日本は2007年頃には超高齢社会に到達し、医療・介護やお墓問題が喫緊の課題となっている。今回はお墓問題に焦点を絞り、課題や問題の深刻さに迫る。

遺骨の置き去り、スーパーのトイレにも

遺骨の置き去り問題は、年々深刻になっている。17年に毎日新聞が発表した調査によると、14~16年の3年間で全国の警察に落とし物として届いた人の遺骨は、203件にもおよんだようだ。そのうち8割以上は落とし主が見つかっていないという。

貸倉庫やコインロッカー、電車の棚、スーパーのトイレなどに置き去りにされた遺骨が発見されたというニュースが後を絶たない。

とくに首都圏では、お墓の購入や維持に経済的負担が大きすぎ、少子高齢化社会で承継者がいないなど問題は山積している。

都立霊園は激戦!仕方なく民営を選択する人も

核家族化や独身世帯の比率増加など、社会構造の変化がお墓にも影響をおよぼしている。お墓を維持する人がいないなどの理由で墓じまいをする人も増加しているが、一方で首都圏では公営墓地の空きがなく、人気区画の倍率は35.1倍(18年度)まで達しているという。平均倍率は5.2倍だ。都立霊園は民営よりも永代使用料が安い傾向にあり、東京都が運営していることで安心感があるため年々応募者は増加している。

終活関連サービスを提供する㈱鎌倉新書は19年6月、『第1回都立霊園に関する実態調査』を実施した。インターネット上で東京都に住む40~89歳の男女を調査し、有効回答数は事前調査が2万件、本調査が400件(都立霊園当選者200件、落選者200件)となっている。

申し込み回数は都立霊園の当選者が平均2.3回、落選者が2.8回となっており、約3回の申し込みで諦めてしまう人が多いようだ。

これは抽選会が年に1度しかなく、一般的な納骨時期は四十九日だが遅くとも三回忌までが良いとされていることが影響しているという。そのため3回落選したら、民営を選択する人が多いようだ。

都立霊園の抽選に落選した人の約半数は、次回申し込みをしないようだ。そのうち約7割が民営霊園のお墓を購入している。

多様化するお墓のかたち、散骨希望も増加