一夏の思い出を彩るアクティビティ、海水浴。日本国内には1,094地点(2017年現在)の海水浴場があるとされますが、せっかくならきれいな海で泳ぎたいですよね。

そこで今回は、環境庁が発表した資料を元に、日本全国の「きれいな水質の海水浴場ランキング」と「水質の悪い海水浴場ランキング」をまとめてみました。わざわざ離島に足を運ばなくても、きれいな水質の海水浴場は、近場にあったりするんですよ。

水質の良し悪しを決める「4つの基準」

国内の海水浴場における水質は、以下の4つの基準から評価分けされます。

・COD(Chemical Oxygen Demand)/mg
・ふん便性大腸菌群数/
・油膜の有無
・透明度

この内、水質汚濁の指標となるのがCODです。これは「生物化学的酸素要求量」とも呼ばれ、水中の微生物が有機物(汚れ)を食べる際に使った酸素量を表します。よってCODの数値が高ければ高いほど、水中に有機物が存在し、水質汚濁が進んでいることになります。

本記事で取り上げる海水浴場ランキングは、環境庁が公表した「令和元年度 水浴場(開設前)水質調査結果」における各浴場のCODおよび水質判定を元にまとめました。さっそく一覧を見ていきましょう。

きれいな水質の海水浴場ランキング2019

まずは同ランキングの上位10項目を抜粋。沖縄県の離島3地点、そして静岡県内の海水浴場2地点が1位タイに入りました。どれもCODが0.5mg未満かつ水質判定はAA。国内最高レベルの水質を誇る海水浴場です。また1位タイの内、静岡県沼津市にある「井田海水浴場」および「平沢(らららサンビーチ)」がランクインしたのは、意外だったかもしれません。

というのも、沼津市周辺の海水浴場は、スキューバダイビングを楽しめるほど、水質に優れることで知られています。この理由について、「駿河湾」特有の地形が影響するとのこと。駿河湾の最深部の深さは2,500mに達するといわれ、その水深から水の汚れが減りやすく、きれいな水質を保っているそうです。

沖縄県にある離島の海水浴場とりわけ「前浜ビーチ」は、“東洋一の美しさ”と称される海水浴場。それに匹敵する水質の海水浴場が、関東圏にあるのは驚きでしょう。静岡県沼津市は、都心部から在来線および新幹線、バスなどで気軽に訪れられる場所。日帰り旅行も十分可能な、穴場的スポットですね。

6位以降に関しては、東京都の離島および徳島県の海水浴場がランクインしました。特に注目なのが、徳島県阿南市にある「北の脇海水浴場」。全長約2kmのロングビーチであり、広さ30ヘクタールの松林に囲まれた美しい景観から、「日本の渚:百選」にも選出されています。四国地方随一の人気海水浴場です。

なお、8位タイの続きは上記の通り。全国トップレベルの水質を誇る海水浴場は、意外と身近なところにあるものです。

■水質の悪い海水浴場ランキング2019

海水浴場の水質は、内陸部から流れ出る生活排水・工業排水にも左右されます。上記のような海水浴場においては、地形的に海流の入れ替わりが少なく、汚れた水が滞留しやすいのです。金魚や熱帯魚の水槽と同じ理屈で、ある程度水を入れ替えたり、濾過したりしなければ、水の汚れは薄まりません。残念ながら、これが愛知県内の海水浴場の水質が悪いとされる理由です。

とはいえ、「水質が悪い=行ってはならない海水浴場」というわけではありません。海水浴が認められる安全基準を満たしていますので、過剰に心配する必要はないでしょう。上記ランキングは、あくまでも参考程度に留めてください。

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