欧米のミレニアル世代(1981〜96年生まれ)の間でFIREムーブメントが流行っています。

FIRE(Financial Independence, Retire Early)とは積極的な倹約と貯蓄で経済的自由と早期退職を実現することです。FIREムーブメントでは、リタイア後の運用利回りを4%に仮定し、資産運用によって生活費をまかないます。

一方で日本は働き方改革で生産人口の減少を補おうと、高齢者も主婦も労働市場に参加するように政策的に後押ししています。また、金融庁から老後に年金以外で最低2,000万円の貯蓄が必要だというレポートが発表され、波紋が広がりました。

年金だよりの老後期間を短くするため、生涯現役こそが、日本での最適な生き方戦略であるという主張もあります。

早期リタイアと生涯現役という相反する主張が世に出ていますが、これからの日本において、どのような身の振り方を考えれば良いのでしょうか。

日本では望まなくてもFIREムーブメントに?

日本社会はこれまで新卒採用からの終身雇用が主流と言われていました。しかし現実は終身雇用を維持することは簡単ではありませんでした。非正規労働や新卒の雇用抑制をしながら、維持が難しい終身雇用を存続させることで、中高年の雇用を維持してきたのです。

最近になって日本の経団連は終身雇用の存続は非常に困難だとの見解を示しました。これでは望まなくても早期退職をしなければならない時代が到来しそうです。

㈱東京商工リサーチの『2019年「主な上場企業の希望・早期退職者募集状況」調査』によると、2019年5月までに希望・早期退職者を募った上場企業は16社に達し、前年1年間(12社)を上回っています。募集人数は6697人に達しました。

そして7月、日本経済新聞が、1~6月には上場企業の17社が合計約8200人の早期退職者を募っていることを報道しました。経済的に自立できないまま、会社の外に放り出されてしまう人が今後増えていっても不思議はありません。

ちなみに英語でFIREには「解雇する」という意味もあります。同じFIREムーブメントでもFIRE(解雇)されてFIRE(経済的自立のアーリー・リタイア)を嫌でも目指さなければいけない時代になってしまうのかもしれません。

生涯現役で老後を短くする人生設計も話題