警察などの公務員をはじめ、国や県、市区町村などにあるさまざまな機関に相談をしても相手にされなければ、「自分の我慢が足りないのかも?」などと、おかしな方向に考えてしまいがちです。しかし、そんなふうに考える前に、まずは下記で挙げているすべての機関に相談してみてください(筆者が実際に頼りになると感じた順番に記載しています)。

■弁護士
お金が無くても、法律扶助という援助制度が受けられる可能性もあり、無料で相談できる場合があります。

■病院
提出してもしなくても、暴力を受けたときには病院へ行き、「夫に暴力を振るわれた」と伝えて診断書をもらっておきましょう。もらった診断書は、暴力をふるう夫や恋人との仲がうまくいっているときにも、絶対に見せないよう気をつけてください。

■警察
まずは交番。交番がダメなら管轄の警察署へ行きましょう。一番効果があるのは医師の診断書の提出です。

■女性相談センター
電話や面談を重ねる必要がありますが、記録を残してくれる場合には、離婚がスムーズにいくのに寄与する場合があります。記録を残してくれるかどうか最初に確認しましょう。また、相談をしていると状況が把握しやすいため、シェルターや保護施設に入りやすくなる可能性が高まるようです。

場所や人が変われば、対応も変わる

筆者の場合は最終的に弁護士の先生にお願いをしました。そのときに、警察や女性相談センターでの出来事を話したところ、「それは辛かったですね。○○さん(筆者の名前)の家は市内だから、県北の女性相談センターで力になれるかどうかはわからないけれど」と言い、県北にある女性相談センターを紹介してくれたのです。

県北の女性相談センターでは、24時間いつでも連絡を受け付けており、さらに身の危険を感じたときには、すぐに身を隠すことができると説明がありました。

「でも24時間とは言っても、実際には電話してはいけないんですよね? 保護してくれるシェルターも、いっぱいだったら断られるんですよね?」そう無意識に尋ねた筆者に、県北の女性相談センターのスタッフの方は、「辛い思いをされましたね。絶対にそんなことはありません」と声をかけてくれたのです。

そして、もしも保護施設がいっぱいだった場合でも、民間と提携している保護施設やホテルなどに身を隠すことができると説明してくれました。

また、県北の女性相談センターのスタッフの方が、暴力にあった事実などを時系列にして丁寧に細かくまとめてくれたお蔭で、離婚もスムーズに進めることができました。同じ県内にある女性相談センターでも、ここまで対応が違うのかと驚いたものです。

おわりに

日常的な身体的暴力や、死を選択してしまうほど精神的に追い詰めるDVは、放置すればするほど酷くなるというケースも少なくありません。相談した警察や機関に、たとえ「大げさ」「もう少し様子を見てみたら?」と言われたとしても、あなたが「しんどい」「苦しい」と思うのなら、その気持ちを大切にすることをおすすめします。

こうして記事にしたことで、筆者のようなDV被害者の声が、DV被害者を保護する立場の人たちにも届くことを祈っています。そして、DVを受けている人が正常に判断のできる被害の小さいうちに保護し、傷が浅いうちに精神的なケアなどを行って社会復帰ができるような仕組みになれば嬉しく思います。

松原 朱里