サラリーマンとして、年収1000万円を超えることを目標に就職・転職活動をしている人もいるかと思います。しかし、平成30年9月に国税庁が公表した「平成29年分民間給与実態統計調査」では、1年を通じて勤務した給与所得者のうち、給与所得が1000万円を超えている人の割合は4%強。それだけの金額を稼ぐのは容易でないことが見て取れます。

年収1000万円を超えられる業種

同調査によると、1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均給与は432万円。男女別では、男性が532万円、女性が287万円となっています。

給与階級別分布を見ると、300万円超400万円以下が 867万人(構成比17.5%)で最も多く、次いで200万円超300万円以下が781万人(同15.8%)。男女別では、男性で最も多いのは年間給与額300万円超400万円以下の523万人(同17.8%)、女性では100万円超200万円以下の473万人(同23.6%)という厳しい現実が示されています。

では、業種別ではどうでしょうか。1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与が最も高い業種は「電気・ガス・熱供給・水道業」の747万円、2位は「金融業、保険業」の615万円、3位は「情報通信業」の599万円と続き、最も低いのが「宿泊業、飲食サービス業」の253万円です。

業種別の給与階級別分布をみると、平均給与が最も高い「電気・ガス・熱供給・水道業」では800万円超が40.2%と最も多く、それに次ぐ「金融業、保険業」でも800万円超が24.1%で最も多くなっています。一方、平均給与が最も低い「宿泊業、飲食サービス業」では100万円以下が28.0%で最も多いという結果でした。

一般的に、金融、通信、医薬、放送、鉄道、自動車などの規制業種は、事業を始めるのに免許や認可が必要であり、監督官庁の指導が厳しいなどの参入障壁があります。また働く社員にも資格取得などが求められるので、規制業種の年収は高くなる傾向に。一方、上の結果からすると「宿泊業、飲食サービス業」では業界内で年収1000万円を目指すのは難しいことがわかります。

ただ、たとえば「くら寿司」は2020年春入社の新卒採用で、入社1年目から年収1000万円の幹部候補生を募集するなど、同じ飲食業でも企業によっては高収入を目指せる可能性もあります。

昨今では、くら寿司の例のように人材確保のために高額年収を提供する企業も出始めていますが、それでもサラリーマンという立場で年収1000万円を超えることができるかどうかは、本人の努力や才能だけでは何ともしがたい面があります。つまり業界水準や個別企業の方針によって決まる部分が大きいと言えるでしょう。

歩合制や実力主義の外資系なら年収1000万円以上も