米中貿易摩擦再燃の懸念から21,000円割れへ

2019年8月9日の日経平均株価の終値は、前日より91円47銭高の20,684円82銭となりました。

先週は、週初から大きく下げて始まりました。5日・月曜日は、前週末と比べて366円87銭安の20,720円29銭で終えました。終値が21,000円を割り込んだのは6月18日以来です。

大きな要因は、米中貿易摩擦の再燃に対する懸念が広がったことです。トランプ米大統領は、中国からの約3000億ドル相当の輸入品に「第4弾」の追加関税を課す方針を示しました。

さらに悪材料となったのは為替相場です。週初から人民元が下落し、一時1ドル=7元台と、11年ぶりの安値まで下落しました。元安が続くと中国から資金が流出することになります。中国・上海などのアジア株も売られました。日本株にとってはさらに円高傾向になったことも逆風となりました。

今週以降の動きはどうなるでしょうか。米中対立の影響は米国の株式市場に大きな影響を及ぼしそうです。9日の米株式市場でダウ工業株30種平均は、前日比90ドル75セント安の26,287ドル44セントとなりました。つい先日まで最高値を更新し続けていましたが、トランプショックでその勢いがなくなりました。9月上旬に予定されていた米中貿易協議が中止される可能性もあります。

日本株にとっては引き続き円高が重しになりそうです。9日のニューヨーク外国為替市場では、1ドル=105円60~70銭の3日続伸で取引を終えるなど、対ドルで約7か月ぶりの高値となっています。7月末には1ドル=108円台後半でしたから、10日足らずで3円以上円高になったことになります。

日本では、12日は海の日の振替休日で市場が休みです。円高傾向を受けて、連休明けの13日にいきなり窓をあけて下落して寄り付く可能性もあります。さらに今週はお盆休みで商いが薄くなりそうです。材料も少ないところで、急な値動きになる場合もあるので、注意が必要です。

大きく下落したが、20,000円付近では買い戻しの動きも

先週の日経平均の値動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。前週末は下落したものの、いったん21,000円付近で下げ止まるような動きになっていました。先週、ここから反転するのか、あるいはさらに下落するのか注目されるところでしたが、ふたを開けてみると、窓をあけて大きく下落しました。

ただ、6日も大きく窓をあけて下落しましたが、引けにかけては長い下ヒゲを付けて陽線となりました。これは底入れのサインです。実際に、翌日からは20,500円付近を底に、じりじりと上昇し、週末には5日移動平均線も回復しました。

今週以降の展開はどうなるでしょうか。なかなか方向感が出しづらいところです。まず、直近の安値である7月18日の安値(20,993円)を割り込んだことから、短期的にはマイナストレンドが形成されました。ところが、目先意識されやすい6月4日の安値(20,289円)を割り込むことなく踏みとどまりました。という点では中期的には押し目買いのチャンスでもあります。

ただし、チャートの形からは、21,000円付近まで上昇して上値を押さえられることも考えられます。その場合には、中期的には買いですが、短期的には売りになります。そのまま、20,000円と21,000円の間でもみ合うことも考えられます。安全に行くのであれば、21,000円超えを確認してからでも遅くはないでしょう。

逆にここから伸びず、6月4日の安値(20,289円)さらに、心理的な節目となる2万円を割り込むようだと目線は下になります。

下原 一晃