海外市場で金価格が急騰、約6年1カ月ぶりの高値を付ける

金の価格が急騰しています。海外市場では6月25日に1,431ドル(1トロイオンス当たり、以下同)を付け、約6年1カ月ぶりの高値となりました(2013年5月14日に1,434ドル)。

金価格はFRBによる利上げ実施が続いた昨年8月に1,178ドルまで下落した後、利上げ実施の見送りを受けて今年2月には一時1,343ドルまで上昇していました。その後は短期調整したものの、6月に入ってから再び上昇し始めて、冒頭に記した高値に至った次第です。

昨年8月の安値から見ると、実に+21%超の上昇です。ただ、この1週間の上昇ピッチがやや急速だったため、6月26日は反落調整となりました。しかし、依然として1,400ドル超の高値圏にあります。

なお、海外価格はLBMA(London Bullion Market Association)のPM価格を指します。

急騰した最大要因はFRBによる利下げ実施への期待感

金価格が6年ぶりの高値を付けるまで急騰した背景として、1)FRBによる利下げ実施への強い期待感(ドル安懸念)、2)中近東のイラン情勢を始めとする地政学リスクの高まり、3)米中貿易摩擦問題の長期化に伴う世界景気減速懸念(リスクオフ)、などが挙げられます。

このうち、短期的に大きな押し上げ要因になっているのが、1)の利下げ観測でしょう。金の最大のデメリットは、金利が付かないことです。それゆえ、ここ3年間続いた利上げを柱とする米国の金融政策は、金にとって厳しい逆風だったことは間違いありません。

ところが、この半年間は利上げ実施が見送られ、さらに、ここにきて早期の利下げ実施の可能性が高まりました。ご存じの通り、まだ正式に利下げは行われていません。しかし、それを先取りする形で、利下げによる恩恵を最大限享受する金の価格が急騰し始めたわけです。

実際、6月の定例FOMCが終了した6月20日以降、金価格の上昇ピッチは急加速しています。

国内の金価格(円建て)も急騰、昨年8月から最大+17%超上昇