とあるソフトウェア会社がSNS上で批判を浴びています。6月29日、大阪市を拠点とするシステムソフトウエア開発会社・株式会社クローバーフィールドのツイッター公式アカウントが、独身や既婚者でも子どものいない人などに対して「信用ならない」と投稿。この投稿は瞬く間に拡散され、多くの人が怒りの声をあげています。

独身と既婚、子ナシと子アリで責任感に差が出る?

これらのツイートは、同社が検討しているという住宅手当や家族手当の導入について述べられたもの。こうした手当は独身者が対象とならないため、結果として子どものいる既婚者への優遇措置になってしまいます。同社からはその理由について、複数回にわたって投稿がありました。

投稿をまとめると、「差別するつもりはないが、いい歳していつまでも独身の人は信用しないし、既婚でも子どもがいるかどうかで信用度は異なる。結婚以前に一人暮らし経験の有無も重要。自分一人が逃げ切ればOKの人と、子や孫の世代の安泰まで考えられる人が同じはずはなく、本人の仕事や世の中への責任感など、どうしても差が出る」とのこと。

また、同社の給与が安いことや部課制を導入していない組織形態にも触れ、「未婚でも子無しでも責任感のある人はいるけれども、その責任感が及ぶ範囲は所詮目先の仕事に対してだけ。自分が引退したあと、もっといえば自分がすでにこの世にいない100年以上先の未来にまで責任を持つのかどうか。価値観がどうしても合わない人はどうぞ他をあたってください」と続けました。

さらに批判を浴びたのは、「こういうことをいうと必ず『子どもが欲しくてもできない人はどうするんだ!』という人たちがいます。 そんな人たちに合わせてみんなが不幸になる必要はないんですよ」(原文ママ)という投稿でした。

既婚者や子育て中の人からの批判も多かった

これだけ結婚や子どもの有無など個人のプライバシーが尊重され、また世の中が人生の多様化に向けて動いている中でなされたこの投稿。また結婚したくても経済面で諦めるしかなかったり、子どもが欲しくてもさまざまな理由でできなかったり作らなかったりする人がたくさんいるのは自明のことです。

今回の投稿についても案の定、批判が殺到。特筆すべきなのは、独身者や既婚で子どもがいない人、一人暮らし経験がない人など、この投稿に該当する人だけではなく、「既婚や独身、子ナシと子アリの対立と分断しか生まないから本当にやめてほしい」「こういう発言が子育てしにくい社会を作る」と、既婚で子どもがいる人からの批判も多かったこと。

また「結婚して子供もいる、海外に飛ばされようが逃げ道もない人材が欲しいんですね」と、「家族がいるから辞められない」と会社の言いなりになる人材を求めているのではないか、という指摘も。

さらに「なんで独身や子なし、一人暮らししたことない人が不幸って決め付けてるの?」「差別するつもりはないと言っていてこの発言。“差別”について無知であることがよくわかる」という同社の差別意識についての意見を述べたり、「Apple社のCEOはゲイで子どもがいないから信用ならないわけか」「事故があって子どもが産めない体になってしまった私は無責任なんですね」など、実例を挙げて批判したりする人も目立ちました。

身近な例を一般論に落とし込むことで生まれる差別意識