この記事では、某商社ニューヨークオフィスに勤務するビジネス書大好き人間が、日々通う書店のビジネス書コーナーで感じたことをお話ししていきます。

8月になりましたね! 例年、7月よりも暑さはやや和らぐものの、NYの8月はまだまだ猛暑です。こんな季節には、自然を体いっぱいに感じることのできるセントラルパークの木陰で休日をのんびり過ごす、というのもおすすめです。

それでは、先月のランキングを見ていきましょう。

バーンズ&ノーブル(BARNES & NOBLE)の7月のビジネス書売れ筋ランキング

※ 順位/タイトル/邦題(翻訳書がないものは編集部で独自に訳した仮題)/著者

1.Girl, Stop Apologizing: A Shame-Free Plan for Embracing and Achieving Your Goals (B&N Exclusive Edition)/(仮題)女子よ、謝ることをやめなさい:目標を達成するための不真面目な方法/著:レイチェル・ホリス

2.Rich Dad Poor Dad: What the Rich Teach Their Kids About Money That the Poor and Middle Class Do Not!/(邦題)金持ち父さん 貧乏父さん:アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学(筑摩書房)/著:ロバート・キヨサキ

3.Dare to Lead: Brave Work. Tough Conversations. Whole Hearts./(仮題)思い切って率いなさい:勇敢な仕事。力強い対話。真心。
/著:ブレネー・ブラウン

4.StrengthsFinder 2.0/(邦題)さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0(日本経済新聞出版社)/著:トム・ラス

5.Filthy Rich: A Powerful Billionaire, the Sex Scandal that Undid Him, and All the Justice that Money Can Buy: The Shocking True Story of Jeffrey Epstein/(仮題)大金持ち:ある有力な億万長者と性的スキャンダル、そしてお金で買うことのできる正義:ジェフリー・エプスタインの事実に基づいた衝撃の物語/著:ジェームズ・パターソン、ジョン・コロニー

6.Atomic Habits: An Easy & Proven Way to Build Good Habits & Break Bad Ones/(邦題)ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣(パンローリング)/著:ジェームズ・クリアー

7.How to Win Friends and Influence People (Special Anniversary Edition)/(邦題)人を動かす(創元社)/著:デール・カーネギー

8.The 48 Laws of Power/(邦題)権力に翻弄されないための48の法則(パンローリング)/著:ロバート・グリーン

9.Outliers: The Story of Successd/(邦題)天才! 成功する人々の法則(講談社)/著:マルコム・グラッドウェル

10.The Total Money Makeover: Classic Edition: A Proven Plan for Financial Fitness/(仮題)お金の大改革 決定版:実証済み、経済的健康を手に入れるためのプラン/著:デイブ・ラムジー

女性起業家による成功へのメッセージ

まず初めに紹介するのが、1位にランクインした、『Girl, Stop Apologizing』です。著者のレイチェル・ホリスはアメリカで人気のライフスタイルブログ「The Chic Site」を運営している女性起業家です。

本書は彼女が以前に出版した『Girl, Wash your face』に続く自己啓発書です。「自分の存在や自身の夢に目を向けて、自らが成長することにより成功をつかもう」というメッセージは、妻・母・娘など、「他者」をもとに自身を定義することが多いあまたの女性の心に突き刺さるでしょう。

「権力」についてまったく別の角度から描いた2冊

次に紹介するのは、5位にランクインした『Filthy Rich』です。この作品は、アメリカである不祥事を起こした億万長者ジェフリー・エプスタインに関する「事実に基づいた小説」と銘打たれています。裕福な生まれではなく、大学も中退しているのにもかかわらず、数字の扱いに才があり、人というものをよく知っていることで、エプスタインは大きな財産を築き、名声も得ました。しかし、彼には「少女愛好者」というもう一つの顔があったのです。少女を性的に虐待した罪で逮捕された彼ですが、そののち、司法取引により不起訴になっています。ドナルド・トランプ大統領とは以前から付き合いがありましたが、この司法取引時の検事の一人であるアレクサンダー・アコスタは、トランプ政権で労働長官を務め、このときの経緯がのちにスキャンダルとなります。

エプスタインは、2019年7月初旬にも、少女売春をあっせんした罪などで逮捕され、起訴されていました。トランプとの「黒い関係」が解明されると期待されましたが、その矢先の8月10日にニューヨークの拘置所の中で自殺。陰謀論までささやかれるこの衝撃的なニュースは、世界を駆け巡りました。本書の刊行は2016年ですので、もちろんこの経緯については入っていませんが、疑惑の大枠は変わりません。どうして彼は重刑を免れたのか? この事件の「正義」はどこにあるのか? ビル・クリントン元大統領との親交でも知られる権力者の大富豪を中心に、イギリス王室とのつながりもうわさされる事件の真相に迫った一冊です。

そして、最後に紹介するのは、8位にランクインした『The 48 Laws of Power』です。古今の権力者の事例をもとに、どのように権力を獲得するのか、どうすれば権力をうまく利用することができるのかを学ぶことができる一冊です。こちらの本は20年近く前に出版されたもので、先月のランキングでは1位を獲得したのですが、今月のランキングでもベストテンをキープしており、根強い人気を誇っています。権力に対する関心の高さの表れでしょうか。

まとめにかえて

今月のランキングでは、成功者の話や、いかにして成功・成長するかという内容の本が多くランクインしました。やはり「成功」や「権力」といったワードに人々は多く反応するようです。

それでは、次回のランキングをお楽しみに!

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