実は、今回のレポートの老後に必要な貯蓄、つまり取り崩す可能性がある金額のシミュレーションは持家世帯が前提となっている。

持家か賃貸かの議論を超えて

経済メディアでは、住宅ローンを組んででも持家が良いのか、それとも住む場所を自由に選ぶことができる賃貸住宅が良いのかの議論はよく目にする。ただ、今回はその議論をここで展開するつもりはない。

今回のシミュレーションで考えれば、老後も賃貸住宅に住み続けるのであれば、さらに貯蓄が必要ということになる。

つまり、月額の賃料×12か月×老後年数、が先のシミュレーションの貯蓄を取り崩す額に加算されることになる。

たとえば、定年退職前に持家となり、住宅ローンを返済しているという状況であれば、老後に毎月の賃料は必要ないが、築年数が長くなればリフォームの必要性も出てこよう。したがって、持家であれば全く住居に関する支出が必要でなくなるというわけではない。リフォームを前提とした貯蓄も必要であるということである。

ここで強調しておきたいのは、老後に2000万円不足するといっても、住宅の保有の有無やその築年数の状況によって必要となる貯蓄額も異なるということである。つまり、老後2000万円問題は、これまで以上に住居についての議論が必要となってこよう。

持家に積極的でない若い世代は資産形成の更なる必要性

ここまで、老後における住居についての重要性を見てきたが、実は若い世代は持家に対して、古い世代と比べるとあまり積極的ではないというコメントもある。