2019年8月28日に行われた、ダイドーグループホールディングス株式会社2020年1月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:ダイドーグループホールディングス株式会社 代表取締役社長 髙松富也 氏

経営環境の変化

髙松富也氏:みなさまこんにちは。あらためまして社長の髙松でございます。本日は大変お忙しいなか、足元の悪いなかお集まりいただきまして誠にありがとうございます。また平素より大変お世話になっておりまして、重ねて御礼申し上げます。

当社では、2019年1月に、2030年のありたい姿を示す「グループミッション2030」を定めまして、その実現に向けた最初のステージとして、本年より3ヶ年の「中期経営計画2021」をスタートさせております。

本日は、2019年度第2四半期決算概要のご説明に入る前に、あらためまして「グループミッション2030」と「中期経営計画2021」の概要を説明させていただきます。当社の経営方針に関する理解を、もう一度深めていただきたいと考えておりますので、まず1番目にその話をいたします。

2番目に、2019年度第2四半期の決算概要と通期業績予想についてお話いたしまして、3番目にセグメントごとの概況をご説明いたします。

最後に持続的成長の実現に向けた取り組みということで、グループ行動規範や人財戦略に関する取り組みについてご紹介いたしますので、最後までどうぞよろしくお願いいたします。

「グループミッション2030」と「中期経営計画2021」の概要について、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、あらためてお話いたします。

こちらは我々を取り巻く経営環境を象徴するようなスライドで、日本国内の人口動態の将来推計を示しております。

今後、日本国内は長寿化・高齢化に伴いまして、人口動態が大きく変化してまいります。それと同時に、健康寿命の延伸に対応した新たな市場が生まれてくるものと見込まれますし、我々としてもそこに着目をしています。

こうした人口動態の変化に伴いまして、社会環境・市場環境も大きく変化していくことが前提にございます。

グループミッション2030

中長期的な社会環境の変化に対応した、当社グループの持続的成長の方向性を定めたものが、グループミッション2030でございます。記載のとおり、「世界中の人々の楽しく健やかな暮らしをクリエイトするDyDoグループへ」ということを、我々のミッションとして定めています。

私たちは、高齢化・長寿化が進んでいくなかで、健康的な生活が送れてこそ、長く生きる人生がより豊かになるものと考えています。そして、そのように健康でいるための価値を提供することが、私たちDyDoグループのミッションであると考えています。

DyDoグループのSWOT

2030年までのありたい姿を定めるにあたり、当社グループの強み・弱みを、あらためて分析しました。その内容はスライドのとおりです。

とくに、当社グループの大きな強みは、「お客様が求めるおいしさ」を「お客様にとって身近な場所にお届けする」という、ビジネスモデルだと考えています。

今後さらに発展するテクノロジーの活用と、自販機ビジネスを通じて培い築いた事業によって、このビジネスモデルを時代の変化に沿ったものに磨きあげていき、人々の暮らしのお役に立てるものへと変革させていきたいと考えています。

また、本格的な健康長寿社会の到来により、ヘルスケア関連市場は確実に成長していくものと考えております。

当社グループの持つ強みと、M&A等によって獲得する新たな事業を融合させることにより、飲料・食品・医薬品といった業態の垣根を超えた新たな市場を創出していきたいと考えております。

グループミッション2030の基本方針

「グループミッション2030」では、大きなテーマを3つ定めています。

1つ目は、国内飲料事業のイノベーションを実現し、これからもDyDoグループのコア事業であり続けること。2つ目は、海外での事業展開を拡大しまして、現在約10パーセントの海外売上高の構成比を、20パーセント以上に引き上げていくこと。そして3つ目が、ヘルスケア領域の事業を拡大することで、非飲料事業での第2の事業の柱を構築していくという3点でございます。

こうしたことを実現することによって、成長性・収益性・効率性の高い事業ポートフォリオの形成を目指していきたいと考えております。

ロードマップ

このミッションを実現するために、2030年度までの12年間を3つのステージに分けたロードマップを描いております。

当社グループのコア事業である自販機ビジネスを取り巻く環境は厳しく、これまでどおりのビジネスの進め方では、スライドにあるグラフのグレーのラインで示すとおり、徐々に利益が減少していくことが避けられない状況となっております。

そういったなかで、今期からスタートした3ヶ年の「中期経営計画2021」の期間については、「基盤強化・投資ステージ」と位置付けております。この期間に実施した投資を、次の成長ステージ、飛躍ステージで開花させていきたいという考え方でございます。

〈中期経営計画2021〉 投資戦略

「中期経営計画2021」における投資計画をこちらのスライドで示しております。投資金額はこの3年間で最大で、新規投資に450億円を想定しております。

基本的な考え方につきましては、B/Sにある余剰資金の360億円程度を新規投資に、既存事業から3ヶ年で生まれる営業キャッシュフローの400億円を、既存事業への再投資の原資としたいと思っております。

〈中期経営計画2021〉 ガイドライン

今回の中期経営計画は、既存事業の収益性改善をめざすとともに、一時的な利益の減少も許容したうえで、将来に向けた投資をしっかり行っていくステージという位置づけでございます。スライドのとおり、5項目の経営のガイドラインを定めまして、事業環境の変化と重点戦略・投資戦略の進捗に応じた単年度目標を毎期設定し、運用していく方針としております。

〈中期経営計画2021〉 現時点の進捗状況

後ほどご説明申し上げますが、「中期経営計画2021」の初年度であります2019年度第2四半期の業績については、天候要因もあり厳しいスタートとなりました。そのなかでも、将来の成長に向けた基盤作りは、着実に進捗している部分も多々ございます。

スライドにまとめているとおり、マル印がついているものは成果が見えてきている部分、バツ印は残念ながら想定外の状況によって未達に終わっている部分、三角については成果には至っていないものの着実に進捗している部分となっています。

2019年度 第2四半期 連結決算の概要

2つめのテーマであります第2四半期の決算概要について、ご説明申し上 げます。

当第2四半期の連結売上高は、前年同期比で1.8パーセント減の854億3,800万円となりました。厳しい市場環境のなか、天候不順の影響もございまして、国内飲料事業が2.5パーセントの減収となりました。

その他の事業セグメントにつきましては、医薬品関連事業が3.5パーセントの増収、食品事業が8.5パーセントの増収と、いずれも堅調な売上推移となっております。

また、海外飲料事業につきましては、為替変動の影響により、日本円換算では減収となっているものの、トルコ飲料事業が現地通貨ベースで大幅な売上成長を達成しております。

2019年度第2四半期 連結業績/通期業績予想(セグメント別)

セグメント別の収益状況は、次のスライドのとおりとなっております。

ご覧いただいているとおり、国内飲料事業は減益となっておりますが、2018年には約4億円の赤字がございました海外飲料事業につきましては、トルコ事業の収益貢献により第2四半期においても黒字を確保できております。

また、食品事業の収益改善もありまして、連結ベースの利益計画につきましては、前年を下回るものの計画線で推移している状況でございます。

2019年度 第2四半期 営業利益の増減要因

営業利益の増減要因について、説明いたします。

国内飲料事業は、広告・販促費の積極投入により、6月までは流通チャネルを中心に販売が好調に推移しました。しかし、7月の記録的な低温傾向の影響を受け、販売数量が大きく減少したことが減益の大きな要因となっています。

その他事業におきましては、医薬品関連事業が新工場やパウチライン新設に伴う準備費用の増加によって減益となっておりますが、2020年からの本稼働に向けた活動は、計画どおり進捗しております。

また、先ほども申し上げましたが、海外飲料事業と食品事業は売上成長と平均販売単価の上昇などにより、収益性を大きく改善することができました。

(ご参考)2019年度 通期業績予想 営業利益の増減要因 -前期比-

なお、通期業績予想につきましては、期初に発表した計画に修正はございません。

財政状態 -連結貸借対照表の主な増減-

今回の中期経営計画では、収益改善による基盤強化と成長に向けた戦略投資のバランスを重視していることから、今までバランスシートとキャッシュ・フローのマネジメントが以上に重要であると考えております。

当第2四半期におきましては、大同薬品工業の関東工場新設のための資金支出などにより、ネットキャッシュが減少しております。

今後もグループの資金は持株会社に集中させまして、適切な投資判断と資金配分により、財務健全性の維持と安定経営に努めてまいります。

フリー・キャッシュ・フローの主な増減

このスライドは、フリーキャッシュフローの主な増減を示しております。

当第2四半期は、7月の低温傾向の影響による利益の減少とたな卸資産の増加等により、営業キャッシュ・フローは前年同期をやや下回りました。

先ほどご説明した大同薬品工業の関東新工場建設や、食品事業である「たらみ」の工場の省人化に向けた設備投資など、既存事業の成長に向けた投資を着実に実行した結果となっております。

国内飲料事業 清涼飲料業界の販売数量・生産数量の動向

3番目のテーマである、セグメント別の概況についてもう少し詳しくご説明申し上げます。

国内飲料事業の業界の動向についてまず簡単にお話いたします。2019年上期の清涼飲料業界は、業界各社の大型ペットボトルの価格改定などにより、業界全体の販売数量は前年をやや下回る実績となっております。

7月には記録的な低温傾向の影響を大きく受け、業界全体の販売数量はかつてないほどの大きな落ち込みを見せており、商品在庫滞留の影響が長引くことも懸念される状況となっております。

また、各社の業績へのインパクトも、下半期については大きなものになると想定される状況です。

スライドの左側のグラフのとおり、7月期は業界全体では前期比で19パーセント減となっております。右側のグラフ、容器別でみた状況では、直近4~6月の大型ペットボトルの生産数量は、価格改訂の影響もあって、2018年を下回っております。

従来からのホームユースからパーソナルユースへのシフトとともに、パーソナルユースの小型のPETボトルでも、500mlPETから600mlPETを中心とした、大容量の止渇系飲料の需要が高まっております。ペットボトル入りコーヒーなどが象徴的な商品ですが、そういった容器の商品については各社とも積極的な展開をしており、直近でも前年を上回る生産数量となっております。

国内飲料事業 CVSの店舗数と自販機普及台数

自販機市場を取り巻く環境に目を転じますと、これまで店舗数を伸ばし続け勢力を拡大してきたコンビニエンスストアが、近年の労働力不足などを背景に出店ペースを鈍化させていることが、スライドの左側のグラフで見てとれるかと思います。

自販機市場におきましても、業界全体の自販機台数は減少傾向が継続していますが、自販機1台当たりの売上高(パーマシン売上高)の低下幅については若干縮小傾向が見られるなど、競合環境の変化にともなう影響も少し見え始めています。

国内飲料事業 小売業態別販売額の推移

小売業の業態別販売額の推移でございます。

2000年頃を境に、百貨店や大型スーパーなどの大型商圏型の業態が低迷し始める一方で、コンビニエンスストアやドラッグストアが年々その存在感を高めてきているのがこれまでの流れでございます。

小売業態の小商圏化、店舗の小型化がどんどん進んできたことで、より簡易で利便性の高い商品への需要も高まっていることが見て取れるかと思います。これからの時代において、お客様のより身近に存在し、利便性の高い商品をお届けすることの重要性がますます高まることは間違いないと考えています。

労働力不足などの社会環境の変化から、コンビニエンスストアのビジネスモデルも曲がり角にきているのではと感じており、今後は無人店舗や自販機などがもう一度見直されてくる時期になっているのではないかと思っています。

私たちもそういったことを次のビジネスチャンスとしてとらえていきたいと考えています。

国内飲料事業 セグメント別概況

当第2四半期の国内飲料事業の売上高は、前期比で2.5パーセント減の608億900万円となっております。

7月の低温の影響を受ける結果となったものの、自販機のクローズドロケーション比率は、スライドの右下のグラフで示しますとおり、着実に上昇しております。これにより、自販機1台あたりの売上高の低下幅は縮小傾向にありますので、これまでの取り組みの成果が少しずつ数値として現れ始めております。

下半期以降の取り組みとして、商品面ではコーヒーのラインアップを強化し、販売数量の回復に努めてまいります。自販機面では自販機市場での圧倒的な優位性を確立することを目標に、クローズドロケーション、いわゆるインドアのロケーションの開拓をより一層強化していきたいと考えております。

オペレーションについても、飛躍的な効率性の向上を目標としたスマートオペレーション体制の構築に向けて、下期より本格的なテスト展開を実施していく予定でございます。

国内飲料事業 販売数量の推移

商品カテゴリー別の販売状況につきましては、「コーヒー飲料」の販売数量は大変苦戦しましたが、「その他飲料」につきましては前年同期比で6パーセント増と、大きな伸びとなっております。コーヒー飲料の減少を一定程度その他飲料でカバーできたという結果です。

なかでも、2019年の春にリニューアルいたしました「大人のカロリミット®」茶シリーズが大きく伸長しましたほか、SNS等でのお客さまからのご要望にも対応して、再発売いたしました「さらっとしぼったオレンジ」などがご好評をいただいたという結果でございます。

また、チャネル別では自販機チャネルの販売が減少いたしましたが、コンビニエンスストアや量販店向けの流通チャネルが、前年同期比で7.2パーセント増の実績となっております。

こちらについては、お客さまニーズをとらえた商品戦略と、ダイドーらしい独自の付加価値型提案営業の取り組みが功を奏した結果だと考えております。流通市場においても、当社の存在感は確実に高まってきていると思っております。

国内飲料事業 2019年秋冬の新商品

下期の取り組みの1つとしまして、販売が苦戦しておりますコーヒーカテゴリーの立て直しを図るために、3つの軸でラインアップの強化を実施していきます。

まず1つ目は、収益基盤の再強化に向けまして、プレミアム系缶コーヒーとして高い支持をいただいている「デミタス」シリーズを、シンプルで洗練されたパッケージへとリニューアルして活性化を図ります。

2点目に、近年伸長しておりますコーヒーのなかでも、ラテのカテゴリーに新商品を積極的に投入していきます。スライドにある3品を軸に、新商品の発売に注力してまいります。

3点目に、右端にございますピエール・エルメ氏との共同開発の第2弾となります商品を発売しまして、新たな顧客層の獲得に努めてまいります。この共同開発商品については、今週からコンビニエンスストアで先行発売しておりまして、非常に好調なスタートを切っているところでございます。

国内飲料事業 通信販売チャネルの進捗

このスライドは、健康寿命の延伸に貢献する事業として、2012年からスタートしている、健康食品やサプリメントなどの通信販売チャネルの事業でございます。

こちらについては、2018年から事業としては黒字に転換しておりまして、2019年上期においても、その高い売上成長がグループの業績に貢献しております。

2019年5月には、基幹商品であります「ロコモプロ」のユーザーをターゲットとした、脂肪を消費しやすくする機能性表示食品である「スマートプロ」という商品を新たに発売しました。これをはじめとした商品ラインアップの拡充を図りまして、さらなる売上向上に向けた取り組みを進めていきたいと考えているところでございます。

海外飲料事業 セグメント別概況

海外飲料事業セグメントにつきましてご説明申し上げます。

2019年上期においては、為替変動の影響により、日本円換算では減収となっております。しかし実際には、トルコ飲料事業の好調な実績が海外飲料事業全体を牽引いたしまして、第2四半期においても黒字を確保できております。

取り組みの内容については、適切な価格政策による平均販売単価の上昇と、工場の再編による効率化効果などによって、収益性が大きく向上しております。それによって海外飲料事業全体のセグメント利益が、前年同期と比較して5億2,600万円改善することができております。

海外飲料事業 主要エリアの概況①

とくに、海外飲料事業のなかでも大きなウエイトを占めているトルコ飲料事業におきましては、収益性の高いミネラルウォーターブランドの「Saka(サカ)」というブランドを販売しております。

スライドの写真に記載しておりますような、大型の容器のHOD(Home Office Delivery)という宅配水の分野を中心に非常に好調に推移しており、トルコ飲料事業の伸びに大きく貢献しております。

右下に書いてありますモルトベースの炭酸飲料である「Maltana」という商品も非常に好調に推移しておりまして、新シリーズの導入によって、大幅に伸長したことがトルコ飲料事業を牽引している内容でございます。

また、トルコリラ安に起因します原材料価格の高騰に対応し、こまめに価格改定を行ったことにより、現地通貨ベースでの上期の売上高は前期比で22パーセント増と、着実な成長が続いております。

海外飲料事業 主要エリアの概況②

好調に推移しているトルコ飲料事業ではございますが、今後も為替変動による輸入原材料の高騰や、急速なインフレによる消費マインド減退の影響については、引き続き留意が必要な状況でございます。

そうした状況のなかでの対応策ということで、トルコからトルコ国外への輸出取引についても、さらに拡大していこうと取り組みを強化しています。

その1つとして、現在も主要な輸出先であるイギリスに、2019年の9月に販売子会社を新設する予定でございます。

また、ロシアモスクワにありますDyDo DRINCO RUSにつきましては、これまで自販機ビジネスを中心に事業展開を進めてまいりました。自販機ロケーションはいったん大幅に整理を実施し、採算のとれる数十台にまで縮小、実質的に自販機ビジネスからは撤退というかたちに方針転換をすることにいたしました。

今後はトルコ商品の輸出先の販売拠点として、再度ロシア拠点の立て直しを図っていくということで、事業の継続可否をもう一度見極めていこうと、大きな方針転換をしております。

スライドの下に記載の内容でございます。東南アジアでの戦略拠点であるマレーシア飲料事業は、イスラム圏の需要の取り込みに向けた鍵を握る事業という位置付けで取り組みを進めております。

このビジネスモデルの改革をより加速するために、マミー社との合弁を解消しまして、販売会社を100パーセント子会社化することとしました。

これによって、製造会社は100パーセントマミー社にお返しし、販売会社を100パーセント当社の子会社として運営していくというすみ分けを実現できます。

従来は、合弁で事業運営していくなかで、なかなか戦略が合致せず、当初からの取り組みもなかなか進まなかった部分がございます。この体制に刷新することにより、マミー社に依存しないかたちで販売体制は維持しながらも、商品開発等の面において、我々の日本の商品開発のノウハウを活かした商品を市場に投入することが、ようやくできる体制となりました。

それに伴って、スライドの下に記載している「BeFine(ビーファイン)」や「Vida(ヴィダ)」、「yobick(ヨービック)」といった商品を市場に投入し、売上の基盤構築の取り組みを進めていくことが、今後のマレーシア飲料事業の取り組みの方向性でございます。

しかしながら、事業について予断は許さないという状況ですので、こちらについても方針は転換したものの、今後の事業の継続可否については、これから数ヶ月の間にしっかりと見極めて進めていきたいと考えております。

医薬品関連事業 セグメント別概況

3つ目に、医薬品関連事業である大同薬品工業についてご説明申し上げます。

大同薬品工業におきましては、出資先でもございます台湾のTCI社を通じた受託製造が、今期は非常に増加しております。これにより、売上高は前年同期比で3.5パーセント増の57億5,300万円というかたちで推移しております。

利益面におきましては、受託商品の構成の変化による粗利が減少に加え、関東工場の新設やパウチラインの新設に向けた準備のための人員体制強化などによる費用が増加したことで、営業利益では前年同期比で46パーセント減の、3億5,800万円というかたちで着地しております。

医薬品関連事業 関東工場の竣工と奈良工場へのパウチライン新設

現在建設を進めている関東工場につきましては2020年5月に、本社工場のある奈良工場に新設を進めているパウチラインについては2020年2月に、それぞれ本稼働を予定しております。

パウチラインと新工場の竣工により、下期はどうしても費用が先行することとなってしまいますが、新たな受注獲得に向けた提案営業は着実に取り組みを進めているところでございます。

本稼働後はそれぞれのビジネスをスムーズに軌道に乗せて、医薬品・医薬部外品の受託製造企業として圧倒的なポジションの確立を、今後も目指してまいりたいと考えております。

食品事業 セグメント別概況

食品事業につきましては、かねてより収益性の改善が最大の課題となっておりましたが、今期は売上・利益ともに好調に推移しまして、大変よい成果が出てきております。

とくに、「PURE」シリーズなどの中高価格帯のカップゼリーの拡販が功を奏したことに加え、2019年に新たに発売いたしました「濃いゼロ 蒟蒻パウチゼリー」シリーズなどが、お客さまから大変支持を得ることができました。売上高は前年同期比で8.5パーセント増の112億6,800万円となりまして、マーケットシェアもさらに上昇しております。

利益面では販売好調による増収に加えて、平均販売単価の上昇効果、さらに全社で多面的なコスト見直しを測った結果、営業利益は前年同期比で64.7パーセント増の7億5,000万円と、大幅な増益を達成できております。

食品事業 蒟蒻パウチゼリー市場におけるシェア向上への取り組み

この「たらみ」につきましては、下期の取り組みとしまして、今後さらに拡張余地のあるパウチ市場でのシェアの拡大にチャレンジしていきたいと考えております。

その1つとしまして、「たらみ」初の機能性表示食品である蒟蒻パウチゼリーの「おいしい蒟蒻ゼリー PREMIUM+」という商品の発売を9月に予定しておりまして、さらなる売上拡大を目指してまいりたいという考えでございます。

グループ行動規範の策定

最後に4つ目のテーマとして、当社グループの持続的成長の原動力ともなります、組織・人材の活性化に関する取り組みをご紹介いたします。

冒頭にご説明申し上げましたとおり、「グループミッション2030」、「中期経営計画2021」の戦略を実行して、当社のグループ理念、グループビジョンの実現を目指すにあたっては、当社グループの全従業員が一丸となって、倫理的価値観を実際に行動に繋げていくということが重要であるという考えから、グループ共通の行動規範として「グループ行動規範」というものを改めて策定しております。

また、この策定にあたっては、事業セグメントを超えて、ダイドーグループの将来を担う30歳以下の若いメンバーを中心に検討いたしました。

グループ行動規範の浸透活動

策定した「グループ行動規範」について、より理解促進を図るために、「グループ行動規範」を含め、グループ理念体系を整理した「DyDoグループ コンプライアンスハンドブック」というものを制作し、全従業員に配布しております。

また、「グループ行動規範」の策定を担ったメンバーが中心となって主要子会社を巡回し、「グループ行動規範」研修も順次継続して実施していくことにより、「グループ行動規範」がそれぞれの業務で実践されるような浸透活動を実施していきたいと考えております。

人財戦略

もう1つ、「グループミッション2030」と同時に発表しているダイドーグループの人材戦略がございます。こちらについては、人的資本の確保、将来を担う人材育成、人材の適正配置という3つを重点項目として、取り組みを進めております。

まず1つ目の人的資本の確保は、持株会社の機能をさらに強化していく、医療用医薬品事業のような新規事業を推進していくために、即戦力人材を積極的にキャリア採用していく、といった取り組みを進めています。

2点目の将来を担う人材の育成においては、当社グループを力強く牽引していく次世代のリーダーを育成していくとともに、海外でも十分に活躍できる人材の育成、高度な専門知識・ノウハウを持ったスペシャリストの育成により注力してまいりたいと考えております。

最後に人材の適正配置ですが、従来なかなかできておりませんでした組織の垣根を超えたグループ横断での異動等の実施により、当社グループが有する人的資源の最適な配置を行うことで、組織と人材の活性化を図っていく取り組みも、順次進めているところでございます。

次世代を担う人材の育成

最後に、これから私たちがさらなる成長・発展を遂げるために、不確実性が高まる将来において、当社グループが目指すべき道をともに示し、改革をリードし続ける人材を育成していくことが、ますます重要であると考えております。そうした将来を担う人材の育成に注力している内容が、最後のスライドに記載しているものでございます。

取り組みの1つとして、経営幹部に必要な能力の開発と意欲・能力のある人材を選抜することを目的に、次世代幹部育成プログラムである「DyDo Innovation Academy」という人材育成の取り組みを実施していることのご紹介でございます。

このように組織・人材の活性化に今後も継続的に取り組むことによって、グループ一丸となって当社グループの持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指してまいりたいと考えておりますので、これからもダイドーグループにぜひご期待いただきたいと思います。

私の説明は以上とさせていただきます。最後までご清聴いただきまして、ありがとうございました。

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