各家庭でしつけのルールが違うのは、当然です。ですが、公共の場で決まっているルールを平気で無視したり、常識の範囲を逸脱したりするようなルール違反は困ります。また例え良かれと思っても、自分のルールを押し付けるのも考えものです。

そのような親子と出会った時、どの様に対処すれば良いでしょうか。実際にあったエピソードを踏まえ、対処法について検証していきます。

交通ルールを守らない

「数人のママ友と、子どもを交えて遊ぶことになりました。集合場所ちょっと距離がある飲食店になったので、車を運転できない私は、どうやって行こうか考えていました。

そうしたら、近所に住むママが『うちの車に乗せてあげるよ!』と申し出くれて。始めは断ったのですが、再度声を掛けてくれたのでお言葉に甘えることにしたんです。そうして当日、迎えに来てくれたママ友の車にはチャイルドシートがありませんでした。ママ友の子はしっかりチャイルドシートに乗っていて…。

ママ友は『遠慮しないで乗って~』なんて言っていましたが、私はモヤモヤ。とりあえず乗りましたが、ママ友の運転は急ブレーキ・急発進を繰り返す荒さ。帰りは『近くのショッピングモールに寄ってから帰るから』と理由をつけて、子どもとバスで帰りました。」

自分の車で送迎を申し出た好意から出た言葉だと思いますが、それは決して交通ルールを破って良い理由にはなりません。交通ルール上、車に乗る際には子どもは満6歳までチャイルドシートが義務付けられています。乗せる側として他の子を同乗させる場合には、チャイルドシートを持参してもらうことをお願いしたり、簡易型チャイルドシートを別途準備したりしておくなど心構えが必要です。

同乗させてもらう側としては、チャイルドシートの有無を事前に確認するか、自分で持参するようにするようにして、相手に伝えておきましょう。「何もそこまで…」と大げさに思う方もいらっしゃるかもしれませんが、車は走る凶器です。大事な命を守るためにも、交通ルールを守ることは大前提です。

各家庭で異なるルールの対処

「自宅が小学校から近いからか、小学校に入学してから、息子は友達を家に連れてきて遊ぶことが多くなりました。ある日、パートを終えて買い物をして自宅に帰ると、息子と友だちが家のリビングでゲームをしていました。

我が家のルールでは『大人が居ないときは友だちを家の中には入れない』というルールがあります。子どもだけで何か問題が起こったら、責任を取ることができません。そこから作った我が家のルールです。

その場では息子に話をし、一緒にいたお友だちにも『大人がいない時にはお家の中では遊べないからね』と伝えました。後日、このお友だちのママに会ったときに、変わったルールだねっと皮肉っぽく言われたことが、ずっと引っ掛かっています。」

大なり小なり、各家庭内のルールというものがあります。それがきちんと理由があるルールであれば、なんら恥じることはありません。遊びに来た友人にまで強制するのは気が引けるかもしれませんが、郷に入ったら郷に従えと言いますので、ルールはあらかじめ伝えるようにしましょう。
問題が出てからルールを伝えるのは、トラブルの元となります。

事前に伝えて、もしそのルールに納得してもらうことが難しいようであれば、家の中以外で過ごす方法も考えましょう。

注意はしても、叱るのは親の役目

「小学3年生の息子は、あるスポーツ少年団に通っています。ある日、終わり時間に行きましたが、なかなか息子が出てきません。心配になって控室に様子を見に行くと、泣いている息子がいました。同級生のR君が、心配そうに側についていてくれました。理由を聞いても息子はうつむいたままで、R君が代わりに教えてくれました。聞くと、H君ママに怒られたとのこと。

活動が終わって息子とR君が話しながら歩いているとき、息子がR君に『死んじゃえ!』と言ったんだそうです。その言葉を耳にしたH君のママが『冗談でもそんなことを言うもんじゃない!!』と頭ごなしに息子を怒り、しかも周りにいたママ達数人を巻き込んで同意を求めたそうです。

言われた本人のR君はまったく気にしていませんでした。そのときの話の流れから、息子が冗談で言っていると思ったと言ってくれました。確かに悪い言葉を言った息子がいけないのですが、まだ小さい子どもを泣かせるまで責めて、しかも周りの大人まで巻き込むのは、行き過ぎではないでしょうか。」

他人の子だとしても、悪いことは悪いと伝えることは大切です。ですが、叱る、しつける行為は親の役割です。このような善意を押し付けてくるようなママ友には、残念なことですが適度な距離を取りながらお付き合いをしていくのが一番でしょう。話し合っても善意の方向性が異なるため、分かり合うにはかなりの時間と労力が必要でしょう。その覚悟があるなら、話し合って折り合いをつけるというのも良いでしょう。

ただ、深いお付き合いを望まない場合には、適度な距離感でお付き合いを続けていくことをおすすめします。

他人のふり見て我がふり直す、余裕も必要