政府主導の「働き方改革」が進み、実際の生活にも変化が出ていると感じる人も多いのではないでしょうか。残業量が減って早く帰宅できるようになり、プライベートが充実したというようなプラス面もありますよね。その一方で、「働き方改革」を嘆く人たちがいるのも事実です。そこで今回は、平社員が感じる「働き方改革」の功罪を、色々な業種の人に聞いてみました。

家計に大打撃! 残業代の減少が痛い

働き方改革で一番つらいのは、残業代が大幅に減ってしまうことではないでしょうか。今まで収入のうちの大きな割合を占めていた残業代がほとんどなくなってしまうと、家計に与えるインパクト大。あるIT企業で働くAさんは、月収の3分の1を占めていた残業代がほとんど入らなくなり、生活が苦しいと語ります。

「もともと残業が多かったけれど、それ自体が苦痛だったわけじゃない。でも、残業が制限されて仕事はキツくなり、頑張っても手取りが減るという妙な仕組みになってしまったように感じる」と話してくれました。

確かに、残業時間の削減で今までより効率よく仕事をすることを求められるようになりました。しかし、これまで以上に仕事に集中して取り組んだり、努力して効率化したりすればするほど残業代は減っていくという、頑張りが認められないという不満もわかります。

効率よく集中して取り組めばそれが定期昇給のときに評価されるのかもしれませんが、それが半年に1回というのでは反映が遅く、社員から不満が出るのは免れないのかもしれません。また、Aさんの職場では仕事が早いほど早く帰るよう急き立てられ、仕事が遅い人は上司も呆れ顔ながら残業を許しているのだと言います。

そんな中では「仕事が遅い人ほどお金がもらえる仕組み」になっているように見えてしまい、効率のよい働き手に不満が溜まるというのも理解できます。Aさんは「だらだら仕事をしていたり、仕事ができなくて残っていたりする人のほうがお金がもらえるというのでは、やる気がなくなってしまう。それなのに、上司からは残業禁止と言われて、時間内に終わらせるよう毎日しつこく言われて気が滅入る」と話していました。

平日でもプライベートを満喫できるのは◎

その一方で、働き方改革でプライベートが充実したという人もいます。貿易関連の企業で働くBさんは、「帰りが早くなったから終業後のイベントにも行きやすいし、仕事が遅くなるかもと思って予定を入れるのをセーブしたりすることがなくなった」と言います。

Bさんは音楽が好きで、プライベートではよくライブハウスに足を運ぶのだとか。平日のライブはこれまでなかなか行けなかったものの、働き方改革で会社全体の残業が減ったことで帰りやすくなり、自分も早く帰れるようになったとのこと。「プライベートが充実すると仕事にもハリが出る。早く帰るために集中して仕事するようになった」と働き方改革の恩恵を語ってくれました。

その一方で、先述したIT企業のAさんからは「プライベートの時間が増えても、使うお金がないという現象に陥っている」という声も。Bさんのようにプライベートの充実を楽しんでいる人がいる一方で、やはり残業代減の影響がプライベートにも出てきてしまう人がいるということもあるのでしょう。

下請けや取引先企業にしわ寄せがいくことも