新規ビジネスを始めたとき、参入障壁を作るタイミングはいつか?

ストック思考による「絶対的強味」の見つけ方

成長し続けるビジネスの仕組みである「ストックビジネス」についてお伝えしていく本シリーズ。今回は、参入障壁作りのタイミングをストック思考から考えます。

11年前にシェアタイプの会議室事業を始めたが…

最近はシェアリングエコノミーが大流行りですね。そういう私は、冷めたまなざしで眺めています。ああ、今このタイミングでは少し距離を置こうと。振り返れば、WeWorkが設立される5年前からレンタルオフィス事業を立ち上げ、事業としては優良施設を運営していましたが、WeWork日本上陸の時に煽られず、潮目を見ながら判断したことも正解でした。

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誰でも得意不得意があります。私は株などの投資は苦手なのですが、事業判断のタイミングには自信があります。そのために、いつも市場に近いところにいて生の情報を得ようと、時間を使い汗もかいています。

実は私が会議室事業の構想を練った11年前、最初はシェア会議室という名前と仕組みで、企業の空き時間を有効活用するモデルだったのです。つまりシェアリングの先駆けとして始めたのですが、これはあまり知られていません。その証拠が初期サービスのHPです。

この商品は今でもしっかり稼いでいますので、これはこれでいいビジネスモデルなのですが、もしあの時に差別化を意識して強味を磨いていなかったらこうはなっていなかったと思います。

当時、このシェアリングタイプを数件試して気づいたことがあります。それは、将来は価格競争になること、そして絶対的な強みになるノウハウはこのシェアタイプでは構築できないことです。

そこで、自社運営の会議室事業でノウハウ蓄積に集中することに方針転換しました。その大きな理由は、マッチング技術よりも不動産開発に私の得意ワザが活かせるということでした。

自社運営の事業は今でも高稼働で競争優位な状態を続けていますし、今ではそのビジネスモデルでの「選ばれるロジック」と「ノウハウの蓄積」をシェア会議室にも還流して成功につながっているので、その時の決断は正解だったと考えています。

自社運営の事業を競争優位なストックビジネスにするには

シェアの方が資金も人も楽だったのにあえてなぜ自社運営を選んだのか、ここが今日のポイントです。

SNSだとか、フリーだとか、シェアリングだとか世の流行り廃りはありますが、それに乗って一時的に当たっても、そのビジネスが10年以上うまくいくには競争優位なストックビジネスにしなくてはいけません。

結局、リピーターがついて継続率が高まり、ある程度参入障壁がある状態にして、さらに時間とともに競争力が高まる仕組みにしなければ事業の成長は続かないのです。

ストック思考でまとめると、次のようなポイントになります。一時うまく行ってもダメになる商品サービスは山ほどありますが、これを忘れずに実行すれば10年続く事業になります。

  1. 流行りは利用しても、乗せられない
  2. 売れても浮かれずに、本質でリピーターを作る
  3. 強味の溜まるもの探す

私は「これは絶対に喜ばれそうだ!」と興奮しながら新規事業に着手しますが、一方では冷めた目でいつも参入障壁、競合優位の立ち位置を考えています。

新規事業の初期段階にやるべきことは山ほどありますが、少し軌道に乗って先が見え始めた時が分かれ道であり、大事なタイミングです。そこから2年くらいで将来にわたって強味になる部分を徹底的に絞り込み、強味のデータを蓄積します。

以下に、代表的な例を挙げます。

・【利用者から始まる】ものは、「お客様が選ぶ際に決め手になる」顧客情報の「利用毎」のアップデート、利用履歴、利用者の声等

・【提供側から始まる】ものは、「お客様が選ぶ際に決め手になる」サービス差別化の中心をなす部分の経験数とノウハウの蓄積、固定経費の低下

さらに、これも提供側ですが、「お客様が選ぶ決め手になる」部分の仮説検証の数。つまり、お客様が選ぶ際のロジックを考え、仮説を立てて商品サービスをチューニングし、利益幅を広げるオプションサービスのテストを繰り返すこと。メイン商品はコスパをより追求して他の追随を引き離し、利益は周辺サービスでしっかりカバーすること、などです。

強味はよくよく考えれば必ず出てきます。この時のヒントは「自分の、自社の得意は何か?」と「利用者は何のためにそのサービスを使うのか?」。つまり、メインとなる部分とその他を意識して分けることです。ストックビジネス構築の基本フレーム「リノベーションシート※」の中にその考え方が入っています。

※リノベーションシートはこのページから無料ダウンロードできます。

リノベーションシート

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おわりに

自然の成り行きに任せていても、将来の商売は今より絶対に楽になりません。競合が出て大変になるだけです。競合が増えてからでは時すでに遅しなので、売れ始めた時にこそ集中することが大切です。

大竹 啓裕

参考記事

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大竹 啓裕
  • 大竹 啓裕
  • 株式会社ハッチ・ワーク 代表取締役会長兼CEO

福島県出身、株式会社ハッチ・ワーク 代表取締役会長兼CEO、株式会社ストック総研 取締役会長
20代はセコム株式会社にて理想的なストックビジネスの原点を経験、その後、30歳でラーメンFCチェーンの創業メンバーとして参画、ラーメンFCとしては全国一位となる約300店のストックビジネスモデル構築の原動力となる。
40代は(株)ハッチ・ワークにて貸会議室「アットビジネスセンター」や月極駐車場探し「アットパーキング」にて国内オンリーワンのサービスを次々開発して事業拡大する。これまでの新規事業立ち上げは20事業以上。
経営者塾ストックビジネスアカデミーではストックビジネス構築を指導。
近著に『ストックビジネスの教科書』(ポプラ社)、『ストックビジネスの教科書 プロフェッショナル』(ポプラ社)がある。

 

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