もっとも、空き家問題に代表されるように、需要と供給のバランスが崩れる可能性がある中で、積極的に自宅を長期の住宅ローンを組んで自分のポートフォリオに組み込むことはないという意見は当然あってもよい。

しかし、高齢化が進む中で、老後がどれくらいの時間があるのかについて、これまでの時間軸よりもさらに伸びてくる中で、住居をどうすべきかはより重要となっていることはまちがいない。

持家は自分のポートフォリオに「不動産」を組み込むことになる。住宅ローンを金融機関から借りるのであれば、バランスシートの右側に「借入」が、そして左側には「不動産(自宅)」がのることになる。

住宅を購入することは立派な投資である。老後前までにその投資を行っているのか、そしてないのかは大きな分岐点になろう。

老後に2000万円で足りるのか、足りないのか

ここまで見てきたように、先のレポートの前提は、詰めが甘い部分も残っている。このレポートだけで「足りる、足りない」を議論してもあまり意味がなく、それぞれのライフスタイルや自分のポートフォリオと前提を比べた上で参考にする方がよさそうである。