一時21,000円を割り込むが「往って来い」の動きに

2019年7月19日の日経平均株価の終値は、前日より420円75銭高の21,466円99銭となりました。4日ぶりの反発です。日経平均は連休明けの16日から18日まで3日続落で、特に18日は前日比422円94銭と、令和に入ってから最大の下げ幅となり、一時、約1か月ぶりに心理的節目となる21,000円を割り込みました。

背景には、米中の通商摩擦の長期化にともない企業業績が悪化するとの懸念が投資家に広がったことに加え、ヘッジファンドなどの機関投資家からリスク回避のための大口の売りが入ったとも指摘されています。ただ、安値では買い戻す動きも出て、翌19日には前日の下げをほぼ帳消しにする上昇となり、結局「往って来い」の動きになりました。

今週以降の動きはどうなるでしょうか。米株は相変わらず好調です。ただし、その要因となっている連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測にやや不透明感が漂っています。

というのも、これまで0.5%の利下げが予想されていましたが、ここにきて、複数のFRB高官から利下げ幅は0.25%となるといったコメントが出てきました。市場は大幅利下げが織り込み済みとも言われるだけに、失望売りにつながる恐れがあります。ひとまず30日~31日の連邦公開市場委員会(FOMC)までは様子見ムードになりそうです。

米国ではフェイスブック、アマゾン・ドット・コム、アルファベット(グーグルの持株会社)、日本でも信越化学工業、日本電産、日産自動車、富士通、オムロンなどが決算発表を控えています。内容を見極めたいという投資家も多いでしょう。

一つ心配なのは、好調な米株に比べて日本株に出遅れ感があることです。商いも薄く、東証1部の売買代金が2兆円を割り込む日も珍しくなくなっています。ただしそれは逆の見方をすれば日本株は割安ということでもあります。決算業績のいい企業など個別銘柄を物色し、チャンスをつかみたいところです。

21,000円付近での下値サポートが確認された

先週の日経平均の値動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。18日には窓をあけて下落して寄りつくと、大きな陰線となり、25日移動平均線、75日移動平均線を割り込みました。

ヒヤリとさせられましたが、翌19日には窓をあけて上昇して寄りつき、そのまま大きな陽線となって、前日の下落分を帳消しにしました。25日線、75日線も再び回復しました。

今週以降の展開はどうなるでしょうか。18日、19日の「往って来い」の動きを見ると、21,000円付近では強い下値サポートがあることが確認できます。一時、直近の安値である6月26日の安値(21,035円)も割り込みましたが、すぐに回復しています。

25日線が75日線に近づき、ゴールデンクロスが形成されようとしています。目線は上に持っていいでしょう。今週初に25日線、75日線に支えられ、意識されやすい21,500円を超えるような動きになれば積極的に付いていっていいと思います。その場合の上値メドは、7月2日の高値(21,784円)、4月24日の高値(22,362円)になります。

18日の下落により、短期的な上昇トレンドが崩れた形になっています。7月2日の高値(21,784円)を超えると、再度、上昇トレンドが形成されます。値幅もそれほどないので、安全に行くなら、それを確認してからでも遅くはないでしょう。

逆に下値めどとしては21,000円あたりになります。商いが細っているため、値動きが小幅になり、短期的には25日線や75日線を割り込むこともあるかもしれませんが、これらで上値を押さえられていることが確認されない限り、「買い」のスタンスで臨んでいいと思います。

下原 一晃