノベーションを通じて価値を創造し、ボトラー社は品質の高い製造および営業活動でカスタマーエンゲージメントを高め、価値を生み出しています。

コカ・コーラのポートフォリオ戦略は3つの柱から構成されています。1つ目はコアカテゴリーの強化、2つ目はカスタマーおよびチャネルに特化した製品サービスの展開、3つ目は新規ビジネス領域、いわゆるホワイトスペースへの参入です。

成長戦略: イノベーション、コアカテゴリー強化

具体的な例を紹介いたします。

コアポートフォリオに関してお話しいたします。コカ・コーラでは各ブランドが持つブランドエッジをそれぞれ強化することによって、ブランドを育成しています。ブランドエッジとは、そのブランドの競合優位性を高めるユニークな特徴のことです。ここでは、コカ・コーラブランドの例を使って説明します。

コカ・コーラのブランドエッジは「隔たりを超えて人々を繋ぎ、そして高揚させる」と定義されており、コカ・コーラブランドが展開するすべてのプログラムは、このブランドエッジの強化を目指して開発されています。

製品イノベーションでは従来のコア製品に加え、コカ・コーラフローズンや、現在甲子園などでテスト販売しているコカ・コーラアイスキューブ等の、新しいコカ・コーラの飲料体験を提供していきます。

オリンピックやラグビー日本代表とのパートナーシップを通じて、多くの人々に感動や興奮を共有する時間を提供し、コカ・コーラと親和性の高い人々が集う催事(にも展開していきます)。例えばクリスマスシーズンでは、コカ・コーラリボンボトルを展開し、家族や友人との集いに花を添えます。

すべてのコカ・コーラ社のブランドのイノベーションやキャンペーンは、ご覧いただいているそれぞれのブランドエッジを強化するために開発されています。

成長戦略:お得意さま・チャネル別戦略

カスタマーおよびチャネルに特化した活動の一例の紹介です。

コンビニでは、セブンイレブンジャパンさまと一緒に取り組みをした事例です。セブン&アイグループの店頭で回収したペットボトルを100パーセント使用した、リサイクルペットボトルの緑茶飲料である「一(はじめ)緑茶1日1本」の導入です。

完全循環型ペットボトルリサイクルを実現したのは世界初となり、このようにカスタマーと一緒に新しい価値を創造する良い事例です。

自販機については、コカ・コーラの自販機でしか購入できない専用製品を多数開発し、お客さまに自販機からもニュースを発信してまいります。また「Coke ON」アプリもユーザー数が確実に増え、キャッシュレス決済「Coke On Pay」など新規の機能も開始いたしました。

オンラインビジネスについては急成長しており、大きく3つの要因があります。オンラインカスタマーサイトでのマーケティングプログラムの強化、トクホ・機能性ニーズを中心としたポートフォリオの強化、「Coke ON」利用者をオンラインカスタマーサイトに誘引する活動です。

スーパーマーケットに関しては、先ほどビヨンさんからプレゼンさせていただいておりますので、割愛いたします。

成長戦略:ホワイトスペースへの参入(新カテゴリー)

最後のスライドになります。新規のマーケットに参入した例を2つ紹介いたします。

現在、我々のコアビジネスであるRTD市場は約5兆円です。しかしアルコールやノンアルTDコーヒー、チルド市場など、我々のホワイトスペースの市場規模はそれよりも大きい7兆円もあります。

これらの新しい機会に取り組むため、システムとしてアジャイル・アプローチを始めました。日本コカ・コーラとCCBJI社でクロスファンクションのチームを結成し、よりスピーディーにマーケットへ参入すべく取り組んでいます。

システム初のプロジェクトは、九州エリアでパイロットテストした檸檬堂です。2018年から開始した九州でのパイロットテストは、おかげさまで非常に上手くいっており、「檸檬堂 定番レモン」は缶チューハイカテゴリーでNo. 1のSKUになることができました。

もう1つの新しいカテゴリーへの参入の事例は、コカ・コーラエナジーです。約1ヶ月前に導入し、徹底した市場展開もあり、高い市場評価を獲得しています。

本日はホワイトスペース参入の事例として、「檸檬堂」と「コカ・コーラ エナジー」についてお話しいたしましたが、英国発スムージーブランドの「イノセント」のテスト導入や、先般発表しました株式会社INAと設立した合同会社Endianもいい事例です。

これからも積極的に、魅力ある製品導入で市場を活性化していきたいと考えています。短いプレゼンでしたが、私からはコアカテゴリーの強化、カスタマーおよびチャネルに特化した製品・サービスの展開、ホワイトスペースへの参入の、3つの成長戦略についてお話しいたしました。

日本コカ・コーラがCCBJI社とのパートナーシップをさらに強化し、新しい価値を市場に提供していきたいと思います。

カリンさん、引き続きよろしくお願いします。

カリン:ありがとうございました。日本コカ・コーラは価値創出とイノベーションについて責任を負い、当社は変革と価値提供の実行について責任を負っています。

成長とコスト削減:ベンディング事業の抜本的な変革

成長とコスト削減の両方を実現するうえで、当社にとって、もっとも重要な取り組みの1つであるベンディング事業の抜本的な変革についてお話しします。

端的に言うと、ベンディングチャネルの成長に向け、2つの取り組みを進めていきます。1つ目は「水平拡大」で、コラム数の増加です。

ここ2年間で採算の悪い自販機を多数撤去しました。これはこれで重要な取り組みでしたが、これからは高収益ロケーションの設置台数を増やしていく必要があり、他社や外部オペレーターとの提携・協業を通じて行うことが考えられます。

2つ目は「垂直拡大」、つまり既存の自販機での販売数量の拡大です。これについては、先ほどの話にもあったように、自販機限定製品の投入や「Coke ON」などのイノベーションを通じて取り組んでいきます。

また、自動販売機を店舗と考えた小売店アプローチを取り、自販機を販売チャネルの1つとしてでなく、価値ある売場として捉える必要があります。

当社ではこれと並行して、ベンディング全体のバリューチェーンの再構築に取り組んでいます。

2018年に、東京の新須磨エリアで新たなオペレーションプロセスを試験導入したことを覚えていらっしゃるかと思います。その学びから、取り組みを新たなレベルに引き上げ、サービスオペレーション業務のコスト削減、デジタル活用による生産性改善、ベンディング営業部門のケイパビリティ育成による営業生産性向上などを推進していきます。

コカ・コーラシステムが一体となって、重要なベンディング事業の安定化と成長に注力・コミットしていきます。

成長とコスト削減:お得意さまとの戦略的関係強化

お得意さま店舗での売場活性化や、関係強化を通じて小売チャネルにおける成長ポテンシャルを掴むために、売場拡大にも注力していきます。

私たちには自前の営業部隊という競争上の強みがあります。お得意さまとの接点により、多くのリソースを投じるべく、営業人員の再配置を行っております。また、デジタル化や営業新システム、新たなケイパビリティの開発などにも投資しています。

現在の市場の動向を見ると、新たな容器サイズや価格帯での販売期間が存在しますので、今後はサプライチェーンのキャパシティを生かして、製品ポートフォリオの見直しを進めていきます。

お得意さま志向の精神でニーズを先読みし、約束は確実に果たしていく必要があります。ケイパビリティ開発は非常に重要で、世界のベストプラクティスを取り組み、人材に投資することによって、資源をより効率的に再配分できるようになります。つまり、より重要な領域に集中的に投資できるようになるのです。

インフラを活用したコスト削減の大きな機会は依然として存在しますが、取り組みは順調に進んでおり、コスト削減計画達成に向けて明るい見通しを持っております。

変革とコスト削減を牽引するインフラ整備

サプライチェーンと製造については、メガ物流センターの建設が予定どおり進んでおり、新生プロジェクトによる物流ネットワーク最適化を実行できる見込みです。年内に2つの倉庫が新たに稼働を開始する予定で、これにより設備能力と自動化、デジタル化の新たなケイパビリティを提供します。

また、2019年から2020年の第2四半期にかけて、7本の高速高効率の製造ラインを新設する準備を進めています。そしてベンディング事業サービスモデルを、一元化された持続可能なモデルに統合します。

バックオフィスについては、直接・間接購買や支払いの集中管理を進めていきます。

定型業務をもっともコスト効率が高いCOE(Center Of Excellence)に集約するかたちでシェアードサービスの規模を急速に拡大しており、今後もこの取り組みを推進していきます。

最後に、複数年にわたって進めてきた「CokeOne+ ERPシステム」の展開も年内には完了する予定です。

戦略実行の基盤:変革と成長を牽引する基盤

今まで主にビジネスのハードウェアの変革について話してきましたが、ソフトウェアも同じように重視し、投資しない限り成功はできません。当社では成果に対する説明責任を徹底し、能力重視の文化を調整していきます。

英語力、デジタルスキル、大規模な組織のマネジメントに必要となるリーダーシップスキルを学ぶ機会を従業員に提供します。

THE ROUTE to Shared Value~共創価値創出に向けて①

次の2枚のスライドでは、当社で「THE ROUTE to Shared Value」と呼ぶサステイナビリティ目標を示しています。

当社では、スライドにあるように、環境・社会・ガバナンスといった領域において優先的に取り組む施策を定義し、事業計画に盛り込んでいます。

THE ROUTE to Shared Value~共創価値創出に向けて②

ここでは「World Without Waste(廃棄物ゼロ社会)」に向けた取り組みについて説明いたします。

最近日本コカ・コーラは、廃棄物ゼロ社会の実現に向けた高い目標を掲げ、当社もこの目標達成にコミットしています。2022年までに、私たちが使うペットボトルの50パーセントリサイクル素材から、2030年までには90パーセントまでに高めていきます。

この計画で私たちはボトルからボトルへのリサイクルや、サステイナブルのペット素材の利用増加をする必要があり、2030年までにペット素材供給の循環環境を構築する努力をしていきます。

ここからはもう一度、数字面からビヨンに説明してもらいます。ビヨン、お願いします。

業界最高水準を目指し、リセットと変革

ビヨン:ありがとうございます。あらためまして、ビヨン・ウルゲネスです。ここからは中期計画の業績目標と財務戦略について説明いたします。

すでに申し上げましたように、この中計はリセットと変革を進め、将来の成長基盤を作ることに重点を置いています。

2024年に事業利益490億円を目標としており、スライドのように、今後5年間にわたり段階的な成長を目指してまいります。

2024年の主要指標・目指す姿

2024年のKPI主要指標と目指す姿と定めた目標についてご説明します。

2024年にかけて売上収益を0.5~1パーセント程度、販売数量は1~1.5パーセント程度伸ばす目標を掲げています。売上手数料成長の差は、主に小売チャネルの成長がベンディングの成長を上回ることを見込んでいるからです。

数量・金額シェアの両方を伸ばすことが重要になります。ここ数年間、数量シェアが減少しているため、創意工夫を施して販売数量を拡大させることで、シェアの回復を目指す必要があります。ゴールは金額シェアの成長です。

事業利益率とEPSは、いずれも収益性を示す重要な指標です。事業利益率は2024年までに5~6パーセントに戻し、標準化EPSは3倍以上成長させる目標です。

標準化EPSは技術的な損益……、例えば2019年の、のれんの減損や希望退職プログラム等の一時費用等の影響を除いたものになります。

現在低い水準にあるROEを、2024年には5~6パーセントにまで改善するとともに、変革期間中は安定配当に注力します。

カリンが先ほど述べたように、コスト削減と成長に向けた投資が、事業利益成長の源泉となります。

中期計画:事業利益成長計画

スライドの左から説明します。

「数量、価格/ミックス影響」のバーにおいて、とくに計画の前半段階において売場の拡大、価格帯やパッケージオプションの拡大による数量増からもたれされる限界利益の増加を見込んでおります。

チャネルミックスは、小売チャネルがベンディングの成長を上回ることから、若干の悪化を見込んでいます。

DMEは成長への注力と、営業現場が市場でより効率的に競合と戦えるよう、期間中に60億円の増加を見込んでいます。

また、日本コカ・コーラもブランド強化のマーケティング活動を強化しますので、私たちは収益ある成長を目指し、緊密に連携し活動しています。

日本では人件費や原材料の高騰などにより、コストが上昇していることはみなさま周知のとおりです。約80億円の支出増が見込まれるため、コスト削減施策で相殺する必要があります。

なお、当初発表の中期計画に基づく施策からの効果を含め、変革を通じてネットで350億円規模のコスト削減ポテンシャルを特定しています。

ヘルスケア・スキンケア事業については、今後5年間で約6億円の利益を創出する見込みです。

リセットと変革によるコスト削減推進

このスライドでは、2024年にかけて約350億円のコスト削減を実現するための、主な施策をまとめています。

コスト削減の源泉は営業・「サプライチェーン、調達」・「バックオフィス、IT」の3つに分けられます。

約350億円のコスト削減に占める割合は営業と「サプライチェーン、調達」がそれぞれ約40パーセント、「バックオフィス、IT」が約20パーセントとなる見込みです。

約350億円のコスト削減には、2017年6月に発表した当初中期計画で見込んでいた、シナジー効果とコスト削減が含まれます。

なお、これは2018年の供給制約ののち、2020年第2四半期にかけて供給能力が正常に戻ったあとに発現すると思われるサプライチェーンにおけるコスト削減額や、新生プロジェクトによる物流ネットワーク最適化の効果を含みます。

財務戦略

最後に、当社では株主還元に対して一貫したアプローチにより、価値創出を目指した財務戦略を続けてきたことを思い起こしていただきたいと思います。

今後も引き続き成長に向けた投資を最優先に行っていく予定です。成長計画を実現するために、今後5年間にわたり膨大な投資が必要になり、累計設備投資見込額は約3,500億円となっています。

今後は財務レバレッジを高めつつ、許容される格付を維持していきたいと考えており、1,500億円規模の社債発行を検討しております。

この変革の期間、安定配当を優先していく一方で必要に応じて自社株買いといった他の選択肢を検討してまいります。

スライドにも再度書いていますが、ROEは2024年に5~6パーセントに改善する目標を掲げています。

本日のまとめに入ります。カリン、お願いします。

Reasons to believe – 計画達成を信じる確固とした理由

カリン:本日のまとめに入ります。私たちは慢性的な課題に取り組んでいます。昨日発表したのれんの減損は、今までやってきたやり方を続けることはできないという警告です。

また、ベンディング事業の抜本的変革による安定化と回復についても、今後確認いただけると思います。

私たちはサプライチェーンや、全社でのケイパビリティ、イネーブラー、事業活動の基盤に投資を行い、活用していきます。コカ・コーラシステム全体が既に新しいやり方で活動を始めており、明確な責任と厳密な成果のトラッキングで物事を進めています。

私がこの新たな任務に着任したとき、私たちは長期的ビジネスの健全性につながる正しいことの実行に徹底してこだわるべきだと言ってきました。

2019年の私たちの結果は危機的な状況であり、変化するため、私たちに違ったかたちで働くことを求められています。私は、この変革の先頭に立ち、このビジネス成長を取り戻すことにコミットします。今後もまたみなさまに2024年に向けた私たちの進捗をアップデートしていきたいと思います。

記事提供: