結婚して子どもが産まれても、なお家事育児に非協力的だったり当事者意識に欠けていたりする男性。巷では、こうした夫に対する妻たちの怒りの声が常に爆発していますが、一体なぜ彼らはライフスタイルや考え方を変えず、家事育児に積極的に参加しないのでしょうか。筆者の夫や周囲の男性などの例をもとに考えてみました。

「妻がなんでもできるから」という幻想?

今や専業主婦よりも多い働く主婦。パート、自営業、会社員など雇用形態に関わらず、何かしらの仕事をしながら家事育児もこなしている女性は珍しくありません。そうした女性が世の中に増えていくにつれて、多くの男性の中にはこのような認識が生まれているのではないでしょうか。「妻(女性)はなんでもできる」と。つまり、妻のスーパーウーマン化です。

もちろん、家事も育児も仕事もと、さまざまな役割をこなしているという意味では「なんでもできる」と言えるのかもしれません。しかし、スキルとして「できる」のと、時間や体力などを削ればなんとか「できる」は大きく違います。そして多くの妻が後者の「できる」になっているのに対し、多くの夫は妻に対して前者の「できる」を幻想として抱いているのではないでしょうか。

よく夫婦の家事育児分担においては「できる方がやる」というルールを耳にします。しかし、このルールは上記においてどちらの「できる」なのかが不明瞭なパターンが多いもの。15分間のスキマ時間を「家事ができる」と捉える妻と、2時間空いたことで「家事ができる」と捉える夫。仕事の調整や自由時間をやり繰りをして育児が「できる」状態を作る妻と、仕事や遊びの予定がなければ育児が「できる」状態になる夫。

「うちは妻がなんでもできるから」と妻を讃えているように見えて、実は単に家事育児を丸投げしてしまう夫は少なくありません。そしてそこには、夫婦それぞれが無意識に定義する「できる」に大きな違いがあるように思われます。

「自分を変えること」に積極的になれない理由

自分の子どもが産まれたのに家庭にコミットしない夫の多くは、環境の変化や自分を変えることを好まない傾向があります。その背景には、もちろん「面倒くさい」といった理由もあるでしょう。しかし、変化に対する恐怖や不安、相手への配慮も実はあるのではないでしょうか。