2019年7月31日に行われた、宇部興産株式会社2020年3月期第1四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:宇部興産株式会社 常務執行役員 グループCFO 藤井正幸 氏

連結対象会社

藤井正幸氏:宇部興産の藤井でございます。それでは、本日発表した2019年度第1四半期の決算につきまして、資料に沿ってご説明いたします。よろしくお願いいたします。

最初に、連結対象会社です。連結子会社数は71社、持分法の適用会社数は25社、合計96社。この第1四半期の間で、これらの増減はございませんでした。

環境要因

3ページのスライドでは、環境要因に関してまとめています。期末為替レートは109円90銭で、前年同期末とほぼ同じ水準でした。また、ナフサ・ベンゼン・石炭等の資材価格は、全般に前年同期を下回って推移しました。

主要項⽬

4ページのスライドでは、第1四半期の主要項目についてお示ししています。売上高は実績値が1,650億円と、前年同期に比べて40億円、2.4パーセントの減収です。

営業利益は実績値が73億円と、前年同期に比べて12億円、19.7パーセントの増益です。経常利益は実績値が77億円と、前年同期に比べて25億円、24.5パーセントの減益です。親会社株主に帰属する四半期純利益は、実績値が45億円と、前年同期比で23億円、34.4パーセントの減益です。

営業利益は増益、経常利益は減益ということで、営業外のところで大きく差が出ているわけですが、これにつきましては、後ほどご説明いたします。

セグメント別 売上⾼/営業利益

売上高・営業利益のセグメント別の内訳です。先ほど、売上高全体としては、前年同期に比べて40億円の減収と申し上げましたが、セグメント別でご覧いただきますと、前年同期に比べて、化学が5億円の減収、建設資材が15億円の減収となっています。機械はほぼ前年並みの売上です。調整額は、部門間の内部取引等の調整で、ここの影響も出ています。

営業利益全体としては、前年同期に比べて12億円の増益となっています。内訳として大きいのは、化学の11億円の増益です。建設資材は1億円の減益、機械は2億円の増益になっています。

なお、(スライドの)表の下に注意書きがあるように、今年度からセグメントを3つに統合して、運営を開始しています。このため、前年同期の数字は、この新しいセグメントと同じ基準に組み直して比較した結果ということで、ご理解いただければと思います。

差異分析 全社

差異の要因別に見たものです。セグメント別は、先ほど5ページの表でご覧いただいた内訳と同じですが、(スライドの)右側に、営業利益12億円増益の内訳を示しています。価格差でプラス27億円、数量差でプラス27億円、固定費ほかでマイナス42億円で、トータルで12億円です。

注(※2)にあるように、固定費ほかには、マイナス要因として在庫評価差等が30億円ほど入っています。

差異分析 化学

続いて、セグメント別の増減の内訳等をご説明します。まず、化学セグメントです。先ほどご覧いただいたように、対前年では減収増益となっています。

売上高は対前年で5億円の減収です。サブセグメントの内訳をご覧いただきますと、ナイロン・ファインの事業部門でマイナス10億円です。ナイロン・ラクタムの原料価格の低下や、需要の減退による市況の低下といった価格要因に加え、需要の減退によって数量も減少しています。こういった数量・価格の影響で、売上はマイナスになりました。

一方で、工業薬品につきましては、今年度は定修がない年ですので、数量増が売上の増加要因になっています。また、ファインケミカルも対前年では価格が上昇し、プラス要因になっています。

合成ゴムは9億円の減収ですが、これも価格要因によるものです。原料のブタジエンが、対前年で価格下落しており、製品価格も下落しているところです。機能品は5億円の増収です。大きいところではポリイミドの拡販が進んで、数量要因としてのプラスが効いています。

医薬は15億円の増収です。こちらは、自社品あるいは受託品も含めて、対前年で出荷が増えています。医薬は、毎期コンスタントに出荷ということではなく、まとめてロットで出荷しますので、そういったタイミングによるものとご理解いただければと思います。

営業利益は、化学部門トータルでは(対前年で)11億円の増益になっています。サブセグメントの内訳をご覧いただきますと、ナイロン・ファインではマイナス3億円です。先ほど、売上のところでも申し上げましたが、ナイロン・ラクタムは需要が減退している影響も出ています。とくにナイロンは、国内は比較的堅調ですが、海外の需要が減少し、これに伴い市況も下がっています。

ラクタムはご存知のとおり、中国におけるナイロン繊維等の衣料品の需要減により、スプレッドも悪化してきています。これらの影響を受けて、ナイロン・ラクタムでマイナスが出ました。

一方、工業薬品は定修がない年ですので、数量増等の効果でプラスが出ています。ファインケミカルでは、価格上昇などの要因により、多少プラスが出ています。これらのプラス・マイナスを合わせて、若干ナイロン・ラクタムのマイナスが残っているという状況です。

合成ゴムは8億円の増益で、売上は減収になっているものの、前年の第1四半期と比べるとスプレッドがやや拡大したという状況です。

機能品では5億円の増益になっています。売上のところでも申しましたように、ポリイミドの拡販が進み、数量効果でプラスが出ています。さらに、その他の分離膜やセラミックスといった機能品も、拡販が進んでプラスに寄与しています。医薬につきましては、売上に伴うもので、出荷が増加したことにより5億円の増益です。

(スライドの)右側に価格・数量の内訳がございます。価格差はプラス18億円です。合成ゴムあるいはファインケミカル等のプラスが効いています。

数量差はプラス25億円です。こちらは、工業薬品の数量増分、あるいはポリイミドや分離膜、セラミックスといった機能品の拡販分、医薬の数量増が主な要因です。

固定費ほかはマイナス31億円ですが、これは先ほど全社のところで申しました、在庫評価差のマイナス30億円ほどが、化学部門としてここに入っているためです。固定費ほかのマイナス31億円のほとんどは、在庫評価差の部分が残っているという状況です。

差異分析 建設資材

続きまして、建設資材部門です。建設資材は、売上が(対前年で)15億円の減収です。内訳としては、セメント・生コンでマイナス4億円です。前年度の第1四半期と比べますと、(今年度は)大型連休等があり、稼働日数が減っている影響で、数量が減っています。

建材・石灰石関連では5億円の増収です。こちらは、宇部マテリアルズ株式会社のマグネシア・カルシアといった製品の価格是正が進んでいる影響です。石炭ではマイナス12億円と、減収になっています。販売炭・預り炭ともに、前年度の第1四半期と比べると数量が減少しています。電力では4億円の増収になっています。これは、余剰の売電の数量の増加等が寄与しています。

営業利益全体としては(対前年で)マイナス1億円と、減益です。セメント・生コンではプラス2億円です。石炭価格が下がっていますので、そういったところのメリットが、ここに出てきています。

建材・石灰石関連は、先ほど売上でも出てまいりました、宇部マテリアルズ株式会社のマグネシア等の価格是正のプラス要因が寄与しています。石炭につきましては、2億円の増益です。石炭の価格の下がった分のプラス、そして販売先の構成差等によるところです。

一方、電力ではマイナス6億円です。今年は2年に1度のIPPの定修の年ですので、第1四半期にはIPPの定修を行いました。このため、補修費等が対前年で増えています。これらを合計すると、建設資材部門としては1億円の減益になりました。

(スライドの)右側の価格・数量等の内訳をご覧いただきますと、価格差がプラス6億円です。宇部マテリアルズ株式会社あるいは、生コン製品等の価格是正が効いています。数量差でプラス4億円ですが、これは電力において余剰の売電量が増えた影響等が現れています。固定費ほかはマイナス11億円です。IPPの定修のための補修費が、この中のほとんどの部分を占めています。

差異分析 機械

続いて、機械セグメントです。機械セグメントは、売上は前年並みで、営業利益がプラス2億円でした。産業機械あるいはスクラップ価格の低下による製鋼事業のプラスといったところが、少しずつ寄与しています。

(スライドの)右側の価格差・数量差の部分については、製鋼事業において、スクラップ価格が下がった部分等がプラス要因として価格差に出ています。数量差は若干のマイナスです。固定費ほかでは1億円のプラスが出ています。

営業利益〜四半期純利益

先ほど、全体の最初のところでご覧いただきましたように、営業外損益が前年同期と比べて大きく動いています。今第1四半期の実績値としては、営業外損益は4億円でしたが、前年同期は41億円でしたので、差異としてはマイナス37億円です。

内訳は、まず金融収支でマイナス7億円です。これは受取配当金の減少によるものです。そして、持分法投資損益はマイナス21億円です。ここが大きくマイナス要因として効いています。これは、前年度の第1四半期に、ABS樹脂事業の事業統合を行い、その際に会計上の処理として、一時的にプラスの営業外の利益が発生したということによるものです。今期はこういった特殊要因がなくなるため、前年と比べるとマイナスになっています。

為替差損益では9億円ほどマイナスが出ています。こちらは、今第1四半期中の為替の動きによるもので、円高にブレたことなどの影響が少しここに出ています。

これらの影響を受けて、経常利益は(対前年で)25億円の減益になっています。特別損益は、先ほど申し上げたとおり、それほど大きな増減はありません。最終的に、親会社株主に帰属する四半期純利益が実績値45億円と、対前年で23億円の減益となりました。

貸借対照表

続いて、バランスシートの項目です。総資産は、第1四半期末で7,300億円です。前期末(2019年3月末)と比較して、102億円ほど減少していますが、とくに大きな要因があるということではございません。

負債は(前期末比で)51億円の減少です。また、純資産のところで、自己資本が前期末から46億円ほど減少し、3,248億円となっています。これは、第1四半期に配当の支払がございましたので、その分の一時的なマイナスです。

キャッシュ・フロー計算書

12ページのスライドは、キャッシュ・フローです。営業活動によるキャッシュ・フローがプラス155億円、投資活動によるキャッシュ・フローがマイナス102億円で、フリー・キャッシュ・フローは53億円のプラスになりました。このフリー・キャッシュ・フローの部分と、有利子負債・借入の増加で、配当金の支払いに充当しました。期末の現金および現金同等物の残高は、前期末とほぼ同水準を維持しています。

以上が、第1四半期の決算の主なポイントです。通期の業績見通しにつきましては、5月に公表させていただきました今期の業績予想から変更していません。

以上で、私からの説明を終わります。

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