2019年7月12日に日本証券アナリスト協会主催で行われた、株式会社ケイブ2019年5月期決算説明会の内容を書き起こしでお届けします。IR資料 質疑応答パートはこちら

スピーカー:株式会社ケイブ 取締役副社長/COO 池田恒基 氏
株式会社ケイブ 常務取締役/CFO 菊地徹 氏

2019年5月期通期 決算ハイライト

菊地徹氏(以下、菊地):本日はお足元の悪いなか、お越しいただきまして誠にありがとうございます。天気も悪いため、少し寂しい状況ではありますが、説明をさせていただければと思います。

まず最初に、本日のアジェンダといたしましては、2019年5月期通期の決算ハイライト、第4四半期の決算概況、通期の決算概況、その後に、これからの予定を説明させていただければと思います。

2019年5月期の決算は、本当にお恥ずかしい数字の結果になっていると(考えています)。本来であれば、2019年5月期は新作のタイトルで、収益を拡大しようという期でありました。

スライドに記載してあるとおり、2019年5月期の第1四半期に『三極ジャスティス』というオリジナルタイトルをリリースいたしまして、こちらで収益機会を拡大していくことを見込んでいました。

ただ、結果としては、営業利益というかたちにはならず、営業損失というかたちになってしまいました。

第2四半期においては海外のパブリッシングタイトルのリリースを控えていたため、そちらで挽回していく予定を立てていました。

そういった状況で、第2四半期は今後のプロモーション費用等も必要になってくるため、株式会社KeyHolderにお引き受け先となってもらい、第三者割当というかたちで新株を発行させていただきました。

第3四半期を迎え、海外のタイトルを日本で配信するということで期待を持ったのですが、初動としてはそこそこの数字になったものの、継続することがかなわず、数字としては厳しいものとなっております。

以上を踏まえて第4四半期を開始させていただきましたが、経営資源の集中のために不採算タイトルの整理を行い、『ゴシックは魔法乙女』に集中するフェーズとなりました。

2019年5月期 第4四半期までの業績推移

(業績の)数字の推移としては、スライドでグラフに出させていただいるように、お恥ずかしいグラフになっております。トップライン(売上高)はグラフを見ると右に下がっています。

しかし、営業利益は赤字幅を縮小しているため、効率的な運営ができる体制に持ってきているとご理解いただければと思います。

売上構成比率の推移

売上高の構成比としては、今はもう『ゴシックは魔法乙女』が中心になっており、スマートフォンのゲームがほとんどを占めていると考えていただければと思います。

2019年5月期 第4四半期決算概況

第4四半期の決算概況といたしましては、売上高が4億1,500万円、営業損失が1億2,100万円、四半期純損失が2億900万円という結果になっています。

2019年5月期 第4四半期損益計算書の概要

内訳としては、スライドに記載している数字のとおりでございます。昨日(2019年7月11日)開示させていただいたのですが、第4四半期に関しては特別損失として約5,000万円を計上いたしました。

内容といたしましては、全社の価値が(収益性の基準を)満たしていないということで、全社減損として計上させていただいています。

2019年5月期 第4四半期販管費の概要

販管費の内訳といたしましては、回収費がGoogleさん、Appleさんのプラットフォーム手数料で、こちらが1億2,700万円でございます。第4四半期に関しましてはタイトルを絞り込んでおりましたので、広告宣伝費は5,600万円になっています。

2019年5月期までの業績推移

続きまして、通期の決算についてですが、グラフは先ほど(の売上高・営業利益のグラフ)と同じようなかたちになってしまっております。

2019年5月期通期 決算概況

通期としては、売上高が18億9,000万円で、前年と比較すると4億7,600万円下がっており、営業損失は6億9,600万円でした。

最終では、先ほど少し触れましたように『三極ジャスティス』が減損した影響で12億4,000万円という大きなマイナスを出しています。

2019年5月期 損益計算書の概要

損益の内訳についてですが、売上は先ほどお話しさせていただいたとおりの数字です。前年と比較して一番収益に響いてきているのは、『三極ジャスティス』がリリースを迎え、減価償却費等が2019年5月期に発生していることです。

対前年と比較すると売上原価が2億8,100万円プラスとなっており、原価の部分が増加しているとご理解いただければと思います。最終的には12億4,000万円のマイナスという結果になっています。

2019年5月期 販管費の概要

販管費の概要を説明いたします。回収費は、売上が下がっていることによって数字としてはマイナスになっております。広告宣伝費に関しましても、前年は3億3,500万円使っているのですが、2019年5月期に関しては2億7,200万円となっています。

2019年5月期 貸借対照表の概要

後でまたご説明するのですが、貸借対照表に関する前年との大きな差異は、第三者割当で新株を発行したことにより、現預金が大きく増えていることです。

他の大きな変動は固定資産なのですが、先ほどから申しているとおり『三極ジャスティス』が無形固定資産に入っていた部分を減損させていただいていますので、この時点ではありません。

現状では短期借入金等もございませんので、このような数字になっているとご理解いただければと思います。

2019年5月期 キャッシュフローの状況

キャッシュフローについて、営業キャッシュフローは『三極ジャスティス』の部分、財務キャッシュフローは新株の発行による部分と見ていただければと思います。

2019年4月25日開催臨時株主総会

弊社は2019年4月25日に臨時株主総会を開き、株式会社AKSの代表である吉成夏子さんと、株式会社オカキチの代表取締役である岡本吉起さんを引受先として、140万株の新株を発行させていただきました。調達した金額としては10億円を少し超える量を発行させていただいています。

あわせまして、第三者割当増資による新株予約権を5,000個発行させていただきました。こちらは行使条件が付いている新株予約権となり、行使条件をクリアして、想定としては3億7,700万円という資金調達を、4月25日の臨時株主総会で株主さまからご承認いただきました。

現在はスライドに記載しておりますように、新しいメンバーとして3名の取締役に加わっていただいています。今後のビジネス展開の内容などについては、みなさまに開示できる状態になりましたら随時公表させていただければと思っています。

ここから先は事業の部分になりますので、池田からご説明をさせていただければと思います。よろしくお願いします。

有名版権ゲームの受託制作を開始

池田恒基氏:事業のことに関しまして、池田から説明をさせていただきます。まず、四半期ハイライトの続きでありますが、現在弊社では有名な版権ゲームの受託制作を開始しています。

今までスマートフォンゲームについてはすべて自社で開発、サービスの運営をしていましたが、開発費が高騰し、リスクも高まっているため、他社からリリースが予定されている有名版権ゲームの受託制作を開始しています。

ただ、具体的なタイトルに関しましては、公表可能になった段階でお知らせいたします。

不採算サービス終了による効率化

続きまして、菊地からもお話があったかと思いますが、不採算サービス終了による効率化として、想定どおりに結果が出なかった『三極ジャスティス』『ロード・オブ・ダンジョン』『デビルブック』に関しましては、提供を終了するものと移管するものに分かれています。

採算が取れなくなったブラウザゲームの『くにつく』におきましても、サービス終了が決定しており、速やかに終了の作業を進めています。

その分の経営資源は、現役のタイトルである『ゴシックは魔法乙女』、新規事業における受託開発、eスポーツ関係のサービス、オンラインクレーンゲームといった事業に集中してまいります。

『ゴシックは魔法乙女』の状況①

『ゴシックは魔法乙女』の状況について、説明させていただきます。今回の四半期におきましては、4月で4周年を迎えたため、3月末から4月中旬にかけて4周年記念イベント等を開催いたしました。

また、オンラインショップの開設、カラオケ楽曲(の配信)、LINEのスタンプの第2弾の販売などを行いました。

『ゴシックは魔法乙女』の状況②

『ゴシックは魔法乙女』の事業について、2点目になりますが、4周年記念として、一定数いらっしゃる女性ユーザー層のみなさまのご愛顧に感謝を込め、かつ新たなユーザー層の拡大を狙って、新シリーズ『ゴシックは魔法男子』、通称『ごまめん』と呼ばれる男性キャラクターをメインとしたサービスを、豪華5大声優を使って大々的に打ち出しています。

新シリーズとして、『ゴシックは魔法乙女』シリーズとは少し異なる新しいカテゴリーのキャラクター展開を始めていきます。

『ゴシックは魔法乙女』の状況③

今回、第4四半期におきまして、かなりの経営資源を『ゴシックは魔法乙女』に集中させて、新規ユーザーの定着のためのイベント、初心者ユーザー向けのUI変更、プロモーション手法の見直しを図ったことにより、リリース4周年以降で売上、MAUともに上昇傾向を作っている状況でございます。

今後の取組み①

ここに大きく書かれていますが、今まで弊社ではかなりの数のシューティングゲームのタイトルを開発してきました。

これらのオリジナルタイトルの自社ライセンス展開を強化して、資産を活用した新たなライツビジネスを展開してまいります。

今後の取組み②

もう1つは、今までも何回か説明させていただいているオンラインクレーンゲーム事業のお話です。

スライドの図にあるように、今までのオンラインクレーンゲームは、プライズゲームとオンラインクレーンを組み合わせたものを運営化するというかたちでビジネス展開しているものが大半だと思います。

今回私たちは、プライズ景品とゲームにおいて、プレイそのものの新しさ……駆け引きや、実際のクレーンゲームのようにプレイを見せあったりするところも含め、(オンラインクレーンゲームとしての)プレイそのものの新しさを提供してまいりたいと考えています。

さらに、ここではあえて若干抽象的に申し上げますが、実際にプライズをゲットしたということだけでなく、プライズが届くまでのドキドキ感をうまく使ったユーザー同士の交流みたいなものを踏まえたうえでのサービス展開を考えています。

すごく抽象的な言い回しで大変恐縮ではありますが、今までの、単純な遠隔操作でのクレーンゲームというだけのオンラインクレーンゲームの範疇にとどまらない新しいエンタメとしての要素を盛り込み、これらを具体的に進めている状況でございます。

今後の取組み③

今後の取り組みについての3点目ですが、新規のゲーム開発も進めています。こちらにつきましては、今はトレンドの変化のスピードが非常に速くなっていますので、リリースタイミングこそがかなり重要であると認識しています。そのため、実際に発表できる段階におきまして随時発表してまいります。

一方で、新規事業の立ち上げについてです。こちらも新経営メンバーを加え、デジタルコンテンツの新たなエンターテインメントの立ち上げを進めています。

ただ、こちらもまだ詳細を発表できる段階にありませんので、内容が決定してお話しできる状態になりましたら発表させていただきます。

基本方針

スライド(の赤字)は弊社の3つの基本方針です。コンシューマーゲームで培った「操作性・爽快感」、オンラインゲーム運営での「継続性」、ソーシャルゲームで培った「ソーシャル性」の重要な3要素を最大限に活かして、これからも身近な「楽しさ」を追求したゲームをリリースしてまいりたいと考えています。

2019年5月期 業績予想の考え方

前回も似たようなことを申し上げましたが、この2019年5月期におきましても、『ゴシックは魔法乙女』の売上高の占有率は非常に高く、70パーセントを占めている状況でございます。

よって、『ゴシックは魔法乙女』の売上高に会社の業績がかなり大きく左右されている状況です。

今まではこちらを改善するために、『ロード・オブ・ダンジョン』『三極ジャスティス』『デビルブック』のそれぞれを進めて、売上の構成バランスの修正に対応していましたが、それぞれサービスの終了や運営の移管があり、この状況を変えることができていない状況でございます。

また、フォーサイド社やKeyHolder社とともに取り組んでいるオンラインクレーン事業や新規スマートフォンゲーム、eスポーツ事業に関しましても、サービスの開始時期に関しましては、現段階では公表できる状態にはなっていません。

3人の新任取締役を迎えて、新しい経営体制を進めてはいますが、新しい部分に関しましては慎重に進めていくこともあり、現時点では具体的な何かをここで申し上げることができる状況ではございません。

そのため、2020年5月期の業績予想につきましては、これらの具体的なタイトルがそれぞれ公表できる段階になって、初めて開示させていただきたいと考えています。

以上、ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:今後の事業展開はどのような状況で見えてくるのか

質問者1:この半年ぐらいは提携等によって、かなり新しい動きが続いてきたかと思います。

最後のほうでご説明いただいているように、(業績予想等については)今の時点では見えないとおっしゃっていた印象なのですが、見えてくるとしたらどういう状況になったときとお考えになって動いていらっしゃいますか?

もし説明されていたら恐縮ですが、ある程度目処が立つ状況が近いと思うときは、どういうときなのか、お話しできる範囲でけっこうですので、教えていただけないでしょうか?

菊地:ご質問ありがとうございます。今まで弊社は、ゲームを中心に展開してきました。しかし、現在は新しい経営メンバーが入ってきまして、先ほど池田からご説明させていただきましたようにオンラインエンターテインメントとして新たな事業に(取り組んでいます)。

今回ご出資いただいた方たちは、もちろんゲームもご経験されていますが、例えばファンサイトなど、いろいろなことを経験なさっている方たちでもありますので、ゲーム以外の部分も視野に入れて動いていただいています。

具体的に状況が見えた段階で、みなさまにお知らせをさせていただければとは思っていますので、我々といたしましては、極力早い段階でそういった取り組みをご説明できるようにしたいと思います。しかし、現段階でいつ(お知らせできるか)という点は、控えさせていただければと思います。

質疑応答:出資先から見たケイブの強みについて

質問者1:もう1点です。(出資先から)御社はどのような点が強みだと認識され、どういうところを評価されて提携に至ったか、そのお話を聞いていらっしゃれば、教えていただけますでしょうか。

菊地:ご存知のとおり、今のゲームはスマートフォンが主戦場として展開されておりますが、スマートフォンゲームを成功させていくことは、なかなか一筋縄ではいかないという点についてはみなさまもご承知だと思います。

最近は、スマートフォンに限らずマーケットにおける失敗が増えてきているということも事実です。そういったなかで、弊社は今まであらゆるデバイスに向けてゲームのリリースを経験してきています。

これからも、もちろんスマートフォンが(ゲームの)主戦場になるとは思うのですが、それ以外の、例えばGoogleさんが出す予定のストリーミングのゲームなどで、また環境が大きく変わっていく可能性もあります。

通信の環境も、5Gという通信インフラに変わってきますと、ゲームも違う遊び方、使い方がされるようになります。環境がそのように変わると、1つのデバイスでの経験値ではなかなか対応できません。

その点、弊社の場合はアーケードから始まり、コンシューマー、PC、モバイル、スマートフォン(向けの製品)を開発してリリースしてきました。そのような部分で評価をいただいて、今回のご出資をいただけたとご理解いただければと思います。

質問者1:実際に進み出して、先方の評価はどのように変わってきているのでしょうか?

菊地:まだ具体的な段階までは至っていないため、それに対しての評価はないのですが、ただ、今までの経験値はそれなりに期待値を持っていただいているとは思います。

そのような期待を裏切らない……このような数字を発表していながらそのようなことを言っても、というところではありますが、期待を裏切らずにサービスを展開していくという点は、とくにこの2020年5月期における全社の目標となっていますので、新しいケイブをみなさまにお見せできるかたちにしていきたいと思っています。

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