お金のプロとして働く金融業界の人たち。彼らは一体どのようにしてお金のプロになったのでしょうか。彼らがまだ新入社員のときに金融のことを学んだプロセスに、私たちがお金や投資のことをわかるようになるヒントがありそうですよね。そこで今回は、金融業界に就職した新入社員たちがお金のことを学ぶ方法についてご紹介します。

投資信託の目論見書や販売用チラシを読みまくる

まず、金融業界の新入社員たちは入社すると長い研修期間に入ります。その研修は数週間にわたり、支店への配属はゴールデンウィークを過ぎてからということも。筆者も新卒で大手対面証券に入社しましたが、入社日の翌日からホテルに1か月こもって研修を受けました。

日中はさまざまな研修の予定が組まれていて、まずは日経新聞の読み方や専門用語の知識など、本当に基礎の基礎となる部分から始めます。さらに学習が進むと、債券の利回り計算や株式に関するPER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)といった指標の見方、決算書の読み方などを勉強していきます。

そうした座学の中でも、最も印象深かったのは投資信託の販売用資料や目論見書、国債の販売用チラシを使ったロールプレイングでした。目の前にいる同期をお客さんだと思って、販売用チラシを使って商品を買ってもらえるように説明するのです。

これがまた難しく、自分がわかったつもりになっているだけだということが浮き彫りになるのです。そして販売用資料を、これまでと違った感覚で必死に読みまくるのです。自分より詳しくない人に説明できるように話を整理したり、セールスポイントとリスクをまとめるという作業が知識を深めるのに非常に役立ったと感じています。

金融系の情報端末を片っ端から見てみる

証券会社の営業担当のパソコンには「Quick」が入っていることが一般的です。Quickとは投資情報ツールで、さまざまな銘柄の詳細な情報を見ることができます。新入社員は支店に配属されると、このツールの使い方を教わることになります。

操作には特段難しいことはないのですが、とにかく情報量が充実しているので新入社員にとっては知らない言葉が盛りだくさん。そういう言葉を一つ一つ丁寧に調べつつ他の銘柄の情報も見ていくと、「こういうときに使われる言葉なのか」とか「こういう意味がある言葉なんだ」というのが見えてくるようになるのです。

また、Bloombergも情報端末ですが、こちらはもっと専門的です。金融業界の人でも、支店の営業担当だとあまり触る機会がないという人もいるくらいです。しかし、これが使えるようになれば、どういう部署に配属されてもある程度はやっていけると言われてもいます。

この情報端末は専門的な言葉で表示されていますし、深すぎる情報ばかりで内部の人間でもすべてを把握するのは結構大変です。しかし、こういうものに触れて、自分で興味を持って調べるというプロセスを繰り返すことで、金融業界のことがわかるようになってきます。

しかし、これができるのは恵まれた環境にいる金融業界の新入社員たち。金融業界ではないけれど投資の勉強がしたいという人は、ネット証券が提供している株式のトレーディングツールなどで代用できます。情報量が多いものを選べば、基本的な情報収集ができるようになります。

また、会社四季報も証券会社の営業マンのデスクには必ずと言っていいほど置いてあるもの。まずは四季報をとにかく読んでみて、専門的な言葉や表現を学ぶのもいいでしょう。

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